【01】
【登場人物】
片瀬昊:黒い髪、黒い瞳 大学1年生 病弱な女性
エレナ:金茶色の髪、深緋色の瞳 光の神殿の大巫女
グリンダリア:白金色の髪、菫色の瞳 見習い巫女
アトレイシア:金茶色の髪、深緋色の瞳 ヴェルドゥール国の女王
アルス:琥珀色の髪、空色の瞳 アトレイシアの父
ロイ:白金色の髪、菫色の瞳 グリンダリアの父
【前書き】
『女神降臨』(ヨーコ編)より、300年ほど前のお話になります。
ヨーコ編の最初と最後に出てきた“コウ”と名の女性が主人公です。
お話としては独立してますが、先にヨーコ編をお読みになられた方がより解り易いかと思います。
私の命は今にも消えそうな炎
私の命は限りなく永遠に近い
愛しい人と一緒に居られるなら
愛しい人と一緒に居られるなら
永遠を求め手に入れよう
永遠など捨ててしまおう
どんなに離れていても、会えなくても
こんなに離れてるのも、会えないのも
構わない――だから、待っていて
もう嫌だ――だから、連れてって
いつか、貴方のもとへ
すぐに、貴方のもとへ
* * *
病院の待合室。
受付の女性が名を呼んでいる。
「カタセ様、カタセコウ様」
“片瀬 昊”――私の名前。
診察券と薬を受け取り、支払いを済ませる。
私は、子供の頃から入退院を繰り返している。
病名は――今さら気にもならなくなっていた。
うんざりするほどの長い病名。
自分でも分かる。日に日に弱っていく身体。
今日も担当医から入院を勧められた。
両親は入院を望んでいるが、私はもう少しこのままでいたい。
「もうすぐ、夏休みだから。それまで学校も行きたい」
この春、大学生になった。
高校時代、出席日数はギリギリで、でもその分勉強だけは必死に頑張った。
やっとの思いで高校を卒業し、大学に合格した。
諦めたくなかった。
頑張れば、可能性は増えていくんだって思い、生きてきた。
勿論、これからも!
でも、現実は残酷で――このままでは、私の命は残り僅かだと医師が両親に話してるのを偶然にも聞いてしまった。