第弐章 覚醒の時 前編
えー皆さんお久し振りです、霊影です。
何とか第弐章、前編が仕上がりました!
この章からは出来るだけアクションもうまく盛り込めていければ、と思っています。
さて…何話か作った後になりますが、主人公・修のいなかった場面でのキャラ同士の裏話とかもつくっていこうかと考えているのですが…一応、仮としては作ってありますので、ご要望があれば作っていきたいと思います!
っと…長話が過ぎてしまいましたね…。
えー、それではお待たせしました。本編をどうぞ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
1分後…
エレベーター(ロビー)が停止した。
どうやら地下に着いたようだ。
龍がもう一つのボタンを押すと、一斉に照明が点灯し…
「…な……な……。」
そこには近未来的な設備の整った…いかにもその辺をロボットが巡回していそうな所だった。
照明と同時にコンピューター各所に電源が入っていく。
「よーし、もう大丈夫だろう。リリア〜、出て来いよ。」
『ん〜……もう時間ですか〜?しょうがないですね〜…。』
龍の声に電子音の声が反応した。
『おっはよーございまーす!!』
途端にミリアの時のような映像が現れた。
どう見てもホログラムなのは分かるが…ミリア同様リアル過ぎる…
『あれ、新人さんですかぁ?』
「あぁ、そういやまだ紹介してなかったな。橘 修君だ。」
『えー!?た、橘って言ったらあの有名な…』
「はいストーップ!!そこには触れないように…。…いいな…?」
『は…はい…。』
龍とリリアの意味深な会話を修は聞いている余裕もなくただ茫然とあたりを見回していた。
「リ、リーダー…ここは一体…?」
「一応ブリーフィングルームのつもりなんだが…」
「こんな天井って高く作る必要ありますか?ブリーフィングの為だけに。」
『あのー…まだ始めないんですか~?』
……そんなこんなでブリーフィングが始まった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃ…リリア、説明よろしく。」
『りょーかいっ!!』
そのリリアの声と共に周囲に電子パネルが空中に多数出現した。
どうやら各パネルには別々の情報が書かれているらしい。
その周囲の電子パネルから二つ選び出し龍が円陣に並んだメンバーの中央に動かした。
「今回の依頼は潜入の分類となる。リリア、詳細を。」
『はいはーい。』
「なぁ…リーダー、さっきからそこらへんを飛び回ってるホログラムは…?」
「あれ…まだ言ってなかったか。こいつは…」
『どーも、初めまして!私はリリア=グラスデインって言います!主に依頼情報の処理や、志保さんと一緒に依頼後の療養をしたり…あ、あと瀬菜さんに付いてって現場の状況処理とか…!』
「あー…そこから先はこのブリーフィング後に頼む。」
『えー…了解です…。』
リリアはブツブツ言いながらも複数の電子パネルを集めてきた。
『さてと…今回は第十五地区・B区域の第3研究所の社員である、「八神 晃汰」
が不正に研究費用を吊り上げ、私的に運用している…という疑惑があるんです。
ですが、第3研究所は政府との癒着が特に強く、
警察自体が上層部からの圧力で動けないようにされているんです…。
なので、確信の取れる証拠を突きつけて警察に動いてもらう…というのが今回の目的です。
因みに、依頼者は同研究所の上司さんです。…っと、こんな感じですかね。』
「よし。瀬菜、初期配置を頼む。」
「了解です。」
瀬菜の一言と同時に、地図上に幾つかのマーカーが映し出された。
「今回は3チームに主任務を分担してもらいます。
チームXには、修さんと双葉姉妹に研究所の中央奥寄りの地点で巡回ロボットを引き付けてもらいます。ロボットは全体数で200程度なのでそこまで苦戦することはありません。
その間に、私、裕さん、猛さんで編成するチームYが研究室に潜入、作戦を完了次第、Xと合流します。
チームZ…リーダーと志保さんには司令塔および負傷者への医療支援に回ってもらいます。
念の為、ミリアにはここに残ってもらって、輸送ヘリ等の手配をお願いしておきます。」
「了解。依頼開始は3日後の深夜とする。全員、装備・所持品の確認をしておくように!以上!」
龍の締めの言葉でブリーフィングは終わった。
帰りのエレベーター上で修は…
「…ん?あの地点までどうやって潜入するんだ…?」
かなりの量の疑問が浮かんだのは言うまでもなかった…。
