92 ジュノリス王との対面と、暗黒時代を作る二人の候補との出会い。
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ジュノリス大国は広大な土地や農地もあり、また魔物も多い為冒険者をよく見た。
魔物の素材もそれなりに出回っているのだろうが、国内で循環しているのだろうか。
小説などで見るダンジョンも複数あり、そこで鉱石が取れたりもするらしい。
冒険者はそうやって金を得る。
また鉱山でも魔物が出るらしく、鉱山夫達もある程度強いが、それでも難しい場合は冒険者を派遣して倒して貰ったりしているらしい。
ラスカール王国にも鉱山はあるが魔物が出たと言う話は聞いていない。
無論ダンジョンもない。
そこが大きな違いだろう。
あればもっと稼げる道はあるのだが、ない物は仕方ない。
テリサバース宗教は聖女がいて、未来を視ることが出来るらしい。
法王もいるが、聖女の言葉を聞いて法王がそれを他に伝える事もあるのだとか。
次世代となる二人を見つけたのも聖女だが、彼女は苦言を示していたのだと言う。
【王太子がいた時代であれば輝く未来があったであろうが、彼等が王に着いた時、国は暗黒の時代を迎えるであろう】
そう言っていたのだと言う。
だが王太子がいない今、国は暗黒時代に突入しかけているそうだ。
こればかりは仕方ない。
そのきっかけを作ったのは言う間でもなくジュノリス陛下だ。
国が暗黒時代を迎えるのを見ているしかないのだろう。
そんな移動も終わりを告げ、城の部屋に通されると着替えを促される。
陛下たちも着替えをしているそうで、俺とカナエは何時もの良いスーツに身を包み、お互いに気乗りしないが「頑張るか」「そうですね」と苦笑いをした。
そして侍女が呼びに来るとシュウとノスタルミア女王とラスカール王と共に移動し、謁見の間へと通される。
恭しく頭を下げ、面倒だなぁと思いつつも表向きの顔を作り「面を上げよ」の言葉に俺達は顔を上げた。
途端ガタリと立ち上がったのはジュノリス陛下だった。
俺とカナエを指さし震えながら――。
「ア、ア、アルフォードにカナリア!?」
そう叫んだのだ。
それ程までに似ているのかと思ったが、女王陛下が「落ち着いて下さい、ジュノリス陛下。こちらにいるのはそちらが呼んだアツシとその婚約者であるカナエです」と言うと、震えつつ王座に座った。
だが目線は此方にあり、信じられないと言う表情をしている。
「して、その二人が件の異世界人か」
「後三人程いますが、皆手が離せない状況でしたので私と婚約者のカナエと参りました」
「そうか……声までアルフォードと同じなのだな」
「………」
「そなた達のスキルは聞き及んでいる。レアスキル持ちであると」
「「はい」」
「この世界にはない物を引き出すことが出来るそうだな」
「「はい」」
「うーむ……。我が力も似ているのだが、我らの力の場合【お取り寄せ】と言って異世界より品を取り寄せることが出来る。それに近しいのだろうか」
「それに近しい力とだけ申し上げます」
「ほう?」
「また、俺のスキルは【拠点】というもので、このスキルを使いダングル王国から避難してきた獣人の為のストレリチア村を作りました。」
「と言うと?」
「住民が住む家や商売をする為の店舗は勿論の事、農業用のハウスや家畜用の畜舎や貯蔵庫などを作りました。温泉旅館や貴族の皆様の別荘も作り好評をいただいております。」
「優れたレアスキルを持っているのだな」
「恐れ入ります」
「そちらのカナリアはどうなのだ?」
「カナエで御座います。私も陛下のような【お取り寄せ】に近い力を持っており、私の知識では【お取り寄せ】は食べ物関連が多いですが、私は食べ物関連の他に化粧品や楽器などの商品を選ぶことも可能です」
「どちらも優れておる」
「「恐れ入ります」」
「優れたレアススキルに異世界の多大なる知識か……」
そう口にしたジュノリス陛下に、女王陛下が口を開いた。
「その知識は幅広く、我が国でも特産品となる品を作る為のアイディアを出してくれたりもしております。国内循環だけではなく、国外循環を視野に入れた素晴らしい知識でした」
「ほう、それだけではあるまい? ラスカール王とシュナイダー王の国も大きく変わりつつあると言うではないか」
「それも、アツシ様の知識によるものです」
「国を富ませたければまず国民を富ませろと言う考えは目から鱗でしたし、先にノスタルミア女王陛下のおっしゃった通り、国内循環と国外循環を知った時は衝撃的でした」
「レアスキルだけではなく、国をまとめ上げる為の知識も持ち合わせているのか」
「「「はい」」」
