117 ノスタルミア王国で始まりそうで始まらない漁業とカナエの商売法。
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こうして増えたレンジェンドモンスターのお陰で仕事は更にアップ。
過労死しない程度に頑張って貰いたい……いや、レンジェンドモンスターって分からんが過労死するのか?
しない気がする……。
「ガンバッタ アトノ アメ オイシイネ!!」
「ウン! タマラナイネ!!」
「ワカルー!!」
と会話するニノとニノツーとニノッチ。
声は相変わらずのラスボスみたいな声だが、見た目が可愛いからよしとしようか!
――そんな事があった半年後、ニノとニノツーのお陰でストレリチアからボルドーナ商会へ売られてラスカール王国に売りに出される塩や砂糖と言った香辛料はドンドン増えて国民にも行き渡るようになっていった。
更に言えばジュノリス大国の大商家からも三国に香辛料が大量に輸出され本当に国民達ですら塩や胡椒と言った物に困らなくなるのに、ほんの半年ちょっとしか掛からなかったのだ。
無論塩で美味しいのはダングル王国で、ダングル王国の塩は貴族に特に好まれた。
こうして外貨を得つつ第三段階に入りつつある四つの国を見るのは楽しい。
また、ジュノリス大国でもやっと冷蔵庫と冷凍庫が完成し、値段を出来るだけ抑えた設計にした為、貴族はこぞって買い、国民でも裕福な家は買うようになっていった。
城では特注の物を注文され、今はそちらを作るのに忙しいらしい。
こちらに関しては俺が発案者となっている為、「他国にも売りますか? それとも知識だけを売りに出しますか?」と聞かれた為、「全ての国の国民が辛い思いをして欲しくないので、知識だけを売りましょう。世界に冷蔵庫を広めましょう」と言う事になり、冷蔵庫、冷凍庫の作り方が他の三国に売りに出され、発案者である俺に相当の金額が毎月入るようになった。
また、冷蔵魔石をつけた馬車や冷凍魔石を付けた馬車が多く行き交うようになり、ラスカール王国からはミルクや作物が輸出されるように成り、ダングル王国からは肉が輸出されるようになり、そこでノスタルミア王国は動いた。
「と言う事でそろそろ漁村を作ろうと思っていてな? そなたに無礼をした重鎮共は皆城から出て行って貰った」
「それは僥倖です」
「そなたがいれば増々ジュノリス大国は発展するだけだな。一人勝ちとは羨ましい」
「元々大国ですからね。一人勝ちと言うのもまた違うでしょう。それに内部の問題も大きい。新しい工場建設などもまだ進んでいない」
「新しい産業か」
「そこは流石に秘密ですよ」
「ふふふ」
「それで、煩わしい重鎮が消え去ったんですから新しい風は入れたんでしょうね?」
「ああ、無論入れたとも。実にいい話も色々出るし面白い話題も飛び出す。やはり会議とは面白く刺激があり、それでいてスピードがある進み方でなくてはな」
そう言って上機嫌のノスタルミア女王陛下にフウッと息を吐くと、女王陛下は「水産大臣を呼べ」と口にし、入ってきたのは水産、つまり漁業関係の大臣らしい。
名はメンデルと言う方で元々漁業の街に住んでいた街の貴族の子息らしい。
だが余りにも釣りが好き過ぎて、「漁師になる」と家を飛び出す始末だったらしく、今回の漁業に関して興味を持ちやって来たらしいのだが――。
「お初にお目にかかります。メンデルと申します。何もない所で海の魚も川の魚も釣れると言う不思議な釣り堀を作れると言うのが、よもやジュノリス大国の王太子様だったとは…」
「それは後付けだ。俺は異世界からやってきた者だし、気が付けばジュノリス大国の王太子になっていただけだ」
「才能が無ければジュノリス王はそなたに興味も示さなかっただろうよ。全く早く私の所で囲っておくべきだったわ」
「囲われなくて良かったです」
「可愛げのないのう」
「それで、施設は何処に作るんでしょうか?」
そう言うと地図を出し、首都ミスアーナの隣に大きな別の漁業施設を作る事になっているようで、内容を見てもかなりお金が掛かる事が予想される。
