67 一時預かりとなった二人を徹底的に絞り上げる。
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こうして陛下の御前を後にし、水野と井上を連れて一旦は戻る事になったのだが、陛下より「話し合いが終われば後はお前たちに任せる」と言われた為、二人をオスカール王国に戻すも助けるも好きにせよと言う事らしい。
二人は意気消沈してついてきたが、拠点に着くと目を見開き、渋々俺達は中に入れた。
すると――。
「「めっちゃ広い!?」」
「言っておくけど、貴方たち楽が出来るとは思わないで頂戴」
「遊ばせないっすよ。徹底的に絞るっす」
「ま、そうだな。それくらいはさせて貰おうか」
「「ひい……」」
「あら先生達、もうお帰りになったの?」
「ロスターナ、皆を呼んで来てくれないか?」
「あら、新しいお仲間?」
「いや、違う」
「一時預かりかしら? いいわ、呼んでくるわ」
「ああ、頼む」
そうロスターナに頼むと井上は顔を赤くしていたが、あの口調と仕草に騙されているなと思ったが男性だとは教えなかった。
後でロスターナに打ちのめされるといい。
その後、子供たちが集まってきたが、取り敢えず二人を預かる事になった事を告げ、何か嫌な事をされたり言われたら必ず俺かカナエ、菊池に言う様にと伝えると、全員が手を挙げて返事をしていた。
「ちなみにシュウと大人二人」
「「「はい」」」
「此処で働く場合、この二人は徹底的に絞っていい。遊ぶ時間が無い程にな」
「「「分かりました」」」
「泣き言を言ったら追い出す事になっている」
「先生、こいつ等何したんだ?」
「私たちを雑魚って呼んでた奴等よ」
「何でそんなの預かるんだ? 今から俺が放り出してきてやるよ」
「放り出したくても、暫く置くしかないんだよ。女王陛下からの依頼だ」
「なるほど、それなら仕方ないですね。徹底的に絞るのは得意なんです。ビシバシ行きますね」
「ああ、そうしてくれ。取り敢えずは二人の鑑定から始めるが、顔合わせだけは先にしておこうと思ってな。ニノ、こいつらが文句を言ったり遊び始めたら攻撃して理解させてやってくれ」
「イイノ?」
「死なない程度にな?」
「ワカッタ」
そうニノに頼むとまずはソファーに座って二人のスキルチェックだ。
初めて視ることになるが……勇者と言われるだけのスキルだ。きっと凄いんだろう。
テリアとロスターナが俺達に紅茶と珈琲をだしてくれたが、二人は一口飲んでビックリしているようで、その間に鑑定する。
無論三人で。
【井上:剣術7・器用さ3・体力5(反省中)】
【水野:回復魔法7・素早さ2・体力3(反省中)】
……うーん、これで勇者?
思わず三人顔を見合わせて眉を寄せる。
確かに剣術と回復魔法は高いが、後は平均というか……。
菊池のようなレアスキルもない。
言うなれば、平凡なスキルだった。
どれだけオスカール王国は人材不足なんだ?
「なんか、スゲー平凡っす」
「うん、凄い平凡。これで勇者? 笑っちゃう」
「これは俺もビックリだな」
「え、そんなに俺達のスキルって平凡?」
「そんな、勇者に選ばれたんだから凄いと思ってたのに」
「オスカール王国は、随分と人材不足なんだなと思う程には平凡だな」
「「……平凡」」
「凡人っすよ。どこにでもいるっすよこんなの」
「此れじゃ、うちの子たちの方がもっと凄いわよ」
「「………」」
確かにうちの子達は凄いが……いや――、まさかコレで勇者、無いだろう?
