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-NOVA-  作者: 原田酒
二章 魂と放熱編
10/12

雨に唄えば その2

年内には新しい話を投稿したいなと思いまして

 レストラ・タラスクの撃退後、依然として戦いは続いていた。


「レックス!伏せて!」


そう叫んだあと、ウロボロスに向かってレーザーを発射した。


咄嗟にウロボロスは飛び上がり、その攻撃を回避、レックスはデアの元まで後退した。


「ありがとう、助かりましたよ」


「レックス...その、タメ口でいいから」


少し照れくさそうに彼女は言った。


「えっ?」


「おいおい、なんかイイ雰囲気になってるな...そんなの俺に見せんじゃねえよ!!!」


怒った様子でグレネードを取り出し、投げ、爆発が起こる。


(くそっ、あいつ、手数が多すぎる!マシンガンに、マチェーテみたいなやつ、グレネード、ナイフ!まだ俺が確認してないだけで、もっとたくさん武器を持ってやがるかもしれねえ...どうやってあいつに一泡吹かせれば...!)


「お前ら二人...すぐに殺してやる...そんなのは、容易い話だからな」


「やってみなさいよ!今の私達は最強よ!」


彼女のレーザーを始めとして、戦いが激化していく。その中でも相手は、二人にダメージを次々と与えていく。


「手数だぜ...結局の命運を分けるのは...手数の多さなんだぜ」


「お前らが知らないだけで、俺にはまだまだ、殺戮の手段が残ってる」


もちろん、相手に攻撃が当たっていないというわけではない。レックスの大剣による斬撃も、デアの放つレーザーも、着々と相手を追い詰めている。


「だがもう時間がかかりすぎた...終わりにしてしまおうか!」


突然ターゲットを二人からレックスだけに変え、猛攻を開始する。その右目には雫型の炎が浮かび上がっていた。


「俺のホロコーストは、単純な『肉体強化』!俺の筋肉が破裂するまでは!肉体を強化し続けられる!」


途端にウロボロスの攻撃が重くなった。その強化された脚力。跳ね上がったスピードのせいで、デアも狙いが定まらなかった。


攻撃は更に早くなっていく。レックスの大剣では防ぐので精一杯だった。


レックスは重い蹴りを腹に食らって、飛ばされる。即座に取り出されたサブマシンガンが、レックスを襲う。それすらも、モロに胴体に打ち込まれてしまった。


すぐさま間合いに入り、7の形のマチェーテは姿を変え、一本の線、本物のマチェーテと同じ様になった。


「死ねッ!」


そして更にもう一撃、レックスは右肩から左脇腹に向けての斬撃を許してしまった。


その場に、倒れ込む。


「ふん、雑魚が出しゃばるからだぜ...」


ゆっくりデアの方を首だけ動かし、凝視する。


「あとは...」


ジリジリ、デアに踏み寄る。


「来ないでっ!」


レーザーを乱射する。だがその軌道はブレている。ウロボロスには軽々と避けられてしまった。


(ああ、また私、怖気づいてる...)


「あとは、お前()()だな?」


(こんな状況、一体どうしたら...?)


「やるしか...!」


この時、彼女の目が覚悟を決めた目になった。


「『レジーナ』(女王よ)!」


デアは右目に宇宙に浮かぶ星のような輝きを持つ、魂の具現化を浮かび上がらせた。彼女自身、訓練以外で初めて使うホロコーストである。


「はは..面白いじゃないか?ホロコーストか...お前の...」


ウロボロスは、思いかけず足を止める。


「なんだ...これは」


ウロボロスの周囲、それにとどまらず、広い範囲に、何かキラキラとしたものが発生している。


「これが...私のホロコースト、『レジーナ』。そして、この周りのは『フルゴル』」


「なんだ...?この眩しいのは?」


突然、ウロボロスの頭上に『フルゴル』が出現する。


(おっと、まずいな)


考えさせる隙を与えぬ程の速度で、その『フルゴル』と呼んだ煌めきにレーザーを放つ。


放たれたレーザーがそれに当たると、それは閃光を放ちながら弾けた。そして、その破片が辺りに飛び散ったのだ。


「おいおいほんと眩しいなあこれ...それにこの飛び散る光、ショットガンみたいだ。これが終わったらショットガンも手数に追加してみよう」


「あなたは帰らせない...!」


次々と閃光を食らわせ、その破片がも激しくなっていく。だが、目まぐるしい光の粒子に、ウロボロスは目立ったダメージも負っていないようだった。


そしてどんどん、押されていく。


「...もう終わりにしてもいいか?そろそろ飽きたぜ...!」


「くっ...終わらない...!」


「お前は少し苦しむように殺してやるぜ。あの少年はすぐに殺してしまったからな...」


二本のマチェーテを振りかざそうとした時、彼の目線の下の方、輝きが目に飛び込んできた。


(こいつ...!まさか!)


「ここまで引き付けたのは...これを食らわせるため...」


(まずい!体を拗らなければ!)