いくら何でも掛け過ぎでは? と思ったのだが――。
「魚にはな? 金を掛けるだけの価値があるのだ。今の所ストレリチア村では娯楽として釣っているが、これを国が運営する所はない。つまり今こそ独占出来ると言う事」
「そうですね」
「故に金を掛けて施設を作る。その為にはアツシには頑張って貰わねばならぬ」
「良いですけど……これ相当掛かりますよ?」
「構わん。私は掛け時を間違えてはおらんからな」
「まぁ確かにそうですが。施設と言うよりはこのエリアの住民が全員漁業に携わると言う形なんですね? それなら魚が釣れる大きな池の他に養殖用の池も作りませんか?魚を池で釣った後に養殖用の池に放してそこで繁殖させるんです。全ての魚が養殖に成功するとは限りませんが、池で魚を釣るのは日替りで魚種が変わるので、養殖で同じ魚を安定供給するのも一つの手だと思います。」
「なるほど、畜産みたいに自分達で育て増やすのか」
「魚は足が速いですからね……、冷凍輸送が主流になると思いますが、馬車に魚を生きたまま輸送出来る水槽を取り付ける事が出来れば、漁村の隣のミスアーナなら生きた魚を運べるんじゃないですか?」
「生きた魚を首都に!!」
「もう一つ言うなら、ミスアーナに魚を食べられるレストランを作るのもお勧めしますよ。生きた魚を運べれば更に話題になります。首都が賑わいます」
「うむ、飲食店は考えておったが、生きた魚は考えていなかった」
「後は漁村にも獲れたて新鮮な魚を食べられる食堂とかあるといいでしょうね。ストレリチア村まで行けない平民には近場の観光地になりますよ」
そう次々に俺と女王陛下が話していくのをカナエは黙って聞き、メンデルは目を輝かせて見つめていることに気づかなかった。
「カナエ的にはどう思う?」
「そうね、更にお金を出して下さるなら今後共、国同士仲良くする……と言う点を踏まえたら」
「たら?」
「私だったら、専用の魚料理の本をお出しするかもしれませんね?」
「「専用の魚料理の本」」
「魚を生で食べるなんて、こちらの世界ではあるのかしら? 私は生が好きだけど」
「「生!?」」
「そう言う本も御座いますけど?」
流石商売上手。
俺の嫁最高過ぎるだろう!!
「ただ、専用の調味料も必要でして……そうなるとストレリチアとの契約が更に必要になるんですよね」
「良かろう! 幾らでも持って行くがいい!」
「ありがとう御座います! 漁村が出来次第お渡ししますね?」
こうして陛下の発言の元、カナエにもお金が入る事になりスキルが上がる事だろう。
ちなみに俺達のスキルは最早口にするのも大変なほど広がり、手が付けられない。
一人で国が歩いているようなものだ。
これを引き継ぐ我が子を考えるとゾッとするな。
一番俺達の血を引き継いだ子は流石にジュノリス大国の次の王になって貰うが……。
まぁ、先の事は分からない。様子を見よう。
「では明日から着工でいいですか? メンデルさんも明日から来て貰って良いでしょうか」
「はい、無論です!」
「時に、その魚料理……や、生魚といった物はカナエは作れるか?」
「お出しする事は可能ですよ?」
「ほう? どうだ、今日の晩餐に一緒にその魚料理と言う物をだしてみないか? そうすれば料金は更に上げるぞ?」
「どうしましょう? お出ししても良いですけど余り人数が多いのは困りますね」
「ふむ、水産大臣は参加せよ」
「はっ!」
「煮物料理となると今からだと少しお時間をいただきますけど良いですか?」
「構わんとも」
「ただ、調理の様子を余り他の人には見られたくないので……」
「むう」
「ラスカール王国にある水野達に貸していた拠点を使おう。あそこは今無人だ」
「それもそうね。陛下とメンデルに一時的に扉を通させて差し上げて」
「分かった」
こうして俺とカナエ、そしてメンデルと陛下による、お魚パーティーが始まる事になる。
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