「つまり、死んでもやっぱり平気ですね」
「第一章無事に終了できそうだよ」
「だといいのですけどね先輩・・・」
「?てか、お前出番今回からだぞ?」
「(無視)本編始まりまーす」
裏道を歩きつつ次はどこヘ行こうか、なんて少年は考えていた。先ほど居た西地区から東地区に移動を開始した。クレープは既に半分ほどなくなっている。歩きながら食べるとは行儀悪いよ~
「ちょっと待てよ。ここ通るんだったら通行料出してもらおうか」
「あんたら誰?」
おやおや、出てきた少年グループに取り囲まれちゃいました。8人。
「ノースウルファーズ8を知らずに裏道を通るとは良い度胸してんじゃねえか。なあ!お前ら!」
まったくですぜ、と以下7人が続く。
手に持っているのは角材や木でできた剣。ついでに鉄パイプ。
「で、何のようです?烏合の衆、じゃなくて雑魚には用はありませんけど?」
「野良犬とは酷ぇ言われようだな。その口を利けなくさせてやる代わりに金で許しやるよ。ここを誰の土地だと思ってる?」
「全て僕のものだが?」
クレープを全て食べ終えると包み紙をくしゃくしゃに丸めた。
ゴミのポイ捨てをすると(真似してはいけません)何も無い所からやたらとデカい鉛筆、通常の10倍サイズが出現した。全部削ってあります。尖ってる、刺さる!
「おい・・・今どこから出しやがった?」「スキルホルダーか?」「ってかあれなんだ?」「六角柱?」
「・・・大きすぎた」
大量生産開始。普通サイズの5倍の大きさに変えた。16本分完成。
「ふんもぉっふ!」
もふもふもふもふもふもぉっふ!
ものの数秒で全身貼付けにされたノースウルファーズ8。
「頭の悪い君たちに勉強を教えてあげよう。今右側の君たちが貼付けにされているこの形は正方形、左側の君たちは正三角形でそれぞれ面積の求め方は・・・」
「そ・・・それくらい知ってるし・・・縦×横と底辺×高さ÷2だぁガクッ・・・」
「はい、足りません(ニヤニヤ)もう少しアバウトに・・・あれ?気絶した。まあ、いいや。これだと人を殺さないからいいけどな〜」
「「「見つけたぞぉ!」」」
「嘘だろ!今さっき巻いたはずなのに!」
「そして無用な殺人を犯した!ここまですべてをサナ様に報告させていただくぞ!」
「殺していねえ!鉛筆は許可を貰った武器だ!」
「どちらにしろ!まずは城に連行だ!ヒリュー様を捕まえるぞ!」
「くっ・・・」
疾走する少年改めヒリュー←この表現何回も出て来ると思われます。
兵士たちが持っているのは鎧とハルバードではなく、軽装の肩鎧と誕生日用風なクラッカーだけである。
狭い路地を何人もの男衆が走っていく。
しかし、挟み撃ちに合いとうとう追いつめられた。
「さあ、城へ帰りますよ!」
勢いよく紐を弾くと放たれたのはパァンッ!でもカラフルなテープや紙でもなく光でできた網だった。
「くっそー働きたくないでござる!働きたくないでござる!」
「はいはい。サナ様に説教してもらってください」
□ ■ □ ■ □
「ヒリュー様・・・また脱走なされたのですか?」
声をかけるガイア。
「いいじゃんか。ってか、門番だからここから出て行く兵士止めて欲しいな」
「そんなことをやったらサナ様に怒られますよ」
「いいよ、あとで僕が責任取るから」
「それで戻って来なかったら結局私たちへと責任が来るのですが・・・」
「まあ、そうか」
「ヒリュー様」
「ん?何だジッツ?」
城門脇に立っているジッツと呼ばれたメガネをかけた執事風の男が答えた。
「その発言、次もまた脱走するつもりですね?」
「あ・・・まあ、・・・正直に言えば・・・そうなるかな」
「その旨、しっかりと伝えさせていただきます」
「チクリ魔どもが〜〜〜〜!」
悲痛な叫びが城の中へと消えていった。
「事情はわかりました。下がりなさい」
「はっ!」
簀巻きにされたヒリュー、王室にはその他に扉を塞ぐ門番2人とグラナス、そしてヒリューと玉座に座る同じ年頃の少女とその侍女の6人だけになった。
「で、何回目ですか?」
「知る由もない」
「マレッド、ナイフを」
「畏まりました」
マレッドと呼ばれた侍女はテーブルの上にきれいに揃えてあるナイフを一本手に取り少女に手渡した。ちなみに銀製。
「死なない体質っていいですよね〜殺したって死なないんですから。ところで、反省はしないんですね。そんな悪い先輩にはお仕置きが必要ですよね〜」
「覚凪、落ち着くんだ、落ち着け。僕は死なないんじゃないんだ」
「どの道、殺されたって生きている先輩は死なない同然の意義でとらえることでよろしいですよね〜♪」
「話せばわかr」
ドスッ!
