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ドレミ  作者: 新木
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01

音楽室は僕の実家。

そう表現したくもなるほど、僕は音楽室という空間に入り浸るのが好きだった。


音楽室なんてそうそう人が来るようなところではなかった。

吹奏楽部も合唱部もそれぞれ部室があって、音楽室は音楽の授業で使う。それだけの用途で用いられている。

音楽の授業だって、選択授業の一つだからそんなに取る人なんていないんだ。

合唱をしたければ合唱部に入って、楽器を弾きたいなら吹奏楽部に、軽音部に入るというのが全校生徒の共通認識。


音楽でやるものなんてたかが知れてる。

だからこそーー。


7限目の終わりのチャイムがなった。

火曜に7限があるのは高1と3だけ。2年の僕は火曜は6限終わりだった。

授業が終わった瞬間、別館にある音楽室に直行して、ダラダラとしていた。


もう1時間。音楽室の中は時間の流れが早いように感じる。

特に何かしてるわけでもない。

もちろんピアノが弾けるわけでも、音楽理論的なものに興味があるわけでもない。

だけど、何だろうか。どこか懐かしいような、そんな空気が好きなんだ。

ピアノの蓋をそっと開けた。


「白、黒、白、黒、白、白、黒、白、黒、白、黒、白、白」


半音階を指でなぞりながら、そこに当てはまる色を口に出す。

よくよく考えれば凄いことだ。

これだけしか音数がないのに、無限に曲がある。それをまたよく考えれば当たり前のことなんだろうけど、どこか不思議に感じる。


まあ、いい。

僕は考えるのをやめた。

そっとピアノの蓋を閉めて、ピアノに背を向ける。


今日はもう帰ろう。

明日また、音楽室に行こう。

実家にはちゃんと帰らないといけないんだ。


02へ

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