96 『国の報告会』がいつの間にか『アツシとカナエの結婚の話』へ。
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「アジュリンダに伝えなさい。アツシは一生お主の前には来ぬと」
「し、しかし」
「我が声が聞けぬのなら、一か月後と言わず明日にでも塔に入れると伝えよ!」
「ひいいいい!!」
そう言って執事は名乗りもせず馬車に乗り込み去って行った。
どうやら、一波乱ありそうだ。
他の王たちもノスタルミア女王陛下の鬼気迫る怒りに驚いているようで、ドアを閉めると頭を抱えて溜息を吐いている女王陛下がいた。
「すまぬなアツシ殿、アジュリンダは私の二人目の娘で、馬車の中で話したであろう」
「ああ……」
「塔への幽閉が帰宅して決定したのだ。すると『誰かと結婚するからそれだけは嫌だ』と言い出してな。そなたに前から目を付けていた様で、王家からの婚姻を断れるはずないと思っておったのだろうが、それは私が許さぬから安心するがいい」
「そうして頂けると嬉しいですね。俺はカナエ以外を娶る気はないので」
「そうであろうとも。全く、これが続くようなら直ぐに連絡を。当日か翌日には塔に入れるゆえ」
そう語るノスタルミア女王陛下は余程苦労しているようだ。
自由気ままなアジュリンダ姫はそんな事お構いなしのようだが。
するとジュノリス王も暫く考え込んだ後、一枚の手紙を取り出してノスタルミア女王陛下に手紙を手渡した。
一体何事かと思っていると、どうやらジュノリス大国はアジェリンダ姫を受け入れるようにと言う手紙が届いていた様で、これにはノスタルミア女王陛下は知らなかったのか目を見開いた後頭を抱え「申し訳ありませんジュノリス王」と頭を下げていた。
「ジュノリス大国にもノスタルミア王家からアツシの妻にとアジェリンダ姫を貰うようにと言う手紙が届いていたのだが、ワシは返事を書かなかったのだ。書くだけ無駄だと思ったのでな」
「そうじゃろうなぁ……しかし誰がこの様な馬鹿な事をしたのか」
「ジュノリス大国の王太子と結婚すればお姉様よりも立場が上になるとでも思いたいのかしら?」
そう声を掛けたのはカナエだ。
可能性がありすぎて俺も頭を抱える。
アジュリンダ姫の好感度が一気に下がる気がしたが、まだ一度もあったことは無いがそう言う考えの女性とは一生付き合いたくもない。
そもそも俺はカナエ以外を娶る気はないと式典でも伝えている為、ジュノリス大国でも自分の娘をと考える貴族たちを牽制したのだが、これでは更にその面倒な動きが加速する。
あまり良い傾向では無かった。
「言っておきますが、カナエ以外を娶る気はありませんよ。他の女性と婚姻をと言うのなら王太子の立場も捨てるだけの気持ちはあるので」
「それは困る。アツシとカナエがいてこそのジュノリス大国と言うのに」
「しかし、これからもこういうのが出ると思うとカナエを馬鹿にしているように感じて嫌な気分です」
「本当に申し訳ないアツシ殿にカナエ殿」
「まぁ、先生を一度も見た事ない癖にこういう手紙を送りつけてくるアジュリンダ姫と言うのは私にとっても敵ですが」
「本当に申し訳ない」
「少なくとも、このアジュリンダ姫と言うのは頭が足らない姫と言う事ですね」
「シュナイダー王の言う通りだな。この事は直ぐにアジュリンダに伝えてくる故今日は先に帰るが、アツシ殿には今後養蚕や漁業、羊を増やす為の施設を作って欲しいゆえ、場所が決まり次第連絡をいれることにしょう。まずはこのバカ娘の方を何とかしてくる」
「「お疲れ様です」」
そう言うとノスタルミア女王陛下は馬車に乗り城へと帰城して行った。
これは城で荒れそうだなぁ……と思っていると、ジュノリス王は「モテる男は辛いな」と口にし「そう言う問題ではありませんよ」と溜息交じりに伝えてカナエの隣に座る。
