78 水野は出張治療院で働いて貰う事にし、孤児院への寄付をし、ついに陛下と面会する。
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その後俺達は二人の家に戻り、お茶を飲んでから片付けをして少し遅めの睡眠となった。
明日はラスカール王国の拠点から水野を連れて商業ギルドに行き、治療院を作る為の土地を買わねばならない。
まだまだ忙しい日が続きそうだ――。
「おはよう皆さん! 良い朝ですね!!」
「おはよう先生。早速出かけるの?」
「早起きは三文の徳と言うからな! それに今日はストレリチア村の産直も開く。ああそうだ。北と西に銭湯が出来たんだ。ここのお風呂もいいが銭湯も良いぞ」
「凄い! 今度皆と行ってくるわ!」
「よし、では行こうか! 護衛は一人頼むぞ」
「では俺が行こう」
こうして水野とカナエとロゼを連れ商業ギルドまで行きゾナードさんにお願いがあって来たと伝えると直ぐに応接室に通された。
沢山土地を買っているから上客と思っているのだろうが、大体あってる。
直ぐにゾナードさんがくると、兵士の詰所辺りで小さくても良いので良い物件は無いだろうかと聞くと、一か所空いていることを教えてくれた。
何でも元は治療院だったらしく、先生が年を取って辞めてしまったそうだ。
「それは良い事を聞きました。実はこの水野は俺の弟子でもありまして、回復魔法に長けているんです。その為治療院を開こうと思いまして場所を探して頂きたかったのです。以前治療院があった場所なら分かりいいと思うのでその場所を借りる事は出来ますか? 今回は賃貸でお願いします」
「おおおおお! 治療院を開いてくれるのですか! それならお安くします! 前の先生が辞めてしまってからどうにかしたいと思っていたんです!!」
「分かりました。直ぐに契約を致しましょう。薬も少しはお出し出来るので、その準備もありますし」
「薬も出して頂けるのですか!? 実は前国王時代から胃が何時も痛くてですね…。常備薬はありますが効き目がイマイチなんです」
「それは辛いですね」
「それで薬を出して貰えるならありがたいです。後で治療院に行けば出して貰えるでしょうか?」
「軽度な薬は用意出来ますが、水野はまだ若く経験が足りません。治せる治せないも出てくると思います。薬は用法用量を守ってくださいね?」
「それでもありがたいです。 ――こちらが賃貸契約書になります。月々金貨100枚になります。」
「直ぐ支払います。建物を変えても宜しいですか?」
「勿論、働きやすいようにして下さい」
「では案内をお願いします。この後孤児院にも行かねばなりませんので」
「孤児院ですか……。孤児も兎に角多いんですが、それ以上に多いのが放置された老人なんです」
「放置された老人ですか」
「はい。食料事情もあって捨てられる老人が後を絶たないので。国もどうにかしようとしているのですがどうにもできないようで」
その言葉に俺はふと、老人ホームを作ると言う考えに至った。
無論仕事はハードだろうが……やる事は見えている。
「時に、この国のシスターはどれ位居ますか?」
「教会には沢山いるでしょうが、あの人たちに弱者救済の精神は期待出来ません。市民の方がまだ持っていると思います」
「ふむ」
「老人がどうかしましたか?」
「いえ、終の棲家を作ろうかと思いまして」
「終の棲家ですか?」
「ええ、路上で最後を迎えるのではなく、老人たちの最後の場所ですね」
「お優しいですね」
「国に相談してからになりますが、まずは孤児院に『支援』するところから今日は始めて、夜に陛下に面会したいと手紙を出していただけますか?」
「分かりました。夜6時頃なら陛下も大丈夫でしょう」
「ではその時間に」
「全く、アツシ様の……、ストレリチアからの支援は、どこまでも温かいのですね」
「思いつく限りの事はしたいと思います。もし雇い手が居なければ奴隷を雇います」
「国が新しくなったんです、今が頑張りどきです!」
「はい。宜しくお願い致します」
