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-NOVA-  作者: 原田酒
二章 魂と放熱編
14/17

矛と矛

不定期ですんません

ルース・グールマン、プグナ・アレス、テュール・マッカーサーは、同じ孤児院で育った仲だった。


本当はもう一人、仲の良かった少年がいたが、一足先にその少年は里親に引き取られた。


その孤児院は全世界に同じ系列の施設が存在し、今もそこにいる子は大勢いる。


ある日、少年マッカーサーは突然2人に話した。


「俺はもうこんなところ嫌だ!ここを抜け出して三人で暮らそうよ!」


2人はそれに賛成し、次の日、監視の目をかいくぐって脱走することを試みた。


だがそれは失敗に終わった。だけなら良かった。


マッカーサーとアレスの2人は監視員に捕まり、ルースだけが施設を脱する事が出来た。


本当なら、そこでそのまま逃げ出せば良かったが、ルースは2人を孤児院のある3人だけが知っている、秘密の場所で隠れ、2人を待っていた。


その時、秘密の場所の壁紙、何者かの剣によって破られた。


光が差し込み、剣の持った人物の顔が見えた。


そこに立っているのは、マッカーサーとアレスの2人だった。


マッカーサーの片腕はロングソードに改造され、アレスの両手は義手となっていた。


2人は、孤児院の施設員に改造されていた。


その孤児院は、孤児院を名乗った、生きた戦争兵器を作る為の研究施設だったのだ。


外に出ると、施設は燃え盛っている。


「2人がやったの?」


ルースは聞いた。


「ああ」としか2人は答えてくれなかったが、それだけで十分だった。


燃えている施設を3人が並んで見ていると、後ろから1人の男が近づいてきた。


「通報を受けて来たが...なんだこの様は?」


聞いた事のない声だった。


「これ、お前らがやったのか?」


「ああ、こいつはやってないけど」


マッカーサーがルースを指さす。


「そうか...」


「よし、わかった。お前らをうちで引き取ろう」


それは少年らにとって衝撃的な言葉だった。


「私はゴッド・ゼウス。郷衛神団の者だ」


少年たちは同時に思った。「助かった」と。安堵に包まれた。


彼らはその男について行く。


生と、孤児院ではなかったことを偽られた恨み、改造されたことの憎しみ、屈辱、復讐心を噛み締め、

ウルティマ社のロゴが入った壁を後にした。



 「お前、ジャックか?」


相手からの返事は返ってこない。


両手がランスとなった人形のそれは、絶えずマッカーサーを攻撃し続ける。


質問にも答えず、ただただ攻撃してくるそれに腹を立て、マッカーサーは反撃を開始する。


「てめえ!なんか答えやがれ!」


(ちっ、これだからサイボーグはよ!なんで言語機能がついていやがらねえ!こういうガラクタと戦うのが一番苦労するぜ...ジャックに似ていたのは気の所為か?)


突きの次に、もう一度突きを繰り出す。ロングソードで防御し、火花が散る。


そのランスを払い除け、サイボーグの腹部にけりを入れて距離を取る。


距離が離されると、サイボーグの片目が赤く光りだした。


(ホロコーストか?)


次第にサイボーグの下半身は、馬の足へと変わり、ケンタウロスのように上半身が人形、下半身が馬と、異形の形態を成していった。


「おまえ...やっぱりジャックか?確信は持てんが、お前は乗馬が好きだったからな」


サイボーグの光った目が揺らいだ。


「だから、その腕もランスになってんだろ?一体あれから何があった?話せるんなら話せ。じゃなきゃお前をぶっ殺さなきゃいけなくなる。


お前あれからどうしてたんだ?急に里親に引き取られただか俺等に伝えられて、挨拶もなしに忽然と消えやがった。ルースも、アレスも、俺だってお前を心配してた!一体何があった!話してくれ!」