余りにも平凡過ぎて言葉にならない。
唖然としてしまうな。
「そんなに平凡……ですか?」
「使いモノにならないくらいに?」
「「「平凡だな」」」
「てか、これでよく俺達を雑魚と呼べたなってくらいには平凡だ」
「街中で見かけるくらいのスキルよね。それより劣ってるかも」
「オスカール王国の人材不足は深刻なんすね」
「「本当にすみませんでした……」」
どうやらやっと自分たちのスキルが勇者と呼ぶには余りにもお粗末で平凡だと言う事に気づいたらしい。
その様子にテリアとロスターナは心配した様子でやってきたが、後ろからスキルボードを見つめ口を押さえて――。
「うわっ! 平凡!!」
「私は戦うスキルはありませんから、其処だけ見れば上ですが、街で暮らすには平凡以下かと。」
「確かに街で暮らすには平凡以下ね。 戦闘系スキルなんて街で暮らすには役に立たないもの、その辺の雑魚と一緒よ。」
「「雑魚……」」
「うーん……正直パッとは目を引きませんね」
「オスカール王国って人材不足って先生達が言ってたけど、本当なのね」
「あ、でも冒険者にはいそうです!」
「あー…レベルとランクの低い冒険者ならまぁ……」
「そんなに俺達のスキルって低い……のか?」
「いや、剣術と回復魔法は良いと思うぞ? ただ、他がな……」
そう俺が苦笑いしつつ伝えると、二人の反省中が猛省中になった。
心を折られたようだ。
「まぁ、俺もこっちに来てからスキル生えてきたっすし、二人も今後スキルが生えなくもない……っすかね?」
「どうだろうなぁ。個人の素質にもよると思うが」
「冒険者としてならやっていけるんじゃない? 外に追い出した時は冒険者っていう道があって良かったわね?」
「「姫島……」」
「カナエ、追い打ちを掛けてやるな。俺は少し哀れに見えてきたぞ」
「そうですかー? 私たちが受けた仕打ちと比べたら安いものかと」
「そうかも知れないがな」
「私トコトン追い詰めるって決めてますから。先生たちがお優しいだけじゃないですか?」
「そうっすね。最後の最後になって反省しやがりましたからね。命が掛かってるから必死だったんでしょうけど」
「コレどうします?」
「は――……。余り此処での仕事をさせたくないな。別々に一店舗ずつ預けるか」
「それが良いっす。井上は酒屋で良いと思うっすよ。飲みたくても飲めないで力仕事させとけばいいっす」
「なら水野はお菓子屋ね。あそこは従業員もお客様も皆女性だし色目も使えないでしょ? 食べたくても食べれないお菓子を見ながら売ればいいわ」
「鬼畜だがそれしかないか」
そう言うと二人は酒屋とお菓子屋に話を付けてくると言って出かけ、残ったのは俺と井上と水野のみ。
二人は俯き声も発さないが、うちにすら置かず外で働かせると言うのが堪えてはいるようだ。
「二人共甘えは許さないと俺も思っている。外で働いてシッカリと反省するように」
「「はい……」」
「盗み食いと盗み飲みしたら追い出すぞ」
「「はい……」」
「そもそも仮で置いてやるんだから、何時かはオスカール王国に戻る覚悟はしておけ」
「「それは……」」
「一時預かりにしか過ぎない」
そうキッパリと言い放つと、二人は涙を流しつつ「はい」と答えた。
「ロスターナとテリアも、二人は一時預かりであることは理解してくれ」
「ええ」
「分かったわ」
「二人には働き先で研修生として働かせる。無論甘やかしはなしで頼むがな」
「それで宜しいかと」
「私は先生に従います!」
「悪いな」
そう言うと俺は一人ずつ……まずは井上を酒場に頼み、「根性を叩き直してやってくれ」と頼み、次に水野をお菓子屋に連れて行き「根性を叩き直してくれ」と頼むといい笑顔で二か所とも頷き、その日のうちから働かせ始めた。
拠点の仕事場に行くと別々の店に研修に出した事と「二人は一時預かりなので、そのつもりで」と伝え二階に上がり井上と水野の部屋を用意する。
牢屋生活よりはマシだろう。
一応弁当は用意させることにし、ロスターナには迷惑を掛けるがと言うと「一人か二人増えても構いませんよ」と笑って許してくれた。
それから俺達も何時もの服装に着替えてスーツはテリアに預けて洗って貰い、乾燥まで済ませると持ってきてくれたので空間収納に入れて各々仕事をする事になった。
王太子が今後どうなるかは分からないが、少なくとも一国の王に薬を使ったと言う事実は消えない。
オスカール王国がどうなるかは分からないが、取り敢えずは様子見だ。
それから俺達も忙しい日々を送り、井上と水野がどうなって行ったかというと――。
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