こうしてまずは治療院の場所に案内して貰い、そこの見た目を薬局らしい形に変えて、薬を出す所で怪我も治すように作りかえた。
その間にカナエはある程度の薬をドンドン出していき、目薬から始まり、それも子供用と大人用と用意しながら、子供用の薬と大人用の薬とで分けて行き、棚に入れ込んでいく。
無菌ガーゼや応急処置や家庭の医学などの本も用意したのは、もしもの事態に備えてだそうだ。
スーパーの薬局などで見かける薬を用意すると、治療院の事は水野に頼んで、ロゼさんには引き続き水野の護衛を頼んだ。
「すみませんロゼさん、水野には頑張って貰う事が今は大事なので」
「君が危険を犯そうとしていると聞いている。何故そこまでするんだ?」
「詳しくは言えませんが、守る為です」
「守る?」
「敵の目を此方に向けて欺く為……とも言いましょうか?」
「……ダングル王国は手ごわいぞ」
これだけの言葉で相手がダングル王国と気付くとは、流石Aランク冒険者。
だが俺はそれでも止めるつもりは毛頭ない。
「ええ、だからこそ派手に動いて、後ろ盾を手にする為に動いているんです」
「後ろ盾?」
「陛下の信頼と信用を勝ち得て初めて手にする事が出来るでしょう。俺は一応後ろ盾にノスタルミア王国の女王陛下が付いていますが、それだけでは足りない案件ですので」
「守りたいものが大きいのだな」
「ええ、その通りです」
「そう言う事なら水野は俺たちが責任持って守ろう」
「お願いします」
こうして今度は北と西にある孤児院に向かい、定期的に食料を持ってくることを約束し、それでも質素ではあったが、長持ちするジャガイモやカボチャと言った野菜を多めに預け、秋の国なので寒い部屋に置けばそうそう腐らないと言う事だったので、玉ねぎやニンジンも多く用意した。
また、肉は用意できないがカナエが大豆ミートを数箱購入し、「肉代わりにどうぞ」と用意していたのには、カナエの優しさを感じた。
無論パッケージなどは食べられないと伝えて注意も忘れない。
また、治療院が出来たことも伝え、もし何かあった場合は孤児たちは無料で治療を受けられると俺が言っていたと治療院の者に伝えてくれと言うと、シスターたちは頭を下げてお礼をいっていた。
他にも毛布があっても寒いようで、秋冬用の毛布を多めに支援物資として出した。
服に関しては流石に無理だったが、これだけでも随分と変わるだろう。
やる事は増えたが、その内ヴァリオンに頼んで北と西の孤児院に日持ちする野菜を定期的に持って行くよう頼もうと思う。
問題は――老人達の終の棲家だが、その前に産直市場を覗くと上手く機能しているようで、ヴァリオンも率先して品出しをしており、頑張っていた。
これなら市場も問題はないだろう。
その後一度二人の家に戻り風呂に入り身体を洗って身奇麗にすると、もう直ぐ5時だ。
楽な服に着替えて軽く腹に甘い物を入れて脳を働かせるようにする。
「これだけ動いてもまだ敵は此方を見ませんね」
「後一つだな」
「老人たちの終の棲家ですか?」
「ああ、その為には獣人の力が必要だ」
「獣人の……ですか?」
「オスカール王国時代の獣人奴隷で犯罪歴が無い者と、ノスタルミア王国で同じく犯罪歴が無く、生活魔法や料理が出来る人を探す。片っ端からだが、彼らを雇い老人ホームを作る。そこまですれば嫌でも動く筈だ」
「そうね、焚きつけるのね」
「そう言う事だな。時間は掛かるがやれない事は無いと思う。無論陛下次第だが」
「そう言えばピシエールさん来なくなりましたね」
「商業ギルドからは連絡は行ってると思うぞ。水野も転移の魔導具?を使っていたが、多分一般的ではないのだろう、俺達が目の前から消えたのが怖かったんだろう」
「なるほど」
こうして甘い物と甘い珈琲で糖分を取り、頭を働かせるといざ戦闘服のスーツに着替え、ラスカール王国の城へと向かう。
無論瞬間移動だが、時間的にはもう直ぐ6時。謁見の間の前で待つ事数分、名を呼ばれ扉が開き中に入った。
すると――。
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