到来
色とりどりのステンドグラスから差し込む光の束が、まるで天からの啓示のように聖堂内に降り注ぐ。この神秘的な空間には、張り詰めた静寂だけが存在し、集まった人々は皆、固唾を飲んで約束の時間を待っていた。言葉を交わす者はおらず、ただ時計の針だけが冷たく時を刻んでいた。
ステンドグラスの光が満ちる静寂の中、突如として石畳を打つ微かな足音が響いた。その音に導かれるように皆の視線が一点に集まる。
現れたのは、幼い赤子を腕に抱いた一人の女性だった。
張り詰めていた空気は一変し、人々はざわめき始める。女性は、その視線と動揺の中心で、しっかりと前を見据えていた。
集団の中から、威厳を纏った一人の人物がゆっくりと歩み出た。その権威的な姿が人混みを縫い、まっすぐに女性へと向かっていく。全ての目が、これから起こるであろう運命的な瞬間に注がれていた。
威厳ある人物は女性の前に立ち止まり、静かに問いかけた。「この子でしたか?」
女性はしっかりと頷いた。「はい。先ほど検査もしました。この子は、あらゆる意味で常識外れの、並外れた力を秘めています。刻限も一致していますし、間違いとは思いません」
その言葉が響いた瞬間、張り詰めていた静寂が弾け飛んだ。ざわめきは歓声へと変わり、ステンドグラスの光の下で、人々は祝福の声を上げ始めた。まるで長らく待ち望んだ奇跡が訪れたかのように、感嘆と喜びが聖堂内を満たしていく。
女性が次に口を開いた時、彼女の声は祝福の嵐に埋もれた。「ですが、残念なことに……」
彼女の微かな呟きを聞き取る者は、もはや誰もいなかった。歓喜に沸く群衆の中で、女性だけが、言葉にできない哀しみを湛えた瞳で赤子を見つめていた。