~~~~~~~~~~~~~~~
翌朝、修の腕時計に龍からの連絡が入っていた。
『起きたら一度ロビーに来るように。』
その一言だけで片づけられる用事とは…
不思議に思いながら修は龍のいるロビーへと向かった。
「おぅ。昨日は眠れたか?」
「あれだけ難しいことを昨日一日で詰め込まれて、安眠できると思うか…?」
「だろうと思ったさ。」
「じゃあ何も言わず寝かせてくれ。」
「それはダメ。」
笑顔で要望を一蹴され修の眉間のしわは深くなる一方だ。
「じゃあさっさと用事を終わらせようか。」
そう言って龍は椅子から立ち上がり、地下へのエレベーターに向かった。
渋々ながらも修も後からついていく。
~~~~~~~~~~~~~~~
「へ?使用権限を停止した?」
『はい。リーダー…もとい灯堕 龍のジムの使用権限は停止させられました。』
ミリアにそう言われ、困惑する龍。
その時、修がとっさにミリアに疑問を投げかけた。
「その…使用権限停止を出したのは?」
『愁看 志保です。』
「やっぱりか…。大方、前のこともあって俺と一緒にいるときは使わせないようにしているんじゃないか?」
「う…あれは……本当に故意にやったわけじゃないんだが…。」
頭を抱えながら落ち込んでいる龍を横目に修はミリアに向き直っていった。
「なあ、ミリア。今…志保さんと連絡取れそうか?」
『確率上ですが…可能と思われます。』
「ちょっとつないでくれ。直談判してみる。」
『了解しました。』
数秒たって目の前に志保の映ったモニターが出てきた。
「はいは~い。…って修さん?どうされました?」
「あぁ……リーダーのジムの使用なんだけど…。」
「あぁ、それなら確かに私がミリアに頼んで停止させていただきました。」
「それなんだが…何かリーダーがここに用があるようでさ…。」
「一応言っておくが、修。その用はお前関係なんだからな。」
「そうやって先日みたいにまた重傷者を運ばれて来られる気ですか?」
終止笑顔の志保。…これはこれでかなり怖い。
「そこで提案なんだけどさ…休息とか終了時間は俺の判断でするから…それで権限戻してやってくれないか…?」
「ダメって言ったら…どうします?」
「…あぁ…分かった分かった…。修の分の装備は俺のほうでしっかり準備しておく…。」
「ん~……じゃあ、あと約束一つで。」
「…なんでしょーか…。」
「次、誰かを重傷で運ぶようなことがあったら……」
ーーーーーーーーーーーーーーー
その後、無事にジムに入ることのできた修と龍は…
「コード、150-2、起動。」
『code150-2、起動します。』
ジム全体が、前回来た時よりもさらに広い空間へと変わった。
「それで…いったい何をしようっていうんだ?」
「その前にちょっと質問。」
と、龍は修に向き直った。
「お前は近くに敵がいて、手持ちに武器がなければ…どうする?」
「そりゃ…強器を出して斬り伏せる…だろ。」
「それじゃ、相手が銃を持って遠距離にいたら?」
「こっちの攻撃可能範囲まで近づいて斬る。」
「…思った以上に単純なんだな、修って。」
「…何だ、悪いか?」
「他にあるだろ…。ほら、近づく以外に。」
「他に……………。」
これ以上深く考えていても修が答えを出せないと悟った龍は大きなため息混じりに…
「『こちらも遠距離で対抗する』って選択肢はないのか…。」
「そんな選択肢、元から無い。」
「『そんな事できた覚えもないから』…とか言うなよ…?」
「う……。」
確信を突かれた修は何も返さずそっぽを向いた。
「そこで…だ。そんな状況にも対応できるように今から特訓するわけだ。遠距離にも対応できるようにな。」
「俺の大剣でも可能なんだよな…?」
「じゃなきゃお前に話してないだろ。訓練したから花音の鋼拳や、志保の鎌も…猛の斧だって遠距離攻撃ができるようになった。お前だけ使えないのもリーダーとして嫌だしな。」
「…それは…確かに嫌だ。」
「だろ?…さ、それじゃあ早速…」
その時、ジムの扉が開く鈍い音が鳴り響き、その奥には志保が立っていた。
「ん?どうした、志保?…まさか…あの条件でまだ…。」
「いえ…用があるのは修君なんです。」
「へ?俺に…?」
ホッと安堵する龍の横を通り過ぎ、志保は修に歩み寄り…
「まだ特訓前ですよね?これ、どうぞ。」
一粒のカプセルを渡した。
「…これは…?」
「えーと…とりあえず今は何も聞かないで下さい。ささ、グイッと。」
不安三割増の台詞を聞き、一層大きな不安と恐怖感に呑まれ…
(毒とか…入ってるわけ無い…よな?)
