85 二つの国の王は同じ悩みを持っているようで。
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「明日はラスカール王国に行って拠点への道を作って、我が拠点で勉強会が出来るようにするか!」
「そして三時のおやつも食べれるようにね。ナノちゃんも来たがってたわ」
「ははは!」
こうして次の日はラスカール王国へと飛ぶことになるのだが、その間に大臣たちと話し合いをシュウにはして貰う事にして――。
翌朝、俺達は扉を使ってラスカール王国の拠点に到着すると、皆に挨拶をしながら外に向かい、そのままラスカール王国の城前まで飛ぶ。
朝から来て欲しいと言う依頼だったので来たのだが、謁見の間に行くとワクワクした表情のラスカール王が座っていた。
「顔を上げてくれ先生。今日から私もアツシ殿ではなく先生と呼ばせて貰おう」
「ラスカール王が先生と呼ぶのは、些か周囲の目が痛いですが」
「とは言っても、シュナイダー陛下も呼ぶと言うじゃないか。是非私のような若輩者にも、簡単でもいい、国の発展の方法を教えて貰いたい」
「では、頼んでいた部屋に案内して貰っても?」
「無論」
そう言うと従者を連れて暫く城内を歩き、とある部屋に案内された。室内の様子に空き部屋なのかと確認すると、そこは陛下の部屋だった。俺の事は信頼しているので構わないそうだ。もう何も言うまいと周りをジッと見てから開いている一部にノミスアーナにある俺の拠点への扉を繋げた。
そしてもう一つ、真っ白な扉はダングル王国に用意して貰った部屋に繋がっている。
「こちらの赤がノスタルミア王国の俺の拠点への道です。陛下と俺とカナエしか使えませんので」
「おお、これが噂のレアスキルのドアか」
「そしてこちらの真っ白なのが、ダングル王国に繋がる扉ですが、無論陛下と俺とカナエとシュナイダー王しか使えません」
「うむ……これは心が弾むな!」
「危険はないのですか?」
そう聞いてきたのは宰相殿だ。
俺は強く頷き「赤の拠点には俺の認めた相手しか入れませんので」と伝えるとホッとしていた。
「まずはラスカール王がダングル王国に向かいますか? 扉が繋がり次第シュナイダー陛下を呼びに行くと伝えて来たので」
「ああ、是非行きたいね!」
「では挨拶に行きましょう」
そう言うと三人で扉を潜り、この部屋は俺とカナエ用に用意して貰った部屋だと説明した。「ダングル王国の城は木製か!」と何故か感動し空に降る雪にも感動していた。
カナエにラスカール王と部屋で待っているよう頼み、シュウ達が会議をしている会議室にノックをして俺が入るとシュウが立ち上がる。
「お話し中、失礼致します。ラスカール王がシュナイダー陛下にお会いしたいとの事です。」
「話し合いは此処まで。私はラスカール王に会ってくる。先生行きましょう!」
「焦らなくても逃げたりはしないさ」
そう言ってシュウが席から歩き出すと大人たちは何処か諦めきった顔をしていたが、幼い故に自――自分たちの色に染めようとしても無駄だ。
――俺がそこを徹底して潰すからな。
そう言う意味を込めてニッコリと微笑んでから部屋を出ようとすると、重鎮たちは顔を引き攣らせていた。
そして俺とカナエの部屋に入ると、金髪の麗しい男性、つまりラスカール王は窓の外を見つめてまだ感動しており、俺とシュウがクスリと笑うとシュウが声を掛けた。
「ラスカール陛下」
「これはシュナイダー陛下! いやはや……扉一つでこの様に、正に別世界だな……俺はこのダングル王国に来たのは初めてだが、なんとこれが雪と言う物だろうか」
「はい、ダングル王国は雪深い国なのです。獣人故に寒さには強いので、我々は適応して生きていると言った所でしょうか」
「なるほど……」
「では俺達は揃ってミスアーナの家へと行こうか。俺達が暮らしている大元の拠点です。仕事をしている子供達や大人もいますが、気にせず中に入って下さい」
「では失礼して……」
「先生、ナノを呼んで来ても?」
「ああ、カナエは先にラスカール王を案内してくれ。俺はナノとシュウと一緒に行くよ」
「ええ、分かったわ」
こうして暫くするとナノもやってきて、目を輝かせながら一緒に扉を潜った。
そこは何時もの見慣れた拠点だが、ラスカール王にとっては全てが珍しく驚きの連続だったそうだ。
「私達、貴族とか王様とか偉い人に対する言葉使いって良く分からないの。普通に接していいかしら?」
「ああ、構わないよ」
「ロスターナさん、俺は此処では普通のシュウですよ。無論ナノも!」
「うん」
「ふふふ。シュウくんとナノちゃんには牛乳を、えーっと、ラスカールさん? 飲み物は何が好きかしら?」
「ボルドーナ商会が出している紅茶を偶に飲む程度で、もう少し苦みのある物の方が好きなんだ」
「あら、じゃあ珈琲なんてどう? 先生も珈琲で良いかしら?」
「ああ、カナエにはカフェオレを頼む」
「は~い」
と、相変わらずのマイペースなロスターナは陛下相手でも全く変わらない。
豪胆と言えば豪胆な男だ。
「何とも、獣人の中にはあのように美しい者が」
