広い大地とその中に
ジョジョ7部、早くみたいな...
あの後、数日タルタロスの拠点で安静にしていた。
その間も、レックスはあの3人の少年の事が気になっていた。時には剣に向かって話しかけたりもしてみた。
だが答えが返ってくる事はなかった。
この数日間も、ルナやデア、先輩も任務に出ていたりしていたようで、皆が忙しかったのもあって静かな日が多かった。
痛みが大分無くなってきた頃、レックスな普段はいないリーダー、ハデスの元に呼び出された。
「失礼します。レックスです」
「入れ」
かなり重たい扉を開けて、団長室へ入る。
「座れ」
「は、はい。失礼します」
少しの沈黙の後、ハデスが口を開いた。
「先日の任務、ご苦労だった。あの場で何があった?」
レックスはその場で起こったことを、詳しく話した。あの日攻めてきた強敵や不思議な体験も、全て話した。
そして、レックス自身も気付いていた、レックスの身体についての不可解。それは、
「ハデスさん、俺、血が出ないんです」
ハデスは少し頷くような動作をした。
「その話は、少し耳にしている」
「だ、誰がこの話を?」
ハデスは答えてはくれなかった。
「レックス、また、任務が入っている。お前が来てから何故だか忙しくなった」
「まあ、確かに忙しいっすね」
「今度は少し、長旅だ。フラワーバースまで行く」
「ええ!フラワーバースですか!俺行ってみたかったんですよ、あの辺!」
「浮かれるな。今回は重要任務だ。近頃、城下町や人々の生活圏が天帝によって被害を受けている」
突然、レックスの右側の照明が独りでに光る。
照らされた場所にはデジタルボードがあり、ある男の写真が映されていた。
「えっ、今なんで勝手に...」
「今映っている男。天帝の4人組グループ、『 ペシミズム』の1人だ。犯人は此男だろうと、推測されている」
昔のニッポンと言う国の背格好で、チョンマゲではないものの髪は長く後ろで縛り、着物を着て侍の様。
顔には大きく斜めの傷跡が付いている。
「こいつが?悪そうなやつですね」
「此男が、我々が保管している『アーティファクト』を狙いに来る可能性がある。其れを、死守してくれ」
「『アーティファクト』って、なんでしたっけ?」
「今回、お前にはダブルスと任務へ向かう。前と同じように、現地にはまた別の団員が待機している。詳しくは其処で聞け。話は以上だ」
そう言葉を残すと、ハデスは消えた。
「でぇっ!消えた!一体どこへ!え、ちょ、『アーティファクト』ってなんすかハデスさん!」
「『アーティファクト』って言うのはね、レックス。不思議な力を持った石の事だよ」
「だ、ダブルスくん」
「それはね、はっきり言ってなんなのか、誰にも分からない。実験中ってヤツだね。あのノヴァって研究者が作ったとも言われてるし、何かの魂が形を成して『アーティファクト』になったって言う説もある。結局、定かなものは何一つとしてないんだけどね」
「へぇ、そうなんだな...」
「ああ、今度の任務、足を引っ張らないでね。余りにもグダグダされると...殺しちゃうかもだから」
「はっ?」
「あー、ええと、君の事が嫌いなワケじゃ無いんだよ、ほら、僕は本当は自由に殺りたいんだ。ハデスさんから許可を貰えば、誰だって殺していいことになってる。命令されれば、誰だって殺す。だからもし、僕を妨害するような事をしたら...まあ」
立てた親指を首元で横にスライドさせて、
「ぐえっ!って、しちゃうからね」
と言って、団長室の入口から去っていった。
「聞いたか、2人とも...ジャックが」
「聞いてないと思うか?この俺達が!」
「やっぱり、こっちが動けば、向こうもそれ相応の対応をして来るわよねぇ...