王太子になってからと言うもの、この手の話題は山のようにある。
だがそれらをジュノリス王が止めていると言う事も聞いている為申し訳ないのだ。
「少なくとも、カナエ殿以外を妃に迎えないと言うのはワシの言葉とアツシ殿の言葉としてジュノリス大国では伝えてあるが、それでも愚かな事を考える者は後を絶たん。いっそカナエ殿の二十歳を待たずに結婚してしまえばどうだ?」
「う……」
「先生、私もそれが良い気がしますよ? そしたら馬鹿な事を言う輩はある程度いなく成りそうですし」
「この世界では女性も男性も18歳から婚姻する事は出来る。王族ならもっと若く結婚する者もいる。カナエ殿ならなんの問題もなかろう。悠長な事をしているとドンドンそう言う声は大きくなるぞ」
「そうですね、俺達の故郷でも男女ともに18歳から結婚可能ですし、俺も悠長に構えている暇はなさそうですが……大々的な結婚式はしませんよ?」
「ジュノリス大国の教会で三国の王が集まっての婚姻式だけだ。しかもアツシは忙しい身ゆえ、貴族たちへの顔見せ等はしないと通達しておけばよい」
「お願いします」
「ではワシも一旦城に帰り婚姻の為の衣装を用意せねばならんな。アツシとカナエには一度ジュノリス大国に来て採寸をしなければならない為、その時は呼ぶが良いか?」
「「はい」」
「では俺達も準備の為に動き始めます」
「私も。アツシ殿の婚姻の儀が楽しみですね!」
こうして『国同士の交流会』がいつの間にか俺とカナエの結婚式と言う流れになり、カナエはクスクス笑いつつ「年貢の納め時ですね」と口にすると「二十歳まで待てなくてすまない」と告げると「勘違いする貴族と馬鹿を牽制する為には必要な事かと」と笑顔で答えていたので、カナエも結構頭に来ていたのだろう。
その後仕事が終わった皆に俺とカナエの結婚式がジュノリス大国のテリサバース教会で行われるようだと話すと、ワッと声が上がり「やっとか――」とダグラス等言っている。
まぁ、確かに既に手を出してしまっているので責任を取るつもりしかなかったが、子供達にもお祝いされ、それからの日々は結婚式に向けてジュノリス城にて採寸をしたり、カナエはドレスをどんなデザインにするか等話し合いをしているようで大変そうだ。
妃になる女性の頭にはティアラを作るのが習わしらしいが、それならばとカナエに似合いそうな宝石を多めに購入し、「これをティアラにつけてください」と俺の方から頼むと、金細工職人は見た事もない宝石に目を見張り、「素晴らしいティアラを作ります!」と言ってくれた。
それ一つで国宝になるくらいの値段になりそうだと言う。
カナエにはその時その時で似合う宝石やアクセサリーを贈ると伝えると嬉しそうにしていたし、結婚式ではドレスに合う宝石を用意しようと思う。
後は結婚指輪だが、此方に関しては「俺から用意する」と伝えると金細工の職人は驚いていたが、まずは婚約指輪が先だなと思い、カナエの選んだ好きな指輪を婚約指輪として購入し結婚式までの間、付けることになった。
お値段はそれなりに高い大粒のダイヤの指輪だったがエリーナは目が落ちそうな程驚いていたのは言うまでもない。
俺とカナエの結婚式が行われると言うのを聞いたストレリチアの各店舗ではお祝いムードではあったが、貴族の間では「アツシ様は第二妃を持つ気は無いのでしょうか」と言う問い合わせが多かったようだが、「アツシ様はカナエ様以外を娶る気はないそうです」と笑顔で答える従業員が多く助かった。
その話題が浸透していく頃、俺に会いに来いと言っていたアジュリンダ姫はと言うと――。
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