74 ついにラスカール王国での活動が始まる!
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流石レアスキル【緑の手】の持ち主が三人もいることから農作物は沢山あるらしい。
ドンドン売りに出したいという事だったので、大体どれだけ毎日持って行けるか等を文官の方々が計算していた様で、俺の用意した作物用倉庫で六つあるうちの二つまでなら、毎日運んでも問題ないそうだ。
寧ろ野菜や果物を循環させることが出来る為、助かるらしい。
またパンを焼く工場もストレリチア村には出来ていて、毎日美味しいパンが作られている。
そちらも数はそんなに多くはないが出すことは可能だという。
一日二回の搬送なら可能だそうだ。
また、果物に関しては直ぐ大きくなる為、ジャムに加工して販売しているのだが、そちらも納品可能だという。
寧ろ出して欲しいと言われ、有難く出させて貰う事にした。
これなら大型産直市場を作れそうだ!!
「ラスカール王国で産直市場を作ろうと思うんだが、現場監督が欲しいのと、働き手が欲しい。無論ラスカール王国でも雇うが、現場監督は此方のストレリチア村から出したいと思っている。誰か良い人はいないだろうか?」
「シリウスを呼んでくる方が早いかもしれない。誰か呼んで来てくれないか?」
そうディア様が口にすると文官の一人が駆け足で向かったので、良く連絡係に使われているのだろうと予想する。
「あの者は足が速い。直ぐ呼んで来て貰えるだろう」
「ディア様、こちらの生活には慣れたようですね」
「今ではお父様と一緒に此方の家に住んでいるとか」
「うむ。父上は仕事がある故、シズリー辺境伯領の仕事もしなくてはならなくてな。度々扉を通って戻っておられるが、私は殆どこちらにいることが多い。弟のノバースが学園を卒業して本格的に後継者教育が始まったので、最近は釣りをする時間が無いとぼやいている程だ」
「「弟さんいたんですね」」
「うむ、弟がシズリー辺境伯の跡を継ぐ。私は此方で仕事を全うする!」
「仕事が恋人と言うのは、なしですよ?」
「今は仕事が恋人でも構わん。それにシリウスとはそれなりに良い仲だ」
「「おお」」
予想していなかった言葉だったが、どうやらディア様はストレリチア村のまとめ役であるシリウスと良い仲らしい。
シリウスは美丈夫だしディア様の好みにも合うのだろう。
暫くするとシリウスが文官と共にやってきて話し合いとなったのだが――。
「それなら俺の弟のヴァリオンが適任かと。農作物に関しても良く知っていますし、元々はダングル王国にあった大きな市場で働いていて、そのトップの右腕でしたので」
「安心感はありそうだな」
「はい。ただ、そのトップと仲違いしてこちらに来たという話です」
「なるほど、理由を伺っても?」
「ダングル王国では食べ物は王家であっても民に分け与えながらお互いに飢えを凌ぐというのが普通でした。しかし前国王夫妻が殺され、弟のバルガス国王になってからは、国民に与える筈の食べ物すら城に集め始めた為……弟が言うには、今はダングル王国では飢える者が多いと聞きます」
「むう……」
「でも、それって国王が悪いからよね? 独裁政権って言うのかしら。内部反乱が起きれば倒せそうな気はするけど」
「王族の血を引く者がいればいいのですが、バルガス国王は自分に従わない者は粛正してしまい…、前国王の子であるシュナイダー王子とナノリシア姫が生きていれば……」
「シュナイダー王子とナノリシア姫か……」
シュウとナノと名前が似ている……これは要確認事項だな。
そう思いつつ顔には出さず話を聞いていると、王族の血を引く者が居て、尚且つ後ろ盾に強い人物がいれば政権交代も可笑しくはないという。
強い人と言う言葉で俺の顔を見られたが、俺は苦笑いしか出ない。
「俺は強くないぞ?」
「ですが、我々を救って下さった」
「もし、シュナイダー王子とナノリシア姫が、俺にどうしてもと言うのであれば手伝おう。ただし、雪国となると俺達にとっては未知な世界だ……。農作物はどう育てている?」
「農作物はガラス張りの建物を建て、その中での栽培が主流ですが、獣人は野菜を余り食べませんので、基本的に食べられる魔物を育てて繁殖させ、肉にして食べております」
「なるほど、畜産か」
「はい、そちらに力を入れて育てておりましたので、後は肉が食べれないという一部の獣人の為に大豆等でしょうか」
「大豆ミート!」
「それです!」
なるほど、ダングル王国では畜産が主流の国家だったのか。
寒い土地でどう野菜をと思っていたが、確かに肉ばかり食べる獣人にとって畜産は大きな産業だろう。
「まずは、王子と姫を探す事ですがなかなか見つからず……。ストレリチア村からも獣人のいる奴隷市場からもしらみつぶしに探しているのですが……」
「まだ見つかっていないと」
「はい……」
「俺も移動しながら聞いてみよう。もしかしたら見つかるかもしれない。希望だけは捨ててはいけない」
