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-NOVA-  作者: 原田酒
一章 新人大乱戦編
6/12

再生の象徴

おっす!オラはオラ!

霧の中 消えぬ驚異と 死の香り 空すら見えず 死に物狂い。



「畜生め...」


「さあどうするレックス!どうやって切り抜ける!」


霧から抜け出せないかと走って見るが、その努力も虚しく、その白銀の世界からは抜け出せないままだった。


かと言って、その場に留まっても、ヘルメスの分身体が襲いかかってくる。


「何かないか...?なにか打開策は...?」


「ほらほらー?そうやって悩んでるなよ!どんどんと僕の分身体が君みダメージを与えてるんだよ!」


何処からか分からないがはっきりとその声は降り注がれている。


「へへっ...はあっ...ちくしょうどんだけいんだよ...」


少し前までは太刀打ち出来ていたが、体力もすり減ってきて限界に近かった。


「いや...これでいいのか...?」


「そろそろ終いにしようか!人が殴られる音だけをずっと聞いてても面白くないからね」


「そうだ...これでいいんだ」


鏡映乱舞(ミラージュダルク)!」


それを叫んだ瞬間、ヘルメスの身体に閃光が走った。


「がっっ!(なんだ...!体が痺れて...)」


「霧の中にいたんだなやっぱり...俺もお前も」


「はっはっ...!」


「霧ってことは服とか肌が濡れやすいんだよな?霧はちっちゃい水滴が多く集まったような...もんだからさ」


「それで光が拡散されて青白く見えるって訳だ。だから俺の視界が悪かった...」


「くそっ...何を...言ってるんだ...」


「つまり、電気で動いてるな?そのブレスレット。お前の技術力が悪かったのかなんなのか知らないが、その服やブレスレット自体に付いた水滴に、電気が流れた...」


「レックス...君はこれを...」


「もちろん、これを狙ってたぜ?それと...今の電流の光が...」


「まさかっ!」


「お前の居場所を教えてくれたぜっ!」


「こうなったら...返り討ちにしてあげるよ!」


「シュート・トゥ...!」


映拳(ペニー)...!」


「スリル!!」

(レイン)!!」


互いの怒涛の攻撃が、互いを血で染めていく。


「(最後は一発で決めてやる...勝ちは貰ったぜヘルメス)」


「これで終わりだレックス!腹にこの一発をォ!」


「どりゃァァァァ!!!」


その大剣の行く末に迷いはなかった。


その剣はヘルメスの右肩に降り掛かり、重い一撃を、確実な一撃を与えた。


凄まじい砂埃が立ち上がる。


それが会場を包み込んで、その煙の中で歓声が聞こえる。


次第にそれは困惑の声に変わっていった。


が、直ぐにまた歓声に変わった。


砂埃が晴れる。


一人の男の影が見える。


「立っているのは!ナイク・レックスだァァァ!」


熱の入った実況が声を大にして叫んでいた。


二人の攻撃がぶつかった時、ヘルメスの拳はレックスの左頬を掠っていた。


それをレックスは避けて、あの重い一撃を入れた。


すっかり砂埃も落ち着いて、空も澄んでいる。


レックスは顔をいっぱいの空に向けて目を窄めた。


「ねぇ...レックス...」


「なんだよ?あんまり喋らない方がいいんじゃないか?」


「キミ...強いね」


「そりゃ、どうも」


「僕の親が、酷い人でね」


「僕がまだ8歳の時に離婚して居なくなった。唯一残したものと言ったら...火事の火種位で」


「それ以外はなんにも僕に残して行ってくれなかった」


「...大変だな」


「今にも焼かれそうな熱さの中で、『ああ、もう死ぬんだな』って、子供ながらに思ったよ」


「そんな時にリーダーが僕の事を助けてくれたんだ。ひとりじゃ退かせなかった瓦礫も、直ぐにとってくれた」


「格好良かったな」


「それでこの歳になるまで郷衛神団は入る事ができなかったから、ようやく入って天狗になってたのかもね」


「何とかオリュンポスにも入れて、今までの数年をずっと修行に費やして来たけど」


「君に負けちゃった...まだまだなんだ...僕もね」


「罵ってくれ...『お前は完璧じゃない』って。『お前は努力が足りなかった』ってさ」


「誰も努力は...全て認めてくれる訳じゃないと思うんだよ俺」


ヘルメスは頷いて、仰向けに倒れたまま天を見つめた。


話は聞いているんだなと理解したレックスはそのまま話し続けた。


「だから、それを否定される事もあると思う」


「でも、努力って積み重ねるのものだろ?」


「どんな努力してきた人間にも、その背景というのは絶対に存在するんだと思う」


「だから俺は言わないし、笑わないぜそんなこと。こんだけ長い間努力してたんだろ?『足りない』だなんて言わないぜ」


「へへ...優しいんだね、レックス」


「やめろよ、ちょっと恥ずかしいじゃん」


微笑んだ後、ヘルメスは目を閉じて気絶した。


「勝ったぜ...はへっ」


その笑った瞬間に身体の内側に鈍い痛みが走り、立っていることすら難しかった。


「ぐぁっ」


「レックスー!おーい大丈夫か!」


デバフやリーダーのハデスがレックスの所へ向かう中、突如としてレックスの上空に謎の炎の塊が出現した。


「なんだあれ!敵かっ!」


デバフが叫んだ。


「...奴か。このタイミングで襲撃してくるとは」


炎が広がり、温度も増す。眩しく熱く、壮絶になっていく。


「まさかっ!あのフォルムは!」


コロシアムの中がどよめく。次第にそれは恐怖の声に変わっていく。


炎は次第に形を作っていき、その姿が明らかになっていった。


「来やがったか!五大機械獣『フェニックス』!!