等々考えた修は意を決してカプセルを飲み込んだ。
「…どうですか…?」
「志保、今修に飲ませたのって…。」
「はい。アレですけど…。」
「じゃあ大丈夫だな…。修、警戒しなくていいぞ。特訓用の特効薬だ、確かな。」
「自己治癒能力や疲労回復速度の強化、あとは…筋力増強の助力の効果…でしたね。」
「…ってことは…。」
「はい。不眠不休でも二十時間に一時間位の休息があれば倒れる程に疲れることは無いと思います。」
「だと。よかったな、修。」
「あ、ありがとうございます。」
その後、志保は治療室に戻り、修と龍は特訓を開始した。
「それじゃあ、最初は基礎身体能力を上昇させるか。」
「基礎身体能力…?」
「早い話、筋トレだな。まずは…走りこむか。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
20時間ほど後、修は休憩を入れた。
「…おい、修。こんなの聞いてないんだが…。」
「ん?どうした、リーダー?」
「お前…最初の走り込みから今のスクワットを終わるまで…ぶっ続けだろ…。」
そう…修は150キロ(4分/km計算)を走り続けた後、腕立て・腹筋・スクワット各5000回を不休でやっていたのだ。
勿論、一般からすると無理難題である。
「小さい頃から鍛えられていたからな…。そんなに変か?」
「どんな鍛えられ方されてたんだよ…。ま、これなら基礎訓練は必要ないみたいだな…。」
「…ってことは…。」
「あぁ。技の訓練に入るぞ。」
ーーーーーーーーーーーーーーー
「いいか、剣先に意識を集中させるんだ。軌道がそのまま波状になるようにな。」
「…意識、意識…波状に…はっ!」
修が大剣を振りぬいた瞬間、小さな波状が空を切って飛んでいった。
…が、すぐに消滅してしまった。
「よし、その感覚を忘れずにな。」
「…結構…精神持っていかれるな…。」
「これをあまり意識しなくても50m近く飛ばせるようになれば大した物だな。」
「50…今どれくらいだ?」
「せいぜい…8が良い所か。」
修がこの波状を50m先まで出せるようになる頃には、もう三日目の朝が来る頃だった…。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「よし、それじゃ、最終確認だ。
ここにある500mのアーケードコースをどんな手を使ってもいいから、1分以内に走ってこい。」
「500mを…か。…面白い。」
そこには多数の人形や自動の床、滝のように落ちる水流、匍匐前進でギリギリ通れそうな高さの通路…そして50mはあろうかと言う壁が龍の足元にあった。
「一応、どんな手を…とは言ったが、ステージの破壊だけはするなよ。」
「誰ができるかよ…。」
そう言って修はスタート地点で体勢を整えた。
「した奴がいるからな…。じゃ、始めるぞ。カウントダウン開始。」
『カウントダウンを開始します。5…4…3…2…1…ゼロ!』
修はミリアの掛け声と同時に駆け出した…。
…continue to the second time(中編に続く)
えー、皆さんいかがでしたでしょうか?
肝心の依頼は中編から…という事でそれまでに修はどんな力をつけたのか…。
(150キロぶっ続けとかそもそも人の成せる技じゃないですけどね。)
引き続き、ご意見、ご感想、ご要望、何でもお待ちしております!!
では、また第弐章 中編でお待ちしております!!