98 各国の発展と、これからの急務と、結婚式の練習と。
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それからの日々は、結婚式に向けて動きつつノスタルミア王国の発展の為に動き回った。
店の事も城への納品も菊池に任せっきりだが上手く行っていて、ダグラスも「かなり体力がついたぜ!」と喜んでいた。
菊池もいい感じに体力が付いたようで、今では楽器屋以外は淡々とこなせているし、井上は酒屋に本当に就職した。忘れていたが菊池のおもちゃ屋はどうしようか…
店の方は問題なく営業している中、ノスタルミア王国の発展には色々と苦労が多い。
何より重鎮たちの声が古臭く煩いのだ。
現状が変わる事への不満と不安。
仕方ない事だと思うが、いくら何でもやりすぎな部分もあった。
それでもノスタルミア女王陛下は改革を進め、まずは養蚕の村を作る事となった。
ノスタルミアの首都ミスアーナまで道を作らねばならなかったが、それは俺のスキルで何とでもなる事を伝えれば重鎮たちは歯軋りしている。
今ある村を使ってもいいのだが、そこに住む人たちの今までの生活とてある為、新たに作る事になったのだ。
無論住民となる村人は何処からでも受け入れると言う方法を取り、蚕が育ちやすい環境を作り、ログハウスが立ち並ぶ村を作り、絹糸を取る為の機械はミスアーナの魔道具店より大型の物が届く為、縦長の工場を4つほど作った。
その村に羊の牧場も作り、羊毛を取り糸にする為の工場も作り、羊の肉は美味しいと言う話と、羊肉はダイエットに向いていると言う話をすると女性貴族の目が光った。
女性貴族たちの大きな声により羊牧場はかなり大きい物となり、肉用となる羊と毛を取る為の羊と二つに分けて畜産が始まった。
無論、肉は腐りやすい為空間収納スキルを持つ人材確保は急務となり、それと同時にミスアーナの魔道具師達は馬車の中を冷やす為『冷蔵と冷凍』の魔道具の開発がノスタルミア女王陛下の命令により進められた。
「何よりも急務である」と言う言葉の元、全ての開発をストップさせて全員がその開発に携わり、魔素を固めて作った氷の魔石を使った冷房システムの第一段階が作り出された。
これを今後ドンドン改良していくらしい。
無論、冷凍の方も頼んでいた為、そちらは思いの他早く出来たそうだ。
冷蔵の失敗品だったらしいが、思わぬところで冷凍の成功品が出来た事は僥倖だった。
冷蔵の利点に気づいた魔道具師たちは、このアイディアを持ってきた女王陛下と俺に対し尊敬の意を込めて『食の開拓者』と呼ぶようになった。
元の世界にある冷蔵庫が出来れば世界はまた大きく変わる。
魔道具師たちの奮闘は今後も続きそうだ。
漁業はその冷蔵が出来上がるまでは無理だと判断し、今は進めていない。
ただ、服や絹、羊糸を輸出すると言う意味ではノスタルミア王国は発展したと言って過言ではない。
問題の各国の国境には小さな宿場町が作られ、ボルドーナ商会は利便性を理解し、馬車置き場や宿泊も出来る土地建物を準備し、ノスタルミア王国を出てからは各国の雇われ冒険者たちによる護衛の元、ラスカール王国や、ダングル王国にも輸出と輸入も始めつつあった。これを契機にボルドーナ商会は更に大きくなり大商会にまで発展した。
国の発展はノスタルミア王国だけではなく、畜産を主とするダングル王国では順調に肉となる魔物を増やすことが出来るようになってきており、国民が飢えると言う事は少なくなってきたそうだ。
国内循環がうまく働き始めた頃合いと言う奴だろうか。
ただ、作物はやはり雪国の為野菜の殆どは畜産の餌となっており、それでも少しは国民が食べるような日持ちする野菜は何とかなっているらしい。
ただし、問題が一つ。
パンが足りないのだ。
麦を育てるにしてもハウスを更に追加せねばならず、エリアを広げたくとも雪深い密林を開拓せねばならない為、これが国の課題となっている。
輸入に頼る他なく、小麦をノスタルミア王国から輸入しているが数が少ない。
全員がパンを食べながら肉を食べる日はまだ遠そうだ。
それでもノスタルミア王国の羊毛は寒い地域では温かい衣類が作れると評判が良いそうだ。
魔物の毛では防御力は上がっても寒さまでは完全に塞ぎ切れなかった為、人気の高い商品となっているようで、数は多く仕入れる事は出来ないが、国を守る兵士を含めた騎士隊や王族、貴族がまず着ていると言う感じらしい。
今後ダングル王国が輸出で外貨を得るには、畜産の強化とやはり急務となるのは冷蔵と冷凍の魔道具であるのは間違いない。
そして、他国と比べると元オスカール王国の際に土地を死滅させられたラスカール王国は一歩遅いが確実に農地を新たに増やして麦を育てたりと、死滅した土を削り、肥料を混ぜ畑を生き返らせる作業を進めている。
特にラスカール王国の麦は人気が高い為、農地を更に広くすべく開墾も行なっているそうだ。
しかしこちらでも問題になるのは冷蔵冷凍の技術で、ミスアーナの魔道具師たちは寝る間も惜しんで冷蔵のシステムを作ろうと必死になっている。
「冷蔵庫がある俺の拠点やスキルで建てた店舗は良いけど、一般家庭にまで広がるには随分と時間が掛かりそうだな」
「まだ冷蔵しかできないんだっけ?」
「ああ、扇風機並らしいが、それはそれでジュノリス大国で売れているらしい。この土地は暑いからな」
「確かに暑い土地なら少しだけでも冷たい空気と言うか、風は欲しいわよね」
「そのジュノリス大国で売れたお金で更に開発が進むと言う訳だな」
「循環って大事なのねって思うわ」
今日はジュノリス大国で結婚式の予行練習だ。
と言っても教会の中を歩くだけなのだが、王族と言う事もあり、昔の映像とかで見た王族の結婚式みたいなゆっくりとした歩きとなるようだ。
俺に関する関係者はかなり多いが、呼ぶ事は出来ないらしく子供達には写真や映像を取って貰って見て貰う事になった。
その為の魔道具はちゃんとあるらしい。
その時に初めて貴族たちは俺とカナエの姿を見ることが可能となる訳だが、考えるだけで胃が痛くなりそうだ。
結婚すると、この世界の義理の父親となるジュノリス王から俺達二人に贈り物があるらしく、それは常に身につけなくてはならないらしい。
とは言ってもブレスレットらしいので問題は無さそうだ。
「厳かな結婚式になりそうね」
「一応俺はジュノリス大国の王太子になったからなぁ」
「私は王太子妃になるのね」
「そうなるな」
「はぁ……人生どうなるか分からないわ」
「俺もそう思うよ」
そんな会話をしながら結婚式用のドレスはもう直ぐ出来上がるらしく、結婚式まであと少し。
ティアラは出来上がったと言う話は既に聞いている。
後は結婚指輪を選ぶだけなのだが、今日選ぶ事になっている。
久々の休みだ。
練習が終わったらストレリチア村にある俺と二人だけのあの家で選ぶ予定だ。
誓いのキスは本番にとなり終わりとなったが、その足で馬車に乗り込みジュノリス城に帰ると、陛下に「暫く休憩してまいります」と伝えてからストレリチア村へと戻った。
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