116 少しずつ変化していくストレリチアの皆と、さらに増えたニノ。
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――それからの日々と言うのは、ゆったりしているようで早かった。
ジュノリス大国にある魔道具店から呼び出され、冷蔵庫と冷凍庫の試作品を見せて貰ったり、改善する点を伝えて作り直して貰ったり、孤児院や終の棲家の視察に行き、困っている点などが無いか等の聞き取り調査もした。
ジュノリス王の痒い所まで手が届く人員配備のお陰で今の所困っていることはないらしくホッと安堵すると同時に、やはりお風呂は人気が高く、老人達には特に人気が高かった。
まぁ、あのチートな入浴剤を入れているので尚更なのだが、身体の節々の痛みが減ると言う嬉しい声をよく耳にした。
7歳以上の子供たちは学校に通うようになった。勿論孤児院の子供達もだ。
同じスタートラインなのだが、運が良ければ専門家に引続き学べるチャンス、成績が良ければ文官や商会などへ就職の幅が広がる事から子供達は必死だ。
大人でも文字の読み書きや計算が出来ない人は多かったようで、年齢と習熟度を考慮して学校での授業がスタートした。
冒険者クラスも作られ、そこでも文字の読み書きや計算、魔物の特性や素材についても教えられるようになり、冒険者たちにとってもプラスになる生活になりつつあるようだ。
取り敢えず、ジュノリス大国でするべき事は、後はストレリチア村を作るくらいしかない為、会議に参加したり王太子としての振る舞いを教えて貰ったりと大変だったが、覚えが早いのか直ぐに覚える事が出来た。
まぁ、年齢も年齢だったのでスンナリではないが大人としての振る舞いは出来ると言う意味では強みだったかもしれない。
他国からも俺宛に手紙が届くようになり、畜産関係者や養蚕関係者からの手紙も多かった。
概ね良好の様で、全体的に国内循環が出来つつあるようだ。
ラスカール王国では繁殖に更に成功してミルク製品やチーズ作りが始まった。
更にラスカール王国にもボルドーナ商会のような大きな商会が出来たそうで、そちらの商会とボルドーナ商会が手を結び、色々と商売が発展しているらしい。
更にダングル王国でも小さいながらも商会が出来たようで、少しずつだが輸入輸出が始まりつつあった。
何が言いたいかと言うと、ストレリチアではニノや皆が必死に頑張っていると言うことになる。
うーむ、どうしたものか。
「ニノ働きすぎてないか?」
「ニノ ソロソロ モウイッピキ フヤス イッテタ」
「「え」」
「オシゴト タノシイ カラ フヤス」
「「お、おう……」」
「アルジ ニノニ アイニイコ」
「そうだな、労ってやらないとな……」
「家も改装したらどう?」
「それもそうだな、ニノの作業がしやすいように改装するか」
そう言うと久々にミスアーナの家に飛び、皆に歓迎され、室内を色々変更する旨を伝え、一階の改装を始める。
ほぼニノ専用の仕事場を増床し、ニノの蓄えた備品備蓄場所を大きく作った。
応接室の奥にはギルドからの依頼品用の部屋と、ボルドーナ商会専用の部屋を作って外に繋がる扉も作った。そこは靴のまま入れるようにしてある。これにより運搬作業も早くなると言う訳だ。
他は殆ど変わりないが、玄関入って左側が大きく変わった感じだろうか。
家で働く皆は「これでニノちゃんが窮屈にならないですね!」と言っていたし、余程窮屈な中で仕事をしていたようだ。ニノ、心からごめんよ。
「ニノ、分裂するって聞いたから来たぞ」
「アルジー!! イマカラ ブンレツ シテイイ?」
「いいぞ」
そう言うとフルフルと震えだし、ポヨンッともう一体増えると俺と契約する。
無論血での契約だが、名を【ニノツー】とした。
ニノツーのステータスはニノと同じで、ニノと一緒に仕事をガンガン回すタイプのようだ。
お祝いに三匹に飴玉の入った段ボールを三箱ずつあげると大変喜ばれた。