じゃあどうするの?今度のアーティファクトを狙った作戦。アタシ達にかかってるんでしょ?」
「どうしたもこうしたも...なぜ上が動かない!?あそこまでに言う程であるんなら、上が動いた方が何倍もマシだろ!」
「少し落ち着け、『プロメテウス』。今回はきっと、郷衛神団の団長が動くだろう。それも、桜咫喝神団のだ」
「ということは...なかなか面倒なことになりそうね」
「だから今回は、俺たち全員で向かおうという訳だ。俺の連れも一緒にな」
「そいつらの腕は申し分ないんだろうな?もし足手まといになる様な奴らを連れてきたら、お前を殺すぞ『不動』!」
「プロメテウス...お前が、俺を殺すと?」
「ああ、俺はそう言ったんだぜ?」
不動の左目に炎の様なものが、紋様を形作って浮かび上がる。
負けじとプロメテウスも、右目からぱちぱちと火花を散らせている。
「ちょっと2人とも!やめなさいよみっともないわね!ごちゃごちゃ言ってないでそろそろ向かうわよ!不動、あんたのツレも早く呼んできて!」
「チッ、おいお前ら!行くぞ!」
プロメテウスを筆頭に、薄暗い建物から、彼らは去っていった。
「ダブルスくん、着いたよ」
「お、だいぶ長かったねぇー!」
「これでも海を渡るよりかは、大分マシだよ。グローリーヴァース付近からここまで来るとなると、最低でもやっぱり半日かそれ以上はかかるよ」
「なんでウチは新しいマシン導入しないんだろうね?ハージェスターとか使わせてくれればいいのに?」
「ハージェスター?」
「ああ、ハージェスターって言うのは、オリュンポスの団員の乗ってる乗り物の事ね。すっごい早いだよねーあれ」
「どのくらい?」
「どのくらいって...まあ、マックスで時速マッハ近く出るんじゃないかな?」
「げっ!それって違法じゃ?」
「郷衛神団は大体の法律適用されてないからね、バチバチに改造しようが何しようが問題ないの。でも彼のおかげで、盗難事件とかは全てもれなく解決してるんだ。この世界じゃ警察なんてのはほぼほぼ役になんか立たないからね」
今や、世界警察は完全なる「野次馬」となってしまっている。
特に行動も起こさず事件も解決しようとしなくなってしまったため、郷衛神団が代わりに犯罪者たちを逮捕したりしている。
「この世界は...もう終盤に近いのかもしれないね」
そう言うダブルスの目は、いつも通り何処か虚ろだった。
少し歩くと、本拠点らしき巨大な和製の城が見えた。
「ダブルスくん、あれかな?」
「きっとそうだね、あそこの門付近で集合だった気がするけど」
「この街、なんか雰囲気いいね?落ち着いて風情があるというか...」
「そう?僕にはそういうのはわかんないや。興味がないから」
「そ、そっか...」
「...僕はね、元々殺し屋だったんだ」
「殺し屋?」
「3年前くらいかな...僕の雇い主が殺されたの。僕はそいつに雇ってもらってたし、養って貰ってたから、数日で餓死しちゃいそうになってさ。
そんな時に、ハデスさんに見つけてもらって、ここに入らせてもらったの。僕は殺し以外知らないし、それ以外に楽しみもない。とにかく殺しが出来れば何処でも文句はなかったから、そのまま引き取ってもらったの。
今考えるとブラックだったなぁ、あの雇い主の通帳を見てみたら、ぜーんぶ僕の報酬だったお金が入ってた。ブラックってもんじゃないか...横領だね横領」
「そうなんだ...ほんとにそれ以外に趣味はないの?」
「ないない!僕は誰だって殺すんだ、言われればね...君だって殺すさ、言われればね」
その目は、やはり何処か虚ろで、何も思っていないような目をしていた。
「や、やっと着いた...」
「レックス!もうみんな集まってるよ!早くしなきゃ!」
長い階段を登った後、正門へと向かった2人。
その正門の前には、今回の任務に派遣されたと思わしき団員達が待機していた。
「相変わらずタルタロスの連中はおっそいなぁ?いつ何時あいつらが来るのかわからんっちゅうのに、何をたらたらしとんねん?」
そう睨みつけてきたのは、桜咫喝神団の「金将」
アマテラスだ。
「アタシはアマテラスや。どうせ漢字で言うたって分からへんやろ?」
一言多い。今この時点でダブルスの気に触れている。
「こいつらは門番やから気にせんといて。ほな行くで、準備室があるからそこで待機しとってや」
その時、城下町の方から悲鳴が聞こえた。
「今の声は!ダブルスくん!急ごう...ってもう居ない!」
ダブルスはいち早く駆け出し、武器を手に取り、犯人を殺す為、とんでもない速さで街へ降りていった。
アマテラス、レックスが共に城下町へ着くと、そこには3人の男と、ダブルスが対峙していた。
「もう仲間が来たのかぃ?見ない顔だ。長旅ご苦労だったねぃ...自己紹介でもしておこうかねぃ?俺は孟原寛二郎。
目的を端的に話そうかねぃ...目的は、アーティファクトを頂きにきたんだぃ。」
「へぇ、僕たちを前にそんなことがよく言えるね?覚悟しなよ?侍さんたち」
「俺達がただの侍だと思うんじゃねぇぞ?」
別の男が口を出す。この男だけは、他のふたりとは違って後ろで髪を縛っていない短髪の男だ。
「拙者ら、そう簡単には倒れませぬ。覚悟を決めるのは、そちらです」
その時、誰かがこちらへ迫ってくるのをダブルスは感じた。
「おーい!アマテラス殿!大丈夫かぁ!」
その声に、レックスは聞き覚えがあった。
その男は飛び上がり、かなりの高さから声をかけてきた。
男はそのまま、男3人に攻撃を繰り出す。
「『向日葵』!!!」
レックスは思い出した。
あの姿、あの技の光景を。食らったことのある、あの技の鮮やかさを。
彼は
「拙者ツキヨミ!応援に駆け付けてまいりました!」
「おおーい、待ってよぉツキヨミぃ!僕もいるんだからさ!」
「オオクニ!お前はほんまにトロイやつやなぁ!」
「はぁっ!すいませんアマテラスさん!ですがオオクニ!ここに見参です!」
郷衛神団計5名対、天帝の人間3名。
今、アーティファクトをかけた攻防戦が始まる。
そしてまだ、影はレックス達の知らない場所で蠢いている...
こんにちは!少し間が空きましたが、酒は健在です。
もうすぐ作業道具が届いて小説も描きやすくなることでしょう...それ迄もう少しお待ちください!