このままでは少々不味いかなと思い、俺からも言葉を返す。
「とはいえ、私が居た世界で、私は子供達に勉強を教える教師でした。その為の初歩的な知識しか持ち合わせておりません」
「初歩的な知識でこれ程まで変わるのか?」
「その知識をどう生かすかは本人たちの努力とやる気次第と考えております。いい方向へと進んでいるのでしたら、間違いなくラスカール王とシュナイダー王の手腕によるものでしょう」
「ははは! 中々に謙虚な男なのだな、アツシと言う男は」
「恐れ入ります」
「我が国は王太子であるアルフォードが亡くなってから、次世代となる者がいなくなった。これはワシの所為だと理解している。故に劣化版だが力を使える者を二人候補に出したが、テリサバース宗教からは【暗黒の時代が訪れる】とまで言われてしまった。何故あの時アルフォードの婚姻を認めなかったのかと悔やんでも悔やみきれぬ」
そう言って立ち上がると手をパンパンと叩き、二人の男性が謁見の間に入ってきた。
二人は俺を見てギョッとしていたが、挙動不審になりつつ礼をし、俺を見ては目が泳いでいる。
なんだこの感覚は。
「陛下、呼ばれて参りました」
「ですが、何故アルフォード王太子様がいらっしゃるのかお聞きしたく……死んだ筈では?」
「その者はアルフォードではない、ノスタルミア王国より参ったアツシとその婚約者、カナエ殿だ」
「では、異端諮問に掛けてこ奴らを消すのですね!」
「良かった!」
「馬鹿者!!」
そう謁見の間に広がったジュノリス陛下の声に二人はビビりまくり震えあがった。
「そなたら……まるでアルフォードが生きていては困るような口ぶりだな」
「「そそそそ……そのような事は」」
「そなた達が跡目を継いだら暗黒の時代が訪れると言われているのが嫌でも分かるのう」
「アツシ殿に対して初対面でそのような物言い。我がラスカール王国としてはジュノリス大国を中央の国として認める訳には参りませんね」
「全くですね。無能とはこういう輩の事を言うのでしょうね」
「「む、無能だと!?」」
自分達よりも幼いシュウに言われ顔を真っ赤にしている二人だが、ヘイリオスとヴォルダークと呼ばれた二人は俺を睨みつけつつ「何で生きてるんだよ」と呟きながら悪態をついている。
確かにこれでは暗黒時代まっしぐらだろうな。
「この国が暗黒時代にならぬ為に、この二人にラスカール王やシュナイダー王たちの国を持ち直させた話をしてくれはしないだろうか?」
「お断りさせて頂きます。それは時間の無駄と言う物でしょう」
「「な!?」」
「やはりそなたもそう思うか?」
「言っては何ですが、まるで私が生きていては困ると言う素振りでしたし、二人を色々調べたほうが宜しいのでは? 本当にアルフォード王太子は自殺だったのか、他殺の可能性はないのか」
その言葉に二人はビクリとし、恐る恐る俺の方を見ている。
後者の方が高いと見ていたのだが、危険察知がビンビン来ている。
それは多分シュウも同じだろう。
シュウのスキルは悪意察知に危険察知だ。俺よりも詳しいかも知れない。
すると――。
「恐れながらジュノリス陛下に申し上げます」
「どうした、シュナイダー王よ」
「私には、悪意察知と危険察知と言うスキルがあります。先程のアツシ様の話のあとからお二人がアツシ様に向ける【悪意】は普通とは異なります。今一度、王太子の死を調べ直した方が宜しいかと」
「な、何を言い出すのだ!」
「俺達が王太子を殺したとでも言いたいのか!?」
「可能性の話です。もし無関係であれば堂々としていれば宜しいのに、何をそんなに慌てているのです? 可笑しいではありませんか」
「「な!」」
「まるで人を殺める為に指示を出した事のあるような悪意の出方ですよ」
「な、なんという無礼な!! たかが獣の分際で!!」
「ヘイリオス!! ダングル王国は獣人の国である事を忘れたとは言わせまいな!!」
「しかし……っ!」
「ダングル王国を獣風情の国、と言うのが貴方の考えなのですね。ジュノリス王よ、私はこの者が王となる事は認めません!」
「なぁ!?」
王になるには三つの国の国王の許可が無ければ王に選ばれることは無い。
ここでヘイリオスと呼ばれていた次世代の暗黒時代を迎える王となる予定の者が一人いなくなったことになる。
ショックで狼狽え座り込んだヘイリオスは呆然としているが、もう一人のヴォルダークは慎重派とみたいが、どうやらそれも違うようだ。
クスクスと笑い自分に次の王座が回ってきたと思っているようだが――。
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