「あれから...私は実験を受けたよ」


「っ誰だ!」


どこからともなく声がする。距離のあるところから話しかけられたのではなく、どこか至近距離から話されたような感じがしていた。


「私は...あの実験でサイボーグとなった。魂をこの機械(からだ)に移し替えられた。あの戦争に使われた兵器と同じようにね」


「この声...ジャック、お前だな?」


「久しぶりだな、マッカーサー」


「お前、どうしてそんな姿に...」


「私がお前たちの前から姿を消す前の日の夜、私は目が覚めたら、既に実験室にいたんだ。その時、私は15だ。お前らが12だったから、あの施設では全員、15になれば実験室に連れて行かれるのだろう」


「...待てジャック。何を言ってるのかさっぱりだ」


「整理しようか、私は15のときに『人間の魂を物体に移す実験』受け、私はこの姿になった。皮肉にもあの施設員どもが気を利かせてくれたみたいでな。ランスと馬の一部をプレゼントしてくれたみたいだ。


あの実験を受けるほんの少し前。この説明を受けたよ」


「じゃあ、この眼の前のサイボーグは...」


「ああ、紛れもない私だ。最も、私の意思はあれど、体の操縦権はAIに支配されているがな。だが、私の見る景色、感じる体温、匂いなどは、私が感じ取っている。私が本来持っていた心も、私のままだ。


これはあいつらが『あえて』残したものだ。私にお前達を殺させ、絶望を与え、完全に奴らに服従させるためにな」


「そう...か」


「そしてこのサイボーグは今、お前を殺そうとしている。だからマッカーサー、こいつを破壊してくれ」


「そうしたら、お前はどうなる?」


「...私の魂は居場所がなくなり、消えてなくなるだろうな。成仏というやつだ」


「お前はそれでいいのか?」


「それ以外方法はないだろう」


「...わかった。こいつを壊すぜ。いいんだな?」


「お前に殺されるのなら、本望」


「すまねえな、ジャック。すぐに終わらせてやるからな」


そのサイボーグが、全速力で突っ込んでくる。


それを避けて、人形の部分の背中に斬撃を入れる。


その機械は怯むことなく、再び突っ込んでくる。


何度切っても、何度斬撃を与えても、その機械は立ち上がって突っ込んでくる。


何度も、何度も繰り返す。


「くそっ...なんだってんだ...ウルティマ社...」


「なにがおかしくて...こんなことをさせる?」


「何が楽しくて、俺が親友を痛めつける行為を...長引かせる!」


「いい加減壊れてくれ...頼む」


その瞬間、機械の動きが止まった。


「いまだマッカーサー。胸を貫け!」


「ジャック!お前!」


「...っく、早くしろっ!これ以上はもたない!」


これが、魂が物体に影響を及ぼす現象である。


ソウルエネルギーが莫大に増えることで、物体や肉体は魂の本能に制御を奪われる。


今、ジャックのソウルエネルギーは通常時の13倍にまで膨れ上がっていた。


「くっ、うおおおおお!!」


マッカーサーは雄叫びを上げ、機械の胸部を貫く。


目の色の光は消え、機能を停止する。腕の剣を抜き、穴の空いた箇所や切り傷がついたところから赤い煙のようなものが立ち上る。


「よくやった。マッカーサー。これで俺は逝ける」


「...最後に、いいか?」


「手短にな」


「このサイボーグ、粘り強さと馬鹿なとこは、アンタに似てたみたいだぜ」


「っふ...そうみたいだな」


それだけを言い残し、赤い煙は途絶えた。


物体や肉体から魂が抜けていくときの光景は、マッカーサーの目に深く焼き付いた。


それは涙と共に、彼の心に深く残ることとなった。


「なあ、ふたりとも...ジャックにあったよ...元気そうだったぜ...ほんとに」


マッカーサーはつぶやき、適当な壁をぶち破り、偶然見つけた回廊を歩き始めた。







こんにちは!不定期で申し訳ないですわほんま。

次回はルースくんのお話です。頑張って作るね。みんな見てね。コメントとかもしてね。ただアンチコメはやめてね傷つくかもしれないから

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