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-NOVA-  作者: 原田酒
二章 魂と放熱編
7/12

任務

ちょっといつもより長くなっちゃった。でも、他の人はもっと書いてる気がする...でも気にしない、気にしない。

「本来私達が使う機械(メカ)という物は、ソウルエネルギーを使用して戦うものだ。君の持ってるその大剣も、君から放たれるソウルエネルギーを吸収してパワーを得るわけ。これが僕たち郷衛神団の戦い方。これだけじゃないよ?ホロコーストとか、自分オリジナルの能力を駆使して戦う子もいるし、僕たちみたいに武器を頼りにして戦う子もいる。ホロコーストや操命魂を使えてて、そしてそれをマスターしてるような奴らは異次元。超能力バトルみたいになっちゃってるんだ。ちょっと複雑だけれど、これが僕たちの戦い方の形なんだよね」


あの戦いが終わって、アジトでゆっくり休んでいた所だった。ふとレックスはあの時なぜ大剣、「ケルベロス」が燃え盛ったのか、気になっていた。


それをたまたま通りかかったルースに聞いてみたのだ。


「へぇ...なんかよくわかんないっすね」


「今はまだわかんなくていいんだよ、その内、経験を積んでったらわかるようになってくるさ」


「そうすかねぇ...」


「デア・ヘロイン!ナイク・レックス!至急作戦会議室へ来い!」


このアジトには作戦会議室がある。勿論、このチームの性質上、作戦会議などした事は無いそうだが、こうやって連絡事項や任務への出動命令が下される時に使われるそう。今回は出動命令だろう。


なぜならいつもはアジトにいないリーダーの代わりにあの重厚な鎧を着た人物、サン・ベルセポネーがこうやって収集をかける。


今回がレックスにとって初の任務になる。


「迅速な集合感謝する。加えて、レックス。この間の新人戦、よくやった」


「あざす!」


「二人には任務を与えるようにリーダーから伝言を受けている。内容は、グローリーヴァースのフランシスにあるナータシー村で、最近殺人事件が後を絶たないらしい。犯人の目星はある程度着いている。こいつだ」


ホワイトボードにバンと張り出されたのは、ブラウンの髪のドレッドヘアー。しかもオールバック。

常人の白目は無く、その部分は赤く染まっている。見た目だけで言えば完全なる異常者だ。

この人物についてをベルセポネーが話す。


「こいつは服役していた過去がある。その時の写真だ。この写真を頼りに探せ。犯行時間は決まって夜9時。その時間帯を狙って村を見張れ」


「はい!」


「そして最後に1つ。この任務には他のチームの人間も来るからな。手分けして探すといい」


「それって何処のチームですか?複数のチームから来たり?」


そんな村ごとの捜査など、2人だけでするのかと、レックスは疑問に思った。


「それはまだ知らん。行ってみないと分からん。朝8時までにそこにいる奴がメンバーとなるだろう。それよりデア、お前はあまり全然に出るなよ。お前は後方支援に回ることを意識しろ」


「えぇっ!どうしてですか!私、もっと前線で戦いたいんです!」


驚いたデアを前にベルセポネーは諭すように、また自身も悩んだ末の発言の元、続ける。


「お前の戦闘スタイルじゃ、それは厳しい。我慢して後ろから敵を攻撃するか、その戦闘スタイルを変えるかのどちらかだ」


「そんなぁ」


残念がったデアを横目に、真っ直ぐ前を見て切り替え次の連絡をベルセポネーは伝える。


「出発は翌朝5時だ。寝坊だけはしないように。以上、解散」


「5時!?早いですよ!」


驚き項垂れた声で反応するレックスを厳格にベルセポネーは叱った。


「お前が遅いだけだレックス!こんなのは当たり前だ!今のうちに支度を済ませておけ!明日じゃ間に合わないからな!解散だ!」


「...明日起きれっかなぁ?」


未だ俯くデアと、それを他所に明日の朝の心配をするレックスだった。





そこらの草には朝露が付いていて、まだ昇りたての太陽の光をきらきらと反射している。


アジトの周りには塀があり、まるで城壁のように高く、巧妙に作られている。だが角がかけていたり所々に苔らしきものが見える。相当年季が入っているのだとわかるものだった。