殆どここの拠点はダグラスと菊池に管理して貰っているが、菊池も男用洗顔とか化粧水とか使っていた為、ドラッグストアは愛用していたらしく化粧品に関しても今は菊池が担当している。春の国といっても流行色の移り変わりはあるようでそういうのはエリーナやロスターナやテリアに相談しているようだ。
「すまんな。最近色々と忙しくて」
「いえ、王太子になったんっすから忙しいのは当たり前っす」
「でも菊池がこのストレリチアを一人で回せるようになるなんて、最初では想像付かないわね」
「俺も根性叩き直されましたからっすね! ストレリチア村にも行ってるっすよ」
「おお、そっちもか」
「テリアがたまに俺とダグラスにお弁当作ってくれるんっす。お陰で元気モリモリっすよ!」
「やだ、菊池さんったら」
「テリアかわいいっす!」
「菊池、テリアはまだ13歳だ。この世界では18歳にならないと結婚出来ない。俺の言っている意味は分かるか?」
「手は出さないっすよ!? 流石に俺はまだ出せないっす!!」
「よし、信じたぞ!!」
思わず菊池の両肩を掴んで叫んでしまったが、テリアは頬を赤くして照れているし、菊池は顔を真っ赤にしているし、二人の進展が怖い。
頼むから未成年には手を出さないでくれ……。
「ふふ、良いわねテリアちゃん。あーあ、私も素敵な出会いないかしら?」
「ロスターナは家と各店に配達に行く位しか外に出ないのか? 偶には違う国に行ってみるか?」
「そうね、ジュノリス大国には一度行ってみたいわ。テリサバース教会って綺麗な場所でしょう?」
「そうだな、結婚式を挙げた所は綺麗だったぞ」
「一度行ってみたいわ~」
「今度暇がある時に連れてってやるよ」
「ふふ、ありがと先生」
そう言って笑顔を見せたロスターナに俺も頷くと、応接室にラスカール王国で雇っていた三人の奴隷であるファンやノル、アルマンから連絡があった。
何でも孤児院への野菜などの支援は国がするようになったらしく、自分たちはどうすればいいだろうかと言う事だったので、もし良ければミスアーナの家に来て料理を覚えて欲しいと手紙を書くと、一緒に暮らすことが決定した。
その日のうちに迎えに行き、ファン、ノル、アルマンのそれぞれリス、鳥、アライグマの獣人が拠点の仲間に加わった。
ロスターナを見て男性とは思わなかったらしく、それぞれ「お姉様」とロスターナを呼んでおり、料理を教えて貰う事になっている。
これでまた家も賑やかになるなと思いつつ、何時か彼女たちにはラスカール王国の飲食店で厨房に立って料理を教えて貰いたい。所謂派遣だな。
美味しい料理がラスカール王国でも食べられるようになったら嬉しいだろうし、ラスカール王も喜ぶだろう。
「しかしニノツーまで増えると、俺達は殆どニノとニノツーのお手伝い係りだな」
「そうね、良いのかしら?」
「ニノとニノツーが存分に仕事出来るようにして貰えればそれでいいさ。ジューダスさんは今はストレリチア村の旅館の料理長をしているし、リヨンとニヨンには音楽スキルがあるから、スキルを伸ばして楽器店や旅館で演奏会をするのもいいかも知れない」
「おう、分かったぜ」
「心得たわ」
「「ニノもニノツーもかわいい~!!」」
こうして増えたレンジェンドモンスターのお陰で仕事の効率は更にアップ。
過労死しない程度に頑張って貰いたい……いや、レンジェンドモンスターって分からんが過労死するのか?
しない気がする……。
「ガンバッタ アトノ アメ オイシイネ!!」
「ウン! タマラナイネ!!」
「ワカルー!!」
と会話するニノとニノツーとニノッチ。
声は相変わらずのラスボスみたいな声だが、見た目が可愛いからよしとしようか!
読んで下さり有難う御座います!
連載頑張れ! とか 続きを楽しみにしてます! 等ありましたら
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とても多くてすみませんm(__)m