114 ジュノリス大国に治癒院を大きく作り、大人も通える学校を準備する!
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「はーい」
「水野、俺とカナエだが」
「先生! カナエ!?」
その元気な声にホッとしつつ扉が開くと、水野が嬉しそうな表情で立っていた。
中にはロゼさんもいて、中に入らせて貰い水野と会話をさせて貰う事になったのだが――。
「冒険者ギルド近くにあった潰れた酒場を治癒院にね……」
「ああ、引退した治癒師も雇って怪我人の治療に当てたりだな」
「正直、治癒師って冒険者では余り必要とされてなくて」
「そうなのか? 絶対必須だろう?」
「いや、そうでもない。治癒師スキルは便利で連れ歩くのは最初だけで、Cランクになると一気に減る。本当に上手い奴しか残れないんだ」
「そうだったのか……」
「それだと、治癒師たちはどうなるの?」
「結構余ってる状態だな。だが怪我人が出るとすぐに治療はしてくれるが……」
「水野」
「はい?」
「治癒師たちに教育は可能か?」
「教育って……看護師としての?」
「ああ、専門知識だから難しいだろうが」
「少人数からなら大丈夫よ。薬を使うから特にそこは大事にしたいもの」
「なら教師料金も別に出すから3人程専門知識を教え込んでやってくれ」
「分かったわ」
「一応入院も出来るようにはしようと思ってたんだが、病床は少なくて良さそうだな」
「そうね、変な病気でない限りはなんとかなるでしょうし。でも私教えるなら徹底して教えるけど大丈夫?」
「ああ、命に係わる事だ。徹底的に教え込む様に」
「分かったわ」
意外と水野はそっち系に関してはスパルタらしい。
すると――。
「やれやれ、また水野の結婚が遠のくな」
「教え込むだけ教え込んだらプロポーズは受けるわ」
「「え」」
「実はロゼから結婚して欲しいって言われてるの。でも私にはまだやる事があるから……ね?」
そう言って頬を染めて口にした水野に、ロゼは顔を赤くしながら「まぁ、そう言う事なんだ」と笑顔を見せた。
そうか……水野もやっと愛せる男性が出来たんだな。
ロゼは無骨な男性だが、きっと水野とは上手く行くだろう。
「ロゼさん、うちの水野をよろしくお願いします」
「ああ、俺は浮気なんてしないから安心して欲しい」
「浮気するような男とは結婚しないっていったら、教会で契約書まで用意してきたわ」
「ははは」
「それなら安心ね」
「先生も書いたんでしょ?」
「ああ、俺もカナエも書いたな」
「そっか……ならお揃いね!」
そう言って嬉しそうに笑う水野とロゼを連れて冒険者ギルドの近くにあった薄暗い酒場を上から上書きして治療院に変えていく。
無論床や壁などは無菌になるようで多少は大丈夫だろう。
一階の薬を処方する場所は水野専用に暫くなるだろうが、冒険者ギルドに向かうと俺とカナエが来た事で少し騒めいたが、今仕事のない治癒師を集めると治癒院を作ったことを説明し、そこで働きたい者を募集すると、やはり5人程仕事がないままの治癒師がいたようで、彼女たちを雇う事になった。
また、専門知識を得る為に数名は水野から勉強を受けるようにと伝えると恭しく頭を下げられて苦笑いが出た。
「纏めて治癒師がそっちに行くなら、怪我したら治癒院で直して貰わねぇとか~」
「タダでは治しませんからね」
「タダで治して貰おうとは思ってねぇけどよぉ」
「料金設定は水野達に任せる。薬はいつも通りで頼むぞ」
「ええ、孤児たちには無料ね」
「ああ」
「孤児院の健康診断なんかもやって貰いたいが何とかなりそうか?」
「ええ、そこは任せて頂戴」
そう胸を張った水野にロゼは嬉しそうに微笑み、俺もホッと安堵して「任せたぞ。院長先生」と伝えると嬉しそうに「はい!」と返事をしていた水野に別れを告げ、俺達は此処から程近い中央区に向かい、そこにある王家の持つタウンハウス……だろうか? その屋敷を学校と言う形で見た目を変えずに中身だけ変えた。
部屋は広くとり、多くの国民や冒険者になろうという子供達に文字の読み書きが覚えられるようにしたのだ。無論黒板もあるしチョークも机に椅子も用意した。
ノート等の備品は安く購入出来るようにしたが、大人は支払って貰うが子供は無料だ。
問題の絵本だが、カナエもスキルで買えるらしく、教室一つを図書室にしてあらゆる本や絵本を用意した。
その様子をランディールとメルディールは驚きつつ作業を