その塀の間の大きな門を潜り、この前の新人戦で勝ち取った賞金で買ったランドヴァース製のバイクに跨り、後ろにデアを乗せエンジンをかける。


「しっかり捕まっててくださいね、デアさん」


「ありがとう、レックスくん。そういえば、フランシスのナータシー村までどのくらいかかるの?」


デアはじっとしていることが特に苦手である。だからデアは村までの距離を聞いたし、前日後方支援をしろと言われた時にショックを受けていたのだ。


「大体2時間半ほどですかね?このバイクとんでもなく早いんで、そんくらいで着くと思います」


レックスはヘルメットを着けながら話し、後ろのデアにも着けるように促す。


「長いなぁ、出せるスピード最大にしてね。捕まらない範囲で」


「わかってますよ。じゃあ、行きますか」





「アイム シンギン イン ザ レイン...」


コツ。コツ。と音を立たせながらゆっくり歩んでいる男がいた。ぶつぶつと歌を歌っている男が。

腰の両側に数字の7の形をした武器をぶら下げている。背中にはサブマシンガン。右太腿の外側にサバイバルナイフ。赤いフレアズボンにに革のブーツを履き、上はタイトなインナーのような素材が目で見て取れないようなのを着て、男の目は黒い前髪で隠れている。


「なんだ、てめぇ!なんなんだ!何が目的だっ!」


目の前の完全武装の男に追い詰められているもう1人の男。1人の刑事である。拳銃を抜き、完全にパニックになっている。


刑事の問いに男は口をゆっくりと開く


「だから、さっきっから言ってるじゃないか?俺はね、レストラ・タラスクというを男を探してるんだ。これが最後だよ。君に説明してあげるのは。その男の場所を話してくれればいいだけなんだ」


刑事の呼吸がどんどんと荒くなっていく。


そして遂には発狂し始める。何もかもが分からなくなっていく。


「来るんじゃねぇ!俺は知らねぇぇぇ!」


そう叫んだ直後、引き金が引かれた。


短い感覚でなりゆく銃声に。


刑事は蜂の巣になった。


「遅いんだよなぁ、撃つのが。誰か教えてくんないかなぁ、レストラの場所」


再び男は、雨に歌った。



フランシス、ヴェルサ村。人口7968人。

小さな村であるが、そのぶん人が暖かい。

この村の特産品はチーズであり、フランシスの首都、パーリでも有名なものとなっている。

フランシスの言語はは全体的に母音の「o」の音が全て「a」と同じ。つまり、「ありがとう」も「ありがたう」となる訳だ。少し変わった聞こえになるが、そこまで言語が分からない訳ではなく、フランシスはランドヴァースからの留学生、旅行者に言語がさほど変わらないため人気である。


なぜこうなったかは、ランドヴァースのアメリカ生まれの科学者、ノヴァ・ジョニー・ウォーカーが、人類機械間戦争のアメリカ、イギリス、イタリア北軍の3カ国からなる天帝軍の最高戦力となった、殺戮兵器、「NOVA」を制作するためにイタリアのミラノへやって来たことが関係する。


当時天帝軍は戦争に参加していなかったフランシスを占領しており、徹底的に英語を国民に話させるようにした。少しでもフランシスの言葉。当時はフランス語と呼ばれていたものを話した場合、その場で惨殺されてしまった。そのため皆死ぬ気で英語を覚え、フランス語を話すより英語を話す人間の方がフランシス国内で増え、今や都市の名前までも英語寄りになってしまっている。



「ねぇ?まだつかないのー!」


出発してから2時間。予定時刻通りには着きそうであるが、耐えきれなくなったデアがレックスに問い掛ける。


「後もう少しですよ。後...30分ぐらい」


少し呆れて答えるレックスにデアはやはり反応する。


「ええっ!30分!?長いよぉ!もっとスピード出してって!」


「そんな直ぐには着きませんよ!それにこれ以上スピード出したら捕まっちゃいますから!」


そんな事を話していたら、後方からエンジン音がいくつか聞こえてくる。低く大きく威張った音に、ついデアは振り向いた。


「何あいつら...!すんごいバイクの数」


怪訝な顔を示すデアにレックスはこう言う。


「多分暴走族ですよ。それか...盗賊とか...」


レックスは後ろを振り返ってその集団を確認する。


「いや違う...多分あいつら刺客だ!」


「ならここはあたしに任せてっ!」


そう言うとデアは途端に立ち上がり、バイクに後ろ向きで構えを取り始めた。


「ちょっとデアさん!危ないですって!」


レックスも慌てるが、そんなことは気にせずヘルメットを脱ぎ捨て白銀の長い髪の毛を後ろで縛り、本人ほど身長(158cm)と同じくらいの長さの機械仕掛けの杖を取り出す。