「ロスターナは男性ですよ」
「なっ」
夢を壊してすまないラスカール王。
最初に潰して置かねばならない夢なのだ。
「はい、牛乳二つと珈琲が二つ、カフェオレ一つに御茶菓子のクッキーね」
「三時のおやつはたべられる?」
「食べられるわよ? なんだったらお昼も食べてく?」
「たべたい!!」
「こらナノ」
「ナノは城で何をして過ごしているんだ?」
「んーっと、お姫さまとしてのふるまい? おうけとしてのいげん?」
「難しいな。だが大事な事ではあるからなぁ」
「でもナノのせんせいのはなしむずかしいの……もっと楽しいひとにおしえてもらいたい」
「うーん。一人いなくはないが、王族としての言葉使いや所作とか俺の知らない事も、頼めば教えて貰えると思うんですが、ノスタルミア王国式でもいいんですかね?」
「そういうのはどの国もあまり変わらないからね」
「なるほど。時間を決めてなら頼めるかもしれない。今度聞いておいてあげよう」
「うん」「お願いします」
「先生は知り合いが多いのだな」
「まぁそれなりには。この件は確認出来たらまた連絡するから待っていてくれ」
そう言うと、俺は後でモルダバルド侯爵夫人のナディア様にお伺いを立てようと思った。
ナディア様の姉上はこの国の女王だ。
力になってくれればそれだけで大きい。
「今日はまずは顔合わせで、お互いを良く知ろう。勉強は明日からでも出来る」
「それはありがたい。どうにも話が纏まらない会議ばかりで疲れているんだ」
「俺もです。あーでもないこーでもないと、延々と同じ議題がグルグル回って時間だけを浪費している気分です」
「シュナイダー陛下もかい?」
「ラスカール陛下ですか?」
「どうやら、悩みは同じみたいだなぁ。多分俺の予想だが、大臣たちが自分たちの利権がらみやなんやで言葉を濁し似たような話であーでもないこーでもないと言っているのだろう?」
「「その通りです!」」
「碌でもないな。そう言う輩は切っても良いぞ。新しい人材を入れたほうが会議は早く進むし、時間も短くて済む」
そう言って珈琲を飲むと、ラスカール王も真っ黒な珈琲を恐る恐る飲んで「俺の好みの味だ!」と驚いていた。
「先生、これは何処で買えますか?」
「飲み過ぎると夜眠れなくなるが、俺が売る事も出来るぞ」
「是非持ち帰って城でも飲みたい!」
「なら簡単に作れる奴で良ければ、後でプレゼントしますが、毒見とか大丈夫ですか?」
「そこは何とかする。先生ありがとう!」
「苦い珈琲の後にはやっぱりコレですよ?」
そう言ってカナエがクッキーを差し出すと、ラスカール王は恐る恐る食べて余りの甘さに驚いているようだ。
「こ、こここれは」
「ストレリチアのお菓子店で売っているお菓子です。お口に合いましたか?」
「何と贅沢なお菓子だ……是非我が国にも売って欲しい!!」
「残念ながら、オスカール王国時代にボルドーナ商会に其方との取引は全てお任せしたんですよ。もし頼むのでしたらボルドーナ商会に頼んで下さい。ボルドーナ商会とは良いお付き合いをしているので商売敵にはなりたくないのです」
「くうう……。オスカール王国めっ!!」
そう言って打ちひしがれるラスカール王だったが、その様子にテリアが声を掛けて来た。
「でしたらラスカールさん、三時のおやつタイムは一緒に過ごしたらどうでしょう? ナノちゃんとシュウ君もおやつ時間だけは戻ってきてくれるでしょう?」
「「戻る!!」」
「おやつ時間というのは、こういうクッキーが出るのですか!?」
「えっと、はい、この他にも色々と」
「色々と!?」
「昼の三時になったら来ると良いですよ。歓迎します」
「おおお……ありがたい! しかしシュナイダー陛下はこんな良い場所で保護されて生活していたのだね!」
「最高でした。困れば沢山案を出して一緒に考えてくれますし、回りくどい言い方をせず真っ直ぐ答えてくれる仲間がいました」
「それは大きいですね……」
「損得勘定なしに真っ直ぐぶつかり合えると言うのは成長しやすいんです。あそこの大臣たちの様に利権に雁字搦めになって身動きが取れないと、同じ話題を繰り返して話は進みませんよ」
「「なるほど」」
その後も目の前でラスカール王とシュウが愚痴を零し合いながらお互い飲み物を飲んで甘いクッキーを食べ、同じように溜息を吐く姿に思わず笑ってしまったが、案外この二人は上手く行きそうだと微笑んだのだった。ナノは中座してニノに会いに行く事も出来てニコニコしていた。
こうして顔合わせが終わり各自自分の国に戻る事になったが、今後は午前中は各国で会議やら仕事をして、お互いに国で昼ご飯を食べた後は此処に集まり勉強会をし、三時を終了としておやつを食べてから各自帰ると言う事に決まった。
俺も色々と質問されてもいいように気合を入れるか。
その前に、モルダバルド侯爵夫人のナディア様にお伺いだけ立てておこう。
そう思い応接室に向かい手紙を出し、手紙が来るまでの間、月の売り上げを計算して目を傷めていたのは内緒にしたい。
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