てめぇレックスに近づくんじゃねぇぞ!」


デバフは背中のジェットエンジンを起動させ、すぐさま飛行できる体制になる。


「待て」


「リーダーっ!なんで止めるんですか!」


「まあ、見てろ」


「フェニックス」は次第に高度を下げ、レックスに近づいていく。


「...あのリーダーは狂っているのか?」


「昔からそうだったろ、ハデス兄ちゃんはさ」


「おいおいおいおい、ありゃ助けなくていいのか?」


「いや...ハデスの事だ。何か目的があるのだろう」


「何故フェニックスがあの新入りを狙っている...?」


各チームのトップ達が、観覧席越しに議論を重ねる。


「俺はこんな所で終わるのか...?」


レックスは多少、諦めていた。だが何となく、目の前の燃え盛る機械獣からは殺気が感じ取れないようにレックスは思っていた。


「フェニックス」は次第にレックスを包み込む。


そしてレックスは轟々とした炎の中へ見えなくなっていった。


「なぁハデスさん!行かなきゃまじでレックス死んじまうぜ!」


「無駄だ。攻撃しても効果は無い。奴はダメージを受けない。死なない。正に不死鳥。」


「そんな事はわかってますよ!けどアイツを退かすくらいしなきゃァ!」


「...落ち着け」


「ハデス...何を考えている...!」


このコロシアムは三階建てである。一階には待機場とコロシアムステージがあり、二階には受付をするためのロビー、三階には観覧席がある。


一階の待機場からステージへ出る出入口から、一人の男が出てきた。


金色の髪にハデスと同じくした色の、黄金の冠。

白いローブに身を包み、そのローブの背にはオリュンポス団のマークが晴天の空に似た色で刻まれている。


「お前が出ても意味は無いぞゼウス」


「そういう問題じゃないだろう!」


彼はゼウス。姓をゴッド。名をゼウス。この郷衛神団の中でも最強と名高い男で、ハデスの弟ある。


彼はオリュンポスのリーダーであり、入団して僅か三日でその地位を築いた。カリスマ性は他にもいる兄弟の中ではトップクラスに高く、戦闘に置いて容赦はしない。両手が機械に改造してあり、ソウルエネルギーを雷へと変換する。その迅速な戦闘スタイルと、戦闘とは関係ないが、その顔面の美しさから一般市民、特に女性からは凄まじい人気を誇る。


「貴様何故あの小僧を助けに行かない!あのままでは死ぬぞハデス!」


ハデスの胸ぐらを掴み怒りを露わにする。


「物分りの悪いやつめ」


「なんだと!俺が問うているのだっ!それに答えろ!」


「そうですよハデスさん!アイツあのまんまじゃあ本当に死んじまうぜ!」


ボオッとした音と共に「フェニックス」はレックスから身を引いた。身を引いて尚、「フェニックス」はレックスを心配そうな目で見つめる。「大丈夫かい?」

と声をかける父親のように。


「ありがとう、フェニックス。おかげで良くなったよ、傷も治ったし痛くねぇ」


「何が起こってる...?ハデス説明しろ!」


「いいかゼウス、フェニックスの炎は生物を癒す力がある。その能力のあるせいで奴も死なんのだ」


「そこではないっ!何故フェニックスが小僧を癒した!何故()()ここまで来て小僧の傷を治したというのだ!」


「それは知らん」


「コイツゥ...!!」


「おい!レックス!大丈夫かあっ!」


先程のハデスの説明も他所にしてデバフは飛んで行く。


「あぁ!デバフさん!こっちは大丈夫ですよ!それよりこの人を!」


レックスは自分より戦友を、先程戦いあったライバルを運ぶ様にデバフに促した。


「お、おう、わかった。けどお前は?」


「俺なら、大丈夫です!こいつが俺の傷を癒して、助けてくれましたから!」


デバフは疑問を抱きつつ、ヘルメスを背負って戻って行った。


「なぁフェニックス?どうして俺を治してくれたんだ?」


"吾之戰士既已興矣。復振足於斯土矣。若斯嘉會,胡不與觀?況夫戰士被創而蹈死淵乎。"


「はあっ?な、なんて言ってんだよ?」


"其間必有悟。待君之盡復之辰也。"


「頼むから俺の分かる言葉で言ってくれって!」


"吾必當復來。若君臨於死淵之際,吾復必歸君所。至其時,願君自彊。冀他日他所復相遇也。"


「お、おいなんだよ!行っちまうのかよ!」


"去矣!"


再びフェニックスは炎の塊へと戻り、段々と小さくなり、いずれ消えていき、小さな羽をひとつ残して完全に姿を消した。


「フェニックスの...羽」


そのたった一つの小さな羽は暖かい炎で燃えていた。これがとてつもない力になると、レックスは直感的に感じ取ったのだった。


1章 新人大乱戦編 終


漢文わかる人は、フェニックスがなんて言ってたか、当ててみよう!

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