「ぐはっ・・・」
「マレッド、次から次へと」
「畏まりました」
ドスドスドスドスドスドスゥッ!!!
ナイフだんご一つ完成、とまではいかなくとも全身ナイフまみれ(血は出ていません)になったヒリュー。
黒い笑顔で覚凪と呼ばれた少女は言い放った。
「そのまま反省でもしておけばいいのですよ」
「・・・・・・」
「皆さん、解散してください。あとはどうにでもなるので」
そのサナの声により2人を残して全員解散し、それぞれの持ち場へと戻っていった。
ーーー5分後ーーー
全身からナイフを落とすと何事も無かったようにヒリューは立ち上がり、
「やれやれ、死ぬのは痛かったんだぞ。まあ、痛覚止めるけど」
「つまり、死んでもやっぱり平気ですね」
「うおあ!?居たのか!?」
「立ち去った覚えもありませんよ?」
「ああそうですか。で、なんのよう?」
「先輩はどうせ反省してないでしょうけど」
「仮にそうだとしたら?」
カチャッ
「・・・あの、ナイフはしまいましょうね?」
「(サッ)先輩はなんかもう形だけ王様ですよね〜」
「いいんだよ。だってネクロさんに言われてこの国取っただけだから」
「ネクロさんネクロさんっていったい誰なんですか?」
「ああ、紹介してなかったっけ?あいつはーーー」
「おっと、今はそれ以上は禁則事項だぜ?」
またしても突然現れた真っ黒なワンピースを着た真っ白な長い髪の少女。
「邪魔でもしにきたのか?」
「うん。こんにちはサナ・キリトキさん。ボクの名前はネクロ・キルゼナド・ディアクトノス。気軽に親しみを込めてネクロさんと呼びなさい」
「えーじゃ、その通り呼ばさせてもらいますねネクロさん。ところで、ネクロさんは何者なんですか?」
「ボクは死神」
「おいおい、さっきの僕の発言を止めてまで自分で言いたかったのか?」
「うん、そうだよ?」
「し・・・死・・・神・・・?」
「ああ、覚凪大丈夫。こいつは魂の回収することは滅多にしないから」
「うんうん、ヒリュー君の言う通りだよ。ところで君たち2人に伝達事項があるから来たんだよ」
「『ボクは死神』」
ボグフォォォォォォ!
ずざざざざ!
「で、そろそろいいのかな?伝達事項っていうのは『第一章終了打ち上げパーティーこのあと城第一ホールにて行うので直ちに来るように』と言うわけだからその落ちてるヒリュー君を引き摺ってでも連れて行ったげてくださいな。僕もあとで向かうからさ。よろしく〜
ずざざざざざざざざざざざざ。
ヒリューをずるずると引き摺ってサナは退出していった。階段をダダダダダダダダダと何かが叩き付けられる音がした。『いててててて!』なんて悲鳴が聞こえている。
ちなみに、パーティーに集められているのは今現在生きているメンバーのみである。よって『元』この国の王様(化け物)は出て来ないわけなのである。
下がだいぶ騒がしくなってきた。そうして、このボクことネクロは階段へと向かっていった」
「今の地の文じゃないのかよ!」
突然空間が裂けてヒリューが出現した。
「おや?ボクは鍵括弧の「」を最後に付けていなかったぜ?」
「・・・はぁ。まあいいけどさっさと始めるとするよ」
メタ発言を飛ばし続けた2人はようやく一階へ降り立った。
「せーの!」
『『『本編、ここからスタートです!』』』
スキル無登場回。