第5話:カロラン大陸
戦闘学院の始業二日目、朝、私は校庭でジョギングをしていた。
…これは私の自発的な意思ではない
実は今朝、私よりもずっと元気な声に起こされたんだ。
「シェリア、朝だよ、朝練するぞ」
「姉様…どうして朝練するの?」
「騎士になりたいなら、日々の小さな積み重ねが大切なんだよ」
反論できないから、こうして私たちは今、学園のグラウンドを走っている。
「はあー、はあー」
息を切らしている私と比べて、姉さんの方は非常に余裕があるように見えた。
「はあー、姉様、早い、ちょっと待ってくれ」
「もう、だらしないなぁ」
初めての長距離走、これまでやり遂げられただけでも十分立派でしょう。
「まあ、初日ってこんなもんか」
「はあー、えー、明日も続けるの?」
「もちろんさ、雨が降らなければ来るよ。そうしてこそ上達できるんだから」
「はあー、そんなことなのか」
朝のランニングを終えた後、私たちは着替えて教室へ向かう道へと向かった。
考えてみた後、やっぱり姉さんに言うことに決めた。
「姉様、ありがとう」
「どうした?」
「別に、ただ考えてたんだけど、朝練できるのは姉がいてくれたおかげだなって」
もし私一人だったら、絶対に続けられなかっただろう。
「別に何でもないよ、ちょっとした手間だっただけさ」
「うん、ありがとう」
教室に着くと、セリアン先生もちょうど教室にやって来た。
「皆さん、お座りください。授業を始めます」
「「はい」」
「今日は私が皆さんに、キャンパス外の知識を整理し、私たちが暮らすカロラン大陸についてお話しします」
セリアン先生は振り返ると、黒板に一枚の地図を広げた。それはまさに私たちが暮らしているカロラン大陸であった。
「カロラン大陸には二つの国しかないと皆さんはご存知でしょう。一つは私たちが今いるアインタル王国、もう一つは東にあるイリアン聖王国です」
地図上で両国を表す二本の線が地図の下半分を分断している。
「両国は平和的に発展を続け、最大の目標であり共通の目標はカロラン大陸の未開拓地域、すなわち無人地帯である北方の領域を開拓することである」
「しかし、北方の未開拓領域を探索する際、最大のトラブルに直面します。それが何か、ご存知ですか?」
私は軽く手を挙げてから答えた。
「魔兽でしょうか?」
「そう、まさに魔獣の存在だ。この言葉は皆知っているが、実際に目にした者はいないだろう。ここで改めて補足説明しておこう」
「カロラン大陸は魔鉱が至る所に存在する土地であり、魔獣とは簡単に言えば魔鉱の影響を受け、体内に過剰な魔力を蓄えた動物である」
「しかし、それらが普通の動物と比べて最も大きな問題は攻撃性の違いにある。魔獣は他の種族の存在に対して極めて強い敵意を抱いており、なおかつ群居性を持っているため、これらの猛獣と対峙する際には、通常は少数対多数の状況となる」
「魔力もまた彼らの体力を強化するため、魔獣が大量に存在する未開拓の領域は探索が困難である」
「国境内で遭遇した経験はないでしょうが、野原で魔獣に遭遇した場合、ほとんどが狼型か獅子型です。どちらにせよ対処が難しい存在であり、カロラン大陸の未開発地域を単独で探索することは自殺行為に等しいのです」
「魔獣はそんな者に対して容赦なく攻撃を仕掛ける。どれほど優れた者であっても、群れをなして襲いかかる魔獣の前では、最終的に骨すら残らない結末を迎えるのが常である」
…
「私はかつてイリアン聖騎士団による魔獣群の掃討作戦に参加したことがある。その時直面した光景は、普段接する動物からは想像しがたいものだった」
「…魔獣が次々と現れ、その数は想像を絶していた。我々の攻撃を受けても死を恐れないかのように、絶え間なく防衛ラインを襲い続けた。ようやく一つの魔獣の集結地を殲滅した時には、周囲はすでに血の海と化していた。あの時の空気は、何とも言えない異様なものだった」
…
「魔獣の知識はここまでとしましょう。事前にこれらの知識をお伝えするのは、皆さんに生活の厳しさを知っていただくためであり、少しでも心の準備をしておくためでもあります」
「心の準備?」
「この学校の卒業旅行は、未開拓領域への探検であり、アインタル王国が毎年行う未開拓領域の研究の一環でもある。その時こそ、君たちが初めて魔獣と出会う機会となるだろう」
「その時、戦いに発展するだろうか?」
「もちろん、ただしその時は騎士団も同行しますので、あまり心配する必要はありません」
…
「近年、イリアン聖王国は未開拓領域の探査において大きな進展を遂げ、国境線も次第に北へと拡大している。これに対し、アインタル王国も貴殿たち若い世代が活躍し、国境線をさらに広げてくれることを期待している」
「先生、イリアン聖王国についてよくご存知ですか?」
「言ったことないか?私はイリアン聖王国出身だ」
「え?初めて聞いた」
「私はイリアン聖王国の出身で、この学校に勤務して3年近くになります」
「ああ、そういうことか」
「さて、以上が現在のカロラン大陸の現状であり、皆さんが一年後に自ら体験することとなるものです。それでは、日常の授業を始めましょう」
「「はい」」
…私は一度も魔獣を見たことがないが、地図上の境界線とカロラン大陸北部の広大な未開拓地帯を見ると、ただただ道のりの遠さを感じるだけだ。
思考を引き戻し、日常の授業に没頭し始めた。
時間は午後になる
私たちは広大なキャンパス外部の環境に足を踏み入れ、初めての野外授業として「自由行動」という指示を受けた。
学院は初めての状況を考慮して、まずは環境に慣れるようにしたのだろう。
目の前にいるクラスメートの大半がだらだらと歩いているのを見ながら、心の中でそう思った。
「シェリア、相手してくれ」
「え?今?」
「そう、せっかくの外部活動なのに、こんなだらだらした終わり方にしたくないだろう?」
「確かにそうだけど、私と姉様が対戦するなんて……」
「怖いの?」
「もちろんそうではない、ただ…」
私が勝つ状況がまったく想像できない。
「わかった、少しは譲るから、早く準備してね」
「…どうかお手加減ください」
私は気持ちを整え、もはや避けられない目の前の勝負に向き合い始めた。




