プロローグ
おい、ガキどもよ。
俺には、死ぬほど可愛くない弟がいた。それはそれは、お前たちのようなだ。
え? 紙芝居と何の関係があるんだって?
は? 今から繋げるんだっての。巧みな言葉運びでだな。
うっせ! いつも、やってるし~。逆ギレとかしてないし~。うっせ!
あぁあ~。折角とっておきの紙芝居持って来たのになぁ。読むの止めよっかなぁ。
え、何。園長先生に泣き付くって?
はい、すみません。精一杯読ませていただきます。
……くっそ、覚えてろよ。真夜中に忍び込んでぎったんぎったんに――
あ。あっはっは。先生、こんにちは~。え、あ、そうなんですよ~。ちょうど今。え? いえ、何にも。一言も発してないです。はい、むしろ声も出してないって言うか。はい、そうです。それは嘘です。ははは。先生ったら心配性だなぁ。
あぁ、そうだ。今日はお菓子タダでいいぞぉ。
……行ったか?
ったく、お前らよく食うな。食ったからにはちゃんと宣伝しろよ。
はい、せ~の。
紙芝居のお兄さん、優しくて格好いいから好きー。
うんうん。日に日によくなってるぞ。あ、ご近所さんにもチャンスがあったら言えよ?
あと、途中セリフに元気がなくなった奴とおじさんって言った奴、居残りな。
はーい。聞こえませーん。紙芝居始めまーす。
昔、ヒトは競い合っていた。
自分たちの力が一番だと世界に知らしめるために。
強さはそこにあったのだろうか。
未来はそこになかったのだろう。
力はぶつかり合い、止める者のいない争いは止まるはずもない。
世界が崩れゆく時。
死者の魂で、一つの石が創られた。
城の中の鳥は、自らの命を石に捧げ――。
そして。
世界が始まった。
これは、それから百年経った『平和な世界』に生まれた旅人たちの物語。
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幼いころ、紙芝居を読むお姉さんが魔法使いに見えませんでした?
いや、怪しいとかそういうことではなく。