41 戻ってきた菊池を受け入れ、助手第二号に任命する!
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明日は菊池の事がある為、ダグラスとカナエに補充組として頑張って貰うと言うのも伝え俺達も風呂に入り眠りについた翌日、何時ものように朝ごはんを食べて珈琲タイムを過ごしていると、チャイムが鳴った。
どうやらボルドさんたちが帰ってきたようだ。
カナエも一緒に俺についてきてドアを開けると、ボルドさんが笑顔で「お久しぶりです!」と口にし、後ろにいるフードを被った少年を前に出す。
「お届け物で御座います」
「御受取致します」
「――先生!!」
そう叫んだ瞬間、フードは取れて涙を流しながら俺に抱き着いた――菊池。
シッカリ抱きしめ、生きて会えたことにホッとした。
「良かった……生きてまた先生に会えて良かった!! ボルドさん本当にありがとう御座いました!」
「いえいえ、本当に運が良かっただけです。その運を、上手に使いなさい」
そう言うとボルドさんは帰って行ったが、菊池は涙をそのままに靴を脱いで上がり、床に座り込んで大泣きしだした。
これには子供達も驚いて駆け寄り、頭を撫でたり背中を撫でたりしている。
そんな様子を見て腕を組むと――。
「こら菊池。お前はこの中ではカナエと同じ年齢なんだから、お兄さんになるんだぞ?」
「俺が……ひっく、お兄さん?」
「周りを見ろ」
「……」
「お兄ちゃん大丈夫?」
「悲しい事があったのか?」
「お腹減ってるんじゃないかしら?」
「そうかも知れないな! 簡単に作れる料理あるか?」
「もう、しょうがないなぁ……。テリアちゃんサンドイッチ作ってくれる? 私は話を聞きたいけど、ダグラスともう仕事に行かないと駄目なの」
「分かりました。ロスターナさんと一緒に作ります」
「菊池、珈琲はカフェオレが好きか? ブラックか?」
「カフェオレです」
「じゃあソファーに座って話を聞こうか。ダグラス、カナエ、店の事は頼んだぞ」
「「はい」」
そう言うと二人は各店舗にアイテムの補充に向かった。
すると――。
「あの……俺……先生に謝りたくて」
「あの事なら、もう水に流すよ」
「でも……心から謝罪したいっす!! 先生すみませんでした!!」
「ああ、分かった。許すとも。無事で良かったと心底安心してるんだ。それより話さないといけないことがあるんじゃないか? 水野はどうした? 井上は?」
そう問い掛けると、菊池は彼が知っている情報でだが教えてくれた。
水野は王太子に騙されて魔物討伐隊と共に危うく全滅しかけた事。
井上は綺麗処を集めて酒を飲み堕落した生活をしている事。
王家が全く信用できない事、国民は痩せ細り暗い顔をしていたことを語った。
そして、俺がリウスさんから聞いた、勇者の一人が不名誉な死を遂げた事になっている話をしたら身勝手だと怒っていた。
「さっき全滅しかけたと言ってたが、戦闘経験は多いのか?」
「俺が居なくなった後は知らないっすけど、二回魔物討伐に行って、何とか乗り切ったっす」
「そうか。――先に謝るが、菊池を鑑定するぞ」
「はい。構わないっすよ」
菊池の了解を得て鑑定してみると――。
【菊池:魔法7(生活魔法と鑑定も含まれます)・器用さ3・素早さ2・運の良さ7・空間収納・危険察知4・悪意察知5】
運の良さとかあるのか……初めて見た。
じゃない、危険察知と悪意察知が高い。それだけオスカール王国が危険だったって事か!?
そこに運の良さが合わさって、本当に運よく逃げられたんだな。
「取り敢えず疲れただろう。服は俺のを貸してやるから風呂に入ってこい。下着は新しいのを用意したかったが、俺の新品で良ければやろう」
「ありがとう御座います!」
「ゆっくり風呂に入ってからご飯を食べて、それからまた話そう」
「はいっす」
そう言うと菊池はシャワーに向かい、俺はフゥッと息を吐くと、やっと安心することが出来た。
菊池が無事に此処に来れたのは奇跡だ。
まぁ、この後どうするかを決める話し合いがあるが……。
「先生、ソーセージ付けて上げてもいい?」
「ん? いいぞ」
「えへへ、初めて作ったタコサンウインナーなの」
「私も作ったのよ」
「そうか、きっと喜ぶよ」
「先生珈琲はブラックだったわよね? 今用意するわ」
「ありがとうロスターナ」
「菊池くんのサンドイッチとタコサンウインナーはソファーの机で良い?」
「ああ、大丈夫だろう」
「「はーい」」
こうして待つ事15分。
菊池は「久しぶりの風呂でした」と言いながら歩いてくると、机の上にあるサンドイッチを見つめてお腹を鳴らした。
「うちのテリアとロスターナが作ったサンドイッチとタコさんウインナーだ。しっかり食べるといい。今カフェオレ用意してやる」
「あ、ありがとう……ございます。って、え? なんで? カフェオレ? 珈琲?」
「ははは! ハズレと言ったスキルはハズレじゃなかったって訳だ」
そう言ってカフェオレを用意して持って行くと、恐る恐るカフェオレを飲んで目にジワリと涙が浮かんでいる。
そしてポテトサラダ入りの具沢山サンドイッチを口に入れると、もう号泣しながら食べていた。余程食事が辛かったのだろう。
「なんれ!? どうひて!?」
「俺とカナエのスキルはレアスキルだったんだ。だから王の持つスキルボードでは文字が出てこなかった」
「レアスキル……」
「ハズレどころか、当たりだった訳だな」
「じゃあ、外にあったキャンピングカーは」
「俺のスキルだ。この家もそうだし、俺の持っている家と店は全部、俺のスキルだよ」
「す、すげぇ……俺のなんてどこにでもありすぎて」
「いや、運の良さは初めて見た。いるんだな、こういうレアスキル持ってるヤツ」
「俺、運の良さとか持ってたんっすか?」
「ああ、多分あちらの国は知らない情報だろうな」
「へぇ……」
「菊池は鑑定したことは無いのか?」
「オスカール王国では禁止されてて」
「なるほど、不都合な所は見せない為か」
「今思えばそうっすね」
増々ムカつく国だな。
召喚された時から思っていたが、俺はあの国が大嫌いだ。
「それで、これからの身の振り方だが」
「俺、先生の所に戻りたいです」
「それはそうだろうな。ココに住むなら仕事はシッカリして貰うぞ。さっきの子供達だって働いてるし、カナエなんてオーバーワークだったんだからな」
「うっ! が、頑張ります!」
「なら2人部屋だが部屋を貸してやろう。ロスターナと同じ部屋だが、襲うなよ。細マッチョの男だからな?」
「うっす!」
「で、菊池にして欲しい仕事は色々あるが、どうしたものか……」
「え?」
「実は明日、この国の女王陛下に謁見するんだ」
「は!?」
「あと、菊池には不都合な事ばかりだっただろうが、危険察知4と悪意察知5は有効に使えそうだ。明日は付いてきなさい」
「はぁ!?」
「俺の弟子二号って事でよろしくな! ちなみに一号はカナエだ」
「でしょうね! あ――でも服とか持ってねぇっす」
「そこは大丈夫、カナエが何とかする」
「うう……分かりましたよ。付いて行くっす」
「よろしい」
こうして、弟子が新しく一人増えた。
何が出来るようになるかは未知数だが、これもまた楽しみじゃないか?
そう思っている頃、テリアとロスターナがやってきてお弁当作りを始めた。
そろそろお弁当配達の時間が迫っているからだろう。
「ロスターナ」
「はい、先生。どうしました?」
「君と同室になる菊池だ。仲良くしてくれ」
「菊池っす……よろしくお願いします」
「まぁ! 初々しい反応ですこと」
「えっと……男? 女?」
「男よ、失礼ね」
「そうなんっすね……」
そう言って項垂れる菊池を他所に珈琲を飲み、明日からまた忙しくなりそうだと遠い目をした昼前――。
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