「ちょっ!そんなのどこにしまってたんですか!」


運転しながら思わずレックスもつっこむ。


「これね、伸縮可能な杖なの。だから持ち運び簡単って訳!」


いや、そうじゃないだろと思いつつも、背中を任せながらレックスはバイクを走らせ続ける。


そのうち、集団もピストルや何やらと武器を出し始め、乱射してくる。


「甘いわねぇ!よっしゃ喰らいなさい!」


高らかに叫んだ後杖を構えて言い放つ。


「『スティッフ・アッパー・リップ』 !!」


杖先に光が出現し、凄まじい速度でそれが放たれる。高く爆発音が鳴り響き、その爆風でバイクが加速する程だった。


「やりっ!」


喜ぶデアの後ろで、レックスはドン引きしていた。

目的地が見えてきたのでレックスはそのことをデアに伝え、しっかりと座るように言う。そして続けて

「すごいっすね」とこぼす。


「ううん!全然!まだまだ強い攻撃出せるんだから!」


意気込むデアを少し可愛く思ったレックスは、もうそろそろおりるから準備してくださいねと、促す。


宿泊施設に着いたのでエンジンを止めてストッパーを下ろし、バイクを駐車する。


昔ながらの扉を開けてチェックインして荷物を各自の部屋に下ろして、村の指定された集合場所へ徒歩で向かう。


時刻は朝7時43分。少し早いと思った2人だが、先に着いた何人かが集合場所で話しているのが見えた。


デアがそこへ駆け寄り声をかける。


「おはようございます!あなた達は...」


1人は褐色肌で、古来のエジプトの壁画によく書かれてあるアヌビス神。とよく似た服装に身を包んでいる。


それは郷衛神団のチームのひとつ、エネアドの隊員服だ。金の雫型の耳飾りをして、さらに唇にもピアス。袖から見えた腕には蛇のタトゥーが入っている。ネイビーの髪の毛で、髪型は腰ほどまで伸びた綺麗な髪。


性別は...多分...いや、断定しない事にしようとレックスは思った。


もうひとりはバイキングのようだが動きやすそうなサラサラとした質感の服に、どうぶつの毛皮でできたと見える分厚いマントを羽織っていた。フード付きで、狼の頭部上半分が着いている。だがそこにはあまり野蛮な雰囲気は無く、落ち着いているようだった。その装備はアスガルドというチームの隊員服であった。


