47 村の代表を作り連絡係として貰い、ディア様に常駐を頼む。
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「ありがとう。こちらこそお願いします。」
「はい!」
こうして長い夜が始まった――。
事が事なので大人の住民は沢山来ては憤っていたが、「体力は回復中です。明日には熱も下がるでしょう」と告げると安堵していた。
そこで、気になる事を聞くことにする。
「所で、この子たちを見ていたシスターは?」
「はい、人間の中年の女性でした。余り良い感じの人では無くて……」
「なるほど、これも陛下に報告だな」
「私たちも生きるのに精一杯で……っ」
「過去を嘆いても仕方ない。今、助けられる命がある、それだけを見るんだ。いいな?」
「はいっ!」
そう会話していると、村のまとめ役が決まったそうで挨拶に来られた。
元ダングル王国の兵士長をしていた男性で、シリウスと言うらしい。
色々要望を纏めてきてくれた様で、「こんな状況で言うのは心苦しいですが」と前置きしてから口にする。
「住宅をありがとう御座いました。風呂もトイレもある家を頂けるとは思わず、皆感謝しております。また、食事の炊き出し……でしょうか? 食堂を用意してくださり有難う御座います。住民を代表して御礼申し上げます」
「こちらこそ、手を差し伸べるのが遅くなってすまない」
「いえ、貴方のような方が来てくださっただけでどれだけ違うか……」
「それで、他の要望は?」
「はい、農作業するにも道具がないと」
「それは此方から全て用意すると伝えてください。種や苗も水場も全て用意します」
「ありがとう御座います。今後此処に避難してきた獣人はどうすればいいでしょうか?」
「受け入れて下さい。住宅が足りなくなったらまだ作れますので言ってください」
「ありがとう御座います。それと、アツシ様は常駐してくださるんでしょうか?」
「一日に何度かは来ますが、基本的に一人、知り合いを常駐させます。連絡も直ぐ取れる状態にしますので問題はありません。明日この子たちの熱が下がり次第ですが」
「畏まりました」
「それからこの子たちの面倒を見る獣人を一人、そちらから用意してください」
「それなら私が!」
そう声を掛けたのは、一緒にこの子たちを見ると言った少女だった。
名はエミリーと言うらしい。
「ではエミリー。この子たちの事を今後もお願いする」
「はい!」
「孤児院の子達も回復すれば食堂で食事をさせます。その事は住民にも伝えてください」
「畏まりました」
「それから、俺の秘蔵っ子がこちらに手伝いに入りますが、その子たちは村には欠かせないレアスキル持ちです。紹介した時は大切に扱って下さい」
「村には欠かせないレアスキル……ですか?」
「ええ、狙われては困るのでスキルの詳細は話せません。後、先程も伝えましたが纏まった時間が取れたら住民一人ずつ鑑定させて下さい。うち二名を雇わせて貰う予定です。鑑定の結果次第では、また色々状況は変わります」
「分かりました」
「あと、言いにくいんですが、皆さんが今まで住んでいた家(?)は、片付けていって欲しいです。風で倒れてソレが原因で怪我でもしたら大変です。何箇所か不要になった木や石や布などを集める場所を決めるので、ゆっくりでいいので、そこに片付けて欲しい。まずは焦らず、一つずつやって行きましょう。俺達はその為に来たのです」
「アツシ様……っ」
「これからドンドン発展させますよ。王都から貴族がこぞって来るくらいには。それが目標です」
「ははは! 豪胆な人だ! だからこそダグラス様も付いて行かれたんでしょうね」
「そうだと良いんですが」
シリウスとの対面を終えたあとはエミリーに先に食事をしてきなさいと伝え、その間俺は子供たちの面倒を見る。
その間に一人ずつもう一度鑑定し、うちで雇えそうな子ならば引き取ろうと思っていた。
すると――。
【モルカ:器用さ5・水魔法4・緑の手】
この子はこの村には必須だな。
思わずこの村に良い人材を見つけた。
モルカにはこの村で頑張って元気に育って貰おう。
その他の子は、うちで雇えそうな子はいなかった。
