監獄ロック!
久々の投稿。第2話。
男の車内にはエルヴィス・プレスリーの
「Jailhouse Rock 」が流れていた。このラジオと言うものは35年ほど前にはほとんど姿を消していると聞いたことがある。だが未だに放送局があるということは、まだどこかで熱烈にこの音声だけを支持し続けている人がいるのだろう。
「さあ!記念すべき今回で放送60000回突破!
2500年11月8日の午前10時!P.Bラジオのお時間でございます」
陽気な音楽をバックに語り始めるラジオは、聞いていてどこか気分が良くなってくるものだ。
「なかなかいいものでしょう?古臭いですけど、そのレトロさって言うんですかねぇ、それがいいんですよ、この歌もなかなかいいんですよ、もう550年も前の曲だと言うのに」
役20分間車に乗っていて、初めて男が口を開いた。
「やはり、音楽は時代を超えるんですね...」
「...ええ、そうっすね」
「ところで、あんた名前は?なんて言うんすか?」
「ん?ああ、伝え忘れていたね、僕はルース・グールマン。郷衛神団の部隊の1つ、タルタロスのメンバーだよ、よろしく」
「よろしくお願いします.....あの、もしかしてなんですけど、その郷衛神団?ってところにぃ、オレ連れてかれるんすかね??」
「うん、そう」
「あーやっぱり」
「あなた、素質あると思うんですよね、あいつらから逃げれるだなんて、一般人じゃ到底無理ですよ」
へえ、と思うだけで、そんなことより男の言ったその謎の軍団のことの方が知りたかった。
あれからさらに15分経ち、地下の深い所まで車で来ると、何やらデカい館に着いた。というよりほぼ城だ。まさかアジトだなんて言わないだろうなと、そんな他愛もないことを考えていた。
「ここがタルタロスのアジトだね」
「ああ、やっぱり。なんでこんなところに?」
まあまあ、そんなことは気にしないでよと言わんばかりにルースは背中を押す。
「おーいみんな!新人だぞ!」
ルースの声に気付いたのか、コツコツと足音が聞こ
えてきた。父を出迎える少女のような明るい足音が。
「新人さん!?うわー!私初めての後輩できちゃった!うれしい!」
これに便乗し、中から何やらわらわら出てきた。
「みんな聞いてくれ!今日スカウトしてきたんだ! 名前は...?」
「ナイク・レックス」
「ナイク・レックス君だー!」
「おお!新人か!いいね!」
「ルース、お前、また見ず知らずの人間を捕まえて来たのか」
「捕まえるなんて人聞きが悪いよベルセポネ、言っただろう?スカウトだよ」
まるで異世界にでも来たように、ルックスの異様なやつらが目の前に立っている。
機械に鎧、通り魔見たいな狂ったやつ。
「歓迎するぜレックス、俺はテバフ。名前に特に意味は無いらしいが、そう名付けられたんだよ。」
機械がレックスの肩に手を回し、館の方に歩き出す。まるで本物の人間のように振る舞うサイボーグは、陽気に話しかける。
「あんたどこ出身だ?」
「グローリーヴァースのギルス」
「へぇ、そこか。あいつと一緒だよあの玄関で寄りかかってるアイツ」
「は、はぁ」
「アイツはルナ・デルソルってやつだ。なんか気が難しいやつなんだよなぁ、なんか、生意気なガキだよ、先輩を思いやる気持ちの欠けらも無い」
呆れたように吐き捨てた。
そして入口の彼も奥へ入っていった。
最初に入ってから何度右に曲がったか。最初に入ってから何度左に曲がったか。その区別も曖昧になるほど時間のたった頃。
「あれぇ、何処だったかな武器庫」
「武器庫?なんのために?」
「まさかお前、生身の手ぶらで戦おうってんじゃないだろうな?俺みたいにサイボーグならそんな武器はいらんがお前見たいな一般人は違うだろ?」
「まあ、確かに」
「ここだ!やっとだよ」
「サイボーグならそういうなんて言うのかな...データで位置を記録しておくとかそういうの無いんですか?」
「俺はそこらにいるAIとは違う。俺は脳筋メカなんだよ」
少し威圧的に言う。
「おら、好きなの持ってけ。なんでもいいぞぉ、おすすめはこれだな、このクソデカの斧!」
レックスは斧など気にせず、目の前の大剣をまじまじと見ていた。本当に、ただじっくりと。
「これだな」
「え?それ?なんだ、やっぱりこの斧人気無ぇ」
彼は落胆して言うが、あんなアクシュミなもの誰が使うんだと言わんばかりの態度で斧を横目にして、大剣を手に取った。
「ああ、これだね」
「わかったって、それやるよ。気を付けろよ!それ結構危ないんだから」
「それ、多分使われてた物だと思うぜ?そのデカ剣には改造が施されてある。まあ、初心者には到底使いこなせないと思うけど、戦って行くうちに使える様になってくるかもな」