「はい!! では弟のヴァリオンを連れてまいります!」
そう言って素早い速さで走って行ったシリウスにディア様は「素敵」と口にしており、ディア様の新しい恋の門出に祝福があればいいなと心から祈った。
その後ヴァリオンを交えての話し合いとなり、俺について来て貰う形でラスカール王国に来て貰う事になり、拠点は既に通してあったので、奥の扉部屋からラスカール王国の拠点に入り、そこから三人して出て行く。
まさか獣人が出てくるとは思もわなかったラスカール王国の人々だが、穏やかで優しい顔のヴァリオンは気にした様子もなく俺達についてきた。
「そう言えばシリウスとヴァリオンは狼獣人か?」
「ええ、そうです。狼獣人は力に優れ統率力も高い為、兵士として起用されえる事が大変多いのですが、俺は争いごとが嫌いだった為、市場で働いていました。やはり争いは何も生みません」
「そうだな。俺もそう思うよ」
「王子と姫様がどこかに生きていると良いわね……」
「はい、虎獣人は王族の証。見つけられたら直ぐ分かるのですが」
「虎獣人」「王族の証!?」
「どうかしましたか?」
「いや、後で確認する事が出来たなと思っただけだ」
シュウとナノは虎獣人だ。
そして目の前で両親を殺され、元オスカール王国の奴隷市場に売られたと言っていた。
可能性は0ではない。
だが当の本人達がどう思っているのかも、シッカリ聞かねばならないだろう。
もし後ろ盾が欲しいというのなら、俺は喜んで後ろ盾にはなるが……その際、ノスタルミア王国を巻き込まないかどうかも心配だ。
女王陛下と話し合いも必要となるだろう。
直ぐに返事が出来る状態ではない事だけは確かだ。
こうしてラスカール王国の商業ギルドに到着すると、受付の女性は慌ててゾナードさんを呼びに行き、俺たちの登場と後ろにいる獣人のヴァリオンに驚きつつ応接室へと通された。
その際ピシエールさんを呼んで貰うよう頼むと、受付の女性は頷きつつ直ぐに連絡を入れてくれたようだ。
「いやはや、ストレリチア村は獣人の村と聞いていましたが本当でしたな」
「ええそうです。彼、ヴァリオンはダングル王国の大きな市場で働いていた経験があるそうです。その経験を買い、ストレリチア村産の産直市場の総合統括を担って貰おうと思います。まぁ、いわば管理する社長ですね」
「なるほど。で、かなりの量をストレリチア村から売る事が可能と言う事ですか?」
「ええ、大体の目星がついたのでこうしてきました。そうですね、市場の中でもかなり広い土地を欲しいと思っています。四角い大きな建物を建てますので、そこをストレリチア村の産直市場としたいと考えていますので。野菜だけでなく、パンやジャム、魚も売りますよ」
「なんと!?」
「その為に大きな土地が欲しいのですが」
「直ぐご用意しましょう!」
そう言うと市場付近の土地の地図を開き、空いている土地を考えながら立ち並ぶ市場とは少しだけ離れるが、これまた農業ギルド付近がゴッソリ空いていたことから、そこを購入することになった。
以前ここにはレストランが立ち並んでいたそうだが、とても仕事が出来ないと次々潰れて行ったらしい。
そして奥二軒ずつは彼らの家だったらしく、そこも空き家と今はなっているそうだ。
そこも纏めて買い取り、支払いを済ませると更にもう一つお願いごとをしてから頼まれていた案を語る。
「此処には後で行き市場を作りますがまず従業員を商業ギルドから派遣して頂くことは可能ですか?」
「登録している住民ならば派遣は可能です。兎に角多く派遣で登録されていて……身元と犯罪歴がないのだけは確かですよ」
「では50人程雇いたいので早急にお願いします。その後必要であればヴァリオンから話を聞いて更に人数を増やします。肉体労働が主の仕事ですから身体が丈夫な人が望ましいです。後はレジを置きますので計算が出来る方も欲しいです」
「分かりました。願ってもない事です」
「また、ストレリチア村の産直では獣人も多く品出しに来ます。その事は注意書きとして書いて置きますが獣人に差別意識のある従業員は必要ありません。お客様であっても差別発言をする方には何も売る気はありません。このことは噂として流しておいてください」
「畏まりました。沢山雀に喋らせましょう」
「今から三日後、それまでに50人集められそうですか?」
「やりましょう。民がこれ以上飢えるのは宜しくない」
「ありがとう御座います。それからこれはラスカール王に頼まれている事なのですが」
「陛下に?」
「庶民街に銭湯、大きな風呂場ですね。それを作れと言われておりまして。庶民街の道路に面した場所に空いている土地はありますか? 出来れば広い土地が望ましい」
そう言うと庶民街の土地の地図を開き真剣に探し始めたゾナードさん。
良い物件が見つかると良いが……。
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