そう思ったのも束の間、行動に移せる隙もなく、『フルゴル』がレーザーによって爆散した。


その爆風で、ウロボロスは吹き飛ばすことに成功した。それに、大きなダメージも、全身に負ったようだった。


「...てめえ、やってくれやがったな...ゴフッ」


血を吐きながら一点を見つめて言った。


「俺の手吹き飛ばしやがって...」


「反撃成功ね...」


「殺してやるぜ...お前...ああ、殺すぜ、幸いまだ『手数』はあるからな...!」


あまりのタフさに、デアは戦慄する。


その時、ウロボロスの真後ろから聞いたことのある声がした。


「なあ、おい」


ギロッと後ろを振り向き、迷わずウロボロスは声にする方へ走る。手はもうないが、手首から短くも鋭い刃を展開させて、立っている少年の腹部に突き刺す。


「...なんでまだ立ち上がりやがる?お前...」


「そっちこそ、なんで手失ってまで人を殺そうとする?」


今負った傷も、その前に負った傷も感じさせないような、不敵な笑みを浮かべるレックスが、男に問いかけた。


「...ここまで間合いを詰めたんだ、もうお前のそのでかいだけの剣は使えないぜ...」


「答えになってないな...まあいいや、お前さっき、『手数』が大事とか言ってたよな?」


そう言って大剣を、地面に突き刺した。


「...!」


「俺だって、剣だけじゃないんだよ...昔から、殴り合いの喧嘩は強かったんだ!」


ウロボロスは何かを予感し、必死に刃を引き抜こうとした。だが、抜けなかった。レックスの強靭な腹筋が、刃を固く掴んで放さなかった。抜けさせなかった。


腹に刃を残したまま、右の拳でウロボロスの鼻を殴る。殴る。次は左の拳で頬を、殴る。そうして顎、目、歯、顔の至る所を殴りまくる。


「制裁を、受けてもらうぜ!トラゴエディア・ウロボロス!!!」


「おうりゃあああああああ!!!」


雄叫びを上げて、力いっぱいに鼻めがけてストレートを放った。腹筋の力も抜いて、刃も抜けて、ウロボロスは数十メートルも殴り飛ばされた。


ウロボロスは、もう「ぐああ」と声を上げることもしなかった。ただ、殴り飛ばされた。


「レックス!大丈夫!?」


デアはすぐさまレックスに駆け寄った。が、ある異変に気付く。彼の腹からは、一滴の血も垂れていないのだ。


「おい!そっちは大丈夫か!」


向こうからイシスを抱えたウルが走ってきた。


「はい!なんとか生きてます!」


「よし、無事で何よりだ。お前たちよくやった。すでに迎えは呼んであるもうじき来るはずだ」


「...レックス?本当に大丈夫?」


「俺は全然!気にすんなよ!」


すこし経つと迎えが来て、レックス以外の者がそこへ乗った。


「どうしたレックス?早く乗れ」


「いや、俺バイクに乗ってきちゃったんで」


「そうか、帰るときには一度、本部へ立ち寄ってからアジトへ行くように」


「了解っす」


車の扉をバタンと締め、車は走り去っていった。


「あ、あの(あな)!」


振り返ると、そこには村の人々がいた。


「助けてくださって、本当(はんたう)ありがとう(ありがたう)ございます(がざいまさ)!」


「い、いえいえ、皆さん顔を上げて!」


この(こな)御恩(があん)一生(いっしゃう)忘れません!」


村の人々に盛大に見送られ、レックスは帰りの道中、喜びで笑みが止まらなかった。




一つの部屋。郷衛神団本部の総司令官室に、デアはいた。


「総司令官、一つ報告があります」


「...言ってみろ」


「今回同行したナイク・レックスの件ですが...」


「その、彼が敵に腹部を刺されて負傷していました。駆け寄ったところ、そこからは血が出ていなくて」


「...そうか」


「要件は済んだか?」


「で、ですが総司令官、彼に特別厳重な警戒をする必要はないと思うんです、その、彼は何から何まで自分で考えて、勇敢で行動力があります、ですから...」


「...考えよう」


「総司令官!」


名を呼んだときには、もうその男は消えていた。数秒前には座られていた形跡のある椅子と、コーヒーが置かれていたであろうデスクの前に、デアは立ち尽くすしかなかった。









イシス・ハンナビ・クルクス

エネアド所属

性別 女性 

年齢 もうすぐ三十路

メカ クローザー

腰についている2つの十字架の形をした物。持ち手になり、ビームサーベルを展開できる。


ホロコースト マーテルレーション

自分から離れているサーベルに、自らの身体を瞬間移動させることができる。その逆に、離れたサーベルを自分の手に瞬間移動させることもできる。


メモ 彼女はエジプトの国民食、コシャリが好物らしい。(スパイスをたくさん入れて)



ビューエ・ウル

アスガルド所属

性別 男

メカ ソマフール

弓と矢。矢じりはいざとなったときに爆発する。ホーミング機能も開発者は搭載しておいてあるが、彼は弓の天才なので一度もその機能を使ったことがない。


ホロコースト スカルスガルド

矢じりと矢じりの間に見えない直線の結界を貼ることができる。その線に触れると強い衝撃が加わり、体内がズタボロになる。


メモ 彼は休日の日(一年に数回)、家族とサウナに入りながら談笑することを楽しみとしている。

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