早々見つかる方がレアな訳だが。
そんな事を思いつつ、一人ずつに栄養のある体に優しい水分をたまに飲ませながら様子を見て行くと、食事を終えたエミリーが戻ってきた。
「すみません、遅くなりましたか?」
「いや、子供たちに飲み物を飲ませたばかりだから暫く大丈夫だろう」
「ありがとう御座います」
「後で数時間程ここを離れるが、戻ってきたら熱を測って再度解熱薬を飲ませる。今夜を乗り切れば明日には熱が下がっているだろう。その後は栄養を付けさせるだけだ」
「本当に何から何まで」
「その為に来たからな。問題はないぞ?」
「ありがとう御座います!」
「カナエはどうしていた?」
「もう直ぐこちらにお戻りになるかと」
「先生! 戻りました!」
丁度いいタイミングでカナエが戻ってきたので「一旦席を外すが、この飲み物を時折飲ませてやってくれ」と頼み村の入口の拠点へと向かう。
集合住宅には明かりがつき、やっと安心して眠れる事だろう。
そして拠点からノスタルミア王国の拠点に帰ると、息切れを起こして倒れている菊池が居て思わず睨みつけた。
「根性がないな。カナエはこれくらいでは倒れなかったぞ?」
「す、すみません。もっと頑張ります」
「ちょっと行く場所が二か所あるので先にご飯を食べていてくれ。俺はまた直ぐ避難所に戻らないと行けない。カナエは風呂に入りたかったら入っておくといい」
「はい」
「行ってくる!」
そう言うとまだ6時だったので急いで魔道具屋に向かい、手紙のやり取りが出来る魔道具を購入。
その足でボルドーナ商会に向かい、シズリー辺境伯とディアへの面会を希望した。
ボルドさんもついてくると言う事だったので部屋をノックし中に入ると、目を輝かせたディアとは違い、厳しい目でこちらを見てくる伯爵がいた。
「ご挨拶が遅れました。俺はストレリチアのアツシと申します」
「話は聞いている。シズリー辺境伯のドーナだ。何用で来た?」
「はい、実はディア様にお願いがあって参りました」
「ディアに?」
「はい、今俺は獣人の避難所を村にしてまいりました。そこで、常駐して連絡が取れる相手が一人欲しいのです。村の代表の要望を聞いて連絡をしてくれる方がどうしても必要で、ディア様にお願い出来ないかと」
「やります!!」
「ディア!!」
「シズリー辺境伯領と近いではありませんか。それにここで断れば婿に来て貰えません!」
「婿には行きませんが?」
「くう……手ごわいっ!」
「ですが、ディア様がやる気があるのでしたら是非にと思います。無論こちらとあちらは扉一つで行き来可能ですので、何かあれば即逃げる事も可能です」
「ふむ……レアスキル持ちだったな」
「はい」
「良いだろう。ディアを貸してやる。ディアにも経験を積ませたい所だったからな」
「ありがとう御座います。出来れば明日の朝には常駐して頂ければと。連絡用の魔道具も既にご用意してあります」
「宜しい。ディア、用意を済ませ明日朝一番にアツシ殿の元へ向かえ」
「はい!!」
こうして内心ホッとしながらシズリー辺境伯の留飲も下げられて良かったと思った。
そして朝にはディアさんが来ることになり、色々用意する物も増えた。
取り敢えずは一つずつクリアしていこう。
「それでは、まだ仕事が残っていますので今回は此れで失礼致します。」
「うむ、シッカリ励みたまえ」
「ありがとう御座います。ディア様、明日から宜しくお願い致します」
「ひゃい」
そう言うと俺は部屋から出てボルドさんに「流石はアツシ様ですね」と褒められたが、取り敢えずは留飲が下がったと言う事を喜ぼう。
ついでに「手紙で陛下への報告をしたい」と伝えると、「ノスタルミア王国女王陛下宛とすれば届く」と言われたので助かった。
次に拠点に帰り、一日の売り上げと皆の頑張りを記入した。
すると、カナエが風呂から上がってきて、再度【(仮)アツシの村】に向かい孤児院のあった場所に向かうと、急いで子供たちの熱を測る。
38度5分。薬を一人ずつに服薬ゼリーに混ぜて飲ませて行く。
その後も看病は続き、気づけば朝陽が昇っていた――。
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