髪の毛は黒だが、毛先に向かうにつれて赤くなっていく色合いをしていて、いかつくオールバック。美しい顔立ちだった。


そしてその男がデアに答える。


「お前達で最後か?今回のメンバーは?って...そのブローチ、タルタロスか?」


タルタロスは特別な隊員服がない代わりに、必ずタルタロス専用のブローチをつける必要があった。


デザインはケルベロスをモチーフとしていて、真ん中の頭が前を向いて、後のふたつは左右を向いている。


タルタロスのメンバーは皆、そのブローチを気に入っていた。


ボブの彼女は話し始める。


「タルタロス...ですか。一応言っておきますが勝手な事はしては行けませんよ?わかりましたか?」


見た目とは相反した母親のような口調だった。その優しい耳触りの声で続けて


「私の名前はイシス・ハンナビ・クルクス少し覚えずらいかもしれないけれど...そうね、イシスさんって、呼んでくれると嬉しい...かな?」


隣の厳つい男も続いて


「では、私も。私はビューエ・ウル。アスガルド所属のアーチャーだ。よろしく」


どちらも見た目に反する口調と優しさに呆気を取られていたが、ハッとしてレックス達も自己紹介をする。


「ああ、俺ナイク・レックス。レックスでいいよ。そんでこっちがデア・ヘロイン」


「よっ」と挨拶するデア。それにウルはその気軽な人当たりに少し驚いていたが、イシスはにっこりと笑っていた。


間もなくして、甲高い声で誰かが叫んでいるのをのをそこに居る皆が聞いた。


「向かうぞ」


冷静にウルが指示を出し、声がした方向へ向かう。


「大丈夫ですか!」


一番に声を上げたのはデアだった。即座に鉄の杖を構え、その先へ集中を向ける。「行動を起こしたら撃つ」と言葉にせずとも訴えていた。


一同が見た景色は、ウォンウォンと音を立てながら回転するプロペラなようなものを腕に装備した、真っ赤な目の男が、女性を脅していた。


ブラウンの髪、ドレッド、オールバック、白さのない真紅の目。間違いなかった。


男が壁に女性を追いやって、こちらを振り向いた時、レックスたちは即座に気付いて武器をそれぞれ取った。


「なぁ、郷衛神団の犬共...このジャケットいいと思わねぇ?さっきこの村の仕立て屋で特注で作ってもらったんだけど...すげぇ気に入ったんだ」


男がプロペラを女性に向けたまま、口を開く。

よく見ると、そのプロペラは背中から伸びているようだ。改造したと思われる。


「ああ、いいと思うぜ俺。ただ女性を脅すのは許せねぇな」


レックスが警戒しながら話す。


「...そうだな」


ウルも賛同し、他2人も警戒を続ける。


「...それもそうだなぁ、こんな一般人に話を聞いても知っている訳ないもんなぁ?」


「た、助けてください、い、(いなち)を、助けてくださぃぃ」


涙声の女性が訴えかけてくる。


「おお、その変な訛りで話さないでくれ。感覚がおかしくなる。さっきそこの仕立て屋のおっさんも、訛りが酷かったもんで殺してしまった...何も、情報を話してくれないしね」


「...貴様ッ...!その様な行為ッ!このウルが許さんッ!1ミリでもその腕動かして見るがいい...この私の矢が貴様の首を跳ね飛ばすッ!」


「威勢はいいが...いや、それはいい事か?取り敢えず、先ずは一番血気盛んなお前から、切り刻んでやろう」


瞬間、男は脱力した。


ゆらっとして、身を任せたまま姿勢が低くなった時、即座にしてウルの足元へ入っていった。


唯一反応できたレックスが、男を断ち切ろうとするが、プロペラで跳ね返される。


そのまま男は華麗に足払いを仕掛けてくる。


(コイツ...やる奴だ...!)レックスが直感的にそう思う程だった。


男は一旦距離をとって再び話し始める。


「まあ、まあ。武器をしまえよ、お前さん達」


「誰がしまうものですか!」とイシスは答える。


「うーん、じゃあ、分かった。ここじゃあ狭いし、俺の部も悪い。2人だけ着いてこいよ、この俺に...この俺、レストラ・タラスクに...」


あからさまな挑発だった。が、ウルはそれに乗る。


「良いだろう。ここでは人的被害も少なくは無い。そこらの荒野へ移動しよう。そこできっちり頭ぶち抜いてやるッ」


その声は物騒でありつつも何処か地に根を張った、重みのある落ち着いた声だった。


「私も行きます。ウルさん」


「頼みましたよ、イシスさん」


意思疎通の終わり際、機械音が鳴る。腕のプロペラはレストラと名乗る男の頭上に位置を変え、そのままヘリコプターの要領で飛行していた。


「そんじゃ着いてきな、そこに着いたら切り刻んでやる」


デアとレックスは市民の救助と避難を任された。従ってあの二人がターゲットを追い掛けた直後、女性を避難させ、近くの仕立て屋を調べた。

その店主の男は幸いにも息があり、止血をして、病院へ担ごうとしていた。


「アイム シンギン イン ザ レイン...」


突然、うっすらと雨に歌う声がレックスに聞こえてきた。


もちろん、今は雨など降ってはいない。


村を出る大きな看板の向こう。ある男がこちらへ向かって歩いてきた。


「ナウ シンギン イン ザ レイン...」


レックスが見たその向こうには、闇が滲んだ雨に歌う男と、ガラガラとした武器たち。


それは、間もなくしてゲリラへと変わる悲劇の訪れを示唆していた。















悲劇が、尋ねてきましたよ...1人の男を探して...

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