古びたその刃を、その鋼を、まるで懐かしく思うかのように指でなぞる。
「さあ、行くぞ」
地下42階まで届く轟音が鳴り響いた。
「どうやらお客が来たようだからな」
扉を開くと、チームの何人かが既に外へ出ていた。初めてこの場所に来た時の場所が穴だらけだった。空を見上げると神々しい「何か」が地に着こうとしている所だった。
耳を澄ますと、「何か」は何やらぶつぶつと話していた。と言うよりも、機械音声の様な音を発している感じだった。
「Acquirere scopum」
「下がってろレックス」
「デバフさん?何が起こってるんですか?」
「Promptus ad launch」
「incendere」
閃光が走った。余りにも速すぎて、人間の目では其れしか認識する事が出来なかった。
だが生きている。生きているのだ。
あの殺しに来た閃光は、遥か先まで跳ね飛ばされたと解る迄時間がかかった。サイボーグが跳ね飛ばしたのだと、理解がどんどん追いついてきた。
「やりやがったなあいつ」
「おい!お前ら!大丈夫か!」
「そっちこそ大丈夫ー!?ダイレクトに入ったみたいだけどー!」
「どおってこたないさ!俺は剛鉄だぜ!」
遠く離れていても人間では無いことが分かった。だが人型で、それには後光が差していた。
「レックス、早速仕事だぜ」
「俺がやるんですか?」
「もちろん、絶好のチャンスだろ」
「まあ、やれる事はやってみます」
古びた大剣を取り出して、走り出す。
「Enemy discovery」
閃光が飛んでくる。それを避け、見極め接近していく。
奇妙な機械の間合いに入った瞬間、レックスは飛び上がった。細い腕で大剣を力一杯持ち上げ、奴に振りかざした。
当たった。どちらも直撃した。
大剣が敵の首筋に入るのと、奴のレーザーが左肩に当たるのは殆ど同時だった。
レックスが更に高く弾き飛ばされたのとは対照的に、あの機械は地面に強く叩きつけられていた。
レックスは地面に剣を突き立て衝撃を殺し着地した。もう相手は動いていなかった。
「レックスー!お前凄いな!1発じゃねえか!」
「デバフ!お前はなぜ新人を戦いに行かせたのだ!危険な目に晒すんじゃあない!」
「そう言うなよベルセポネ、倒せたんだしいいじゃねえか!」
「レックス君大丈夫?痛くない?」
「ええ、そこまで」
「そう、良かった。私ヘロイン。デア・ヘロイン」
「ヘロイン?物騒な名前だ」
「両親の頭がおかしいの。だからこんなの所に入れさせられちゃった」
「出身は?」
「グローリーヴァースのイタルス」
「ご近所だ」
「おい、新入り。この程度か?」
「あんたは...」
館の入口に立っていた若い男が、こちらに向かってきた。その男は腰に剣を差し、右腕に盾を装備していた。まるで勇者のような格好だが、最底辺の暗黒にいた様な、そんな雰囲気を醸し出していた。
「その程度で喜んでいるのか?だがまあ、最初にしてはよくやっただろう」
「ルナ、辞めてあげてよ後輩イビリは」
「そうだぜ、先輩って言っても1年しか変わらんだろ、お前もまだまだひよっこだぜ」
ルナと呼ばれたあの青年はフンとそっぽを向き、黒いマントを靡かせ館に帰って行った。
その視線の向くまま、地面に打ち付けられて原型をとどめなくなってしまった機械を見た。
右の脇腹に、「No.92. uranium」ウラニウムと書かれていた。ナンバーまである。ウラニウムとは元素記号の92番、ウランの新ラテン語である。
「こいつらは憎き悪組織、天帝の科学者が作ったロボット。元素記号と元素と同じ数だけいる。」
「天帝?」
「ああ、そいつらはこの地球を原点に戻そうとしている。計画オリジンと称して人々を脅かしているんだ。」
「ほお、ヤバいやつってことですね?」
「ああ、簡単に言えばな」
「俺は、そいつらと闘わなくちゃならないのか」
「まあ、大丈夫だよ、お前は強くなる。俺が保証する。何故なら俺がいるからな!」
この世界は混沌だ。それが運命なのだ。だがその中で生きていかねばならない。それも我々の使命であると、その時思った。ただそれが、辛く悲しくも、平和の象徴であると信じ、決心した。俺は闘わなければならない。郷に入っては郷に従えの精神で、彼は強くならなければならなかったのだ。
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雑だけど2500年の世界地図。
青がグローリーヴァース。黄色がサンドヴァース。
赤がフラワーヴァース。黄緑がランドヴァース。
水色がシーヴァース。
オーストラリアは沈みました。2432年くらいに。
本編で主人公の言っていた「ギルス」は、2025年のギリシャで、ヘロインの言っていた「イタルス」はイタリアです。