13 拠点と店を構えたので、商業ギルドで人を雇い、新たな奴隷を手に入れるべく奴隷市場へ――。
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「近々店の店員を雇いたいと思っているんですが、大体月の相場は幾ら位なんでしょか?」
「そうですね、月の給料だと職業柄に依りますが、平均して金貨50枚、少なくて金貨30枚と言った所でしょうか。通いか住み込みか、飲食店なら賄い付きかなどでも変わってきますが。」
「では、店番に貴族を相手に出来る方を雇う場合、それなりの知識などが必要になると思うのですが、そちらは商業ギルドで用意して頂く事は可能ですか?」
「ええ、ですが何名程ご希望でしょうか?」
「大体3名程でしょうか。後は今、金貨しか持っていないので銀貨や銅貨に替えて貰える場所を教えて頂けると幸いです」
「それでしたらギルドで出来ますよ。直ぐご用意いたします」
「ありがとう御座います。では金貨10枚を銀貨に、金貨2枚を銅貨にお願いします」
「畏まりました」
「それと、三日以内に3人雇えそうですか?」
「当店の選りすぐりの人材をご用意しましょう」
「では三日後に店の予定地に来てください」
「畏まりました。私も気になるので見に行きますよ」
そう言うとノスタルミア王国のギルドマスターの後ろで待機していた女性がお金を受け取ると一礼して外へ出て行った。
銅貨と銀貨に替えてくれるのだろう。
「ところで、とてもレアなスキルをお持ちの様ですが……」
「そうですね、とてもレアかもしれないですが、自分の為にしか使う気はありませんよ」
「ええ、それで結構です。それと、今オスカール王国とダングル王国がにらみ合いをしているのはご存じですよね?」
「ええ、知ってます」
「それでこの平和なノスタルミア王国も少々ピリピリしていまして。女王陛下もダングル王国からの保護を訴える難民キャンプを用意したりと頑張っているんですが……。やはり争いは絶えず、奴隷に落とされる者が多いそうです」
「なるほど……。所で、奴隷から解放する場合はどうしたらいいかご存じですか?」
「え? ええ、テリサバース宗教の教会に行き、そこで解除は可能ですが、一人に付き金貨200枚掛かりますよ?」
「それはいい話を聞きました。ではまずはテリサバース宗教のある場所に行こうと思います。どの辺にあるでしょうか?」
「中央公園の左側に大きな教会があります。そちらになりますね」
「ありがとう御座います。ではまた、塩や砂糖が手に入りましたらお伺いしますので」
「ありがとう御座います!」
こうして契約書を貰い受け取るものを受け取ってから、まずはシュウたちを連れて中央広場まで向かい、そこにそびえ立つテリサバース宗教の教会へ入って行った。
豪華な造りになっていて驚いたが、神父らしき人が現れると「如何為さいましたか?」と聞かれた為、奴隷の証を解除して貰いたいと頼むと、神父は笑顔で「ではこちらへ」と俺達を案内する。
そこは教会の中なのに小さな滝が流れる一室で、その水をガラスだろうか? コップに注いでシュウとナノに手渡す。
「この水を飲めば、奴隷の証は効果が無くなります」
「でも……」
「いいの?」
「ああ、それを飲んでもまだ先生に付いて行きたいって思ったら、抱きついておいで」
俺の言葉に涙をポロリと流した二人は、一気に水を飲み身体からブワリと光の泡が飛び出すと、次第に収まり――。
「これで奴隷の証は二人共消えましたね」
「「先生!!!」」
「おっと!」
「俺、先生とカナエ姉さんと一緒にいたい!」
「私も先生とカナエお姉ちゃんといたい!」
「そうか……そうか! よし、最後まで面倒見てやろう!」
「それで、料金の方ですが」
「一人に付き金貨200枚となっております」
「では私からお出しします」
そう言うと身動きが出来ない俺の代わりにカナエが400枚の金貨を出して、神官はニッコリ微笑むと「神の導きがありますように」と口にして去っていった。
「さて、やる事は沢山あるからまずはさっき契約した土地に戻ろう!」
「「「はい!」」」
こうして、気持ちも新たに契約した土地へと向かい、二階建ての拠点を選択すると――ドンッという音と共に、土地ギリギリに注文住宅のような二階建てが立った。
しかもキャンピングカー付きで。
「これってもしかして、キャンピングカーと家、移動できたりするか?」
「かも知れないですね……」
「凄いお家……」
「凄いねぇ……」
「取り合えず中に入るか」
中に入ると、大きな吹き抜けの玄関に大量の靴が入りそうな靴箱、飾り鏡もお洒落なのがついていて、玄関で髪型チェックが出来る様だ。
靴を脱いで左側は商談室だろうか。重厚な机に椅子が六つ。飾り絵はあの有名な画家のなんとかの池みたいな絵が飾られていた。
入って右のドアを開けると家族関係の場所だろうか。
更に大きくなったキッチンと、食器洗浄機乾燥機付きときた!
コンロも二口コンロから三口コンロに変わり、炊飯器とオーブンレンジは変わらず。
冷蔵庫が更に大きくなっていた。
拠点が大きくなっても購入していた調味料は綺麗に収納されているようで、カナエが「拠点ちゃんイケメン!」と喜んでいた。
なにより、今までお湯で注いでいた珈琲が、ドリップ珈琲に変わっていた。
これは珈琲好きな俺には嬉しい。
広々としたリビングは寛ぐにはピッタリだ。
更に廊下を歩くと作業スペースとなりそうな大きな部屋があり、突き当りは休憩室のような作りになっている。
そこにもトイレが一つあり、廊下を挟んで大きな扉を開けると脱衣所と大きな洗面台、それに、かなり広い風呂がついていた。
シャワーが二つも付いているのを見る限り、中々広い風呂だ。
階段を上って二階に上がると、ずらっとこっちは個室になっているようで、ちゃんとトイレも完備されていて、おフランスなあのベッドが一部屋に二つずつ、計5部屋追加になっていた。
「10人は寝れるな」
「雇うんですか?」
「場合に依ってはかな」
「キャンピングカーに移動できるか知りたいです!」
「そうだな、だがどう移動するのか……ちょっと調べるから待ってくれ」
そう言うと【拠点が増えたら出来る事】と書かれた場所を押すと、なんでも俺が定めた部屋からなら移動が可能らしい。
自分が移動して良いと思った人物しか移動は可能にならず、移動した人が居た場合は電気がついたりしてくれるらしい。電気は拠点に人が居なくなった場合勝手に消えるのだとか。
至れり尽くせりじゃないか?
確かにカナエが拠点さんイケメンって言うのがよく分かる。
取り敢えず、移動する為の部屋か……。
あの、一階の一番奥にあった部屋に一応用意しておくか。
そう思い皆で移動すると、壁に手をあてると扉が出てきた。
その扉を開けると――そこはキャンピングカーの中だ。
「「「「おおおおおお……」」」」
確かに便利だ。
このドアで行ったり来たりができると言う事か。
「中々に便利だな」
「こうなるとお店も楽しみになりますね」
「よし、次は店を作るか。売るものは皆で決めよう」
「はい!」
こうして外に出ると、大きな家の隣にある中くらいの開いた土地に拠点を選び、その中から店になりそうな拠点を選ぶ。
襲われたりすることがない事から、アンティーク調の可愛らしい店にしよう。
店の見た目は何時でも替えれるわけだし。
そう思い、アンティークな可愛らしいお店を出すと、ドアを開けると何とも綺麗なちりんちりんと言う音が聞こえた。
中はまだ何もないが……第一号店だな。
二階もあるようで、一階二階にトイレはついていた。拠点と一緒だ。
二階には少し広めの商談スペースが一つと、三つの小部屋がついている。
一階には店の後ろ、客から見えない位置にバックヤードがあり、そこに商品が品切れしないように奥にスペースが出来ていた。
ここにも扉を付け、ドアを開けると二階建ての本拠地だ。
二階建ての本拠地のドアの色が変わっている。
二つのドアがあるが、一つは黄色、一つは緑だ。
「この黄色はさっき行ったキャンピングカーだな。こっちの緑は店だ」
「先生」
「ん?」
「全然ハズレスキルじゃないじゃん! あいつ等馬鹿じゃん!!」
「確かにその通りだな!! 馬鹿は言い過ぎかもしれんが確認もせず愚かだったな!」
「先生を裏切る方が悪いんです!!」
「そうなんです!」
「よしよし! 店の売り物も考えないと行けないからな! カナエ! 忙しくなるぞ!」
「はい!!」
「後は従業員をやはり増やそう。こう言っては何だが、俺たちのスキルがスキルなだけに、奴隷を雇った方が早い気がする」
「確かに先生たちのやり方が外に漏れるのは危険だと思います」
「俺とカナエで見てくるから、シュウとナノはまたお手伝いしててくれるか?」
「はい」
「勿論です」
「じゃあ胡椒を中心に今回は頼む。終わるまでに帰って来るから」
「「はーい」」
こうして、俺とカナエは鑑定を使っていい人材を選ぶ為に奴隷市場へと歩き出した――。
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連載頑張れ! とか 続きを楽しみにしてます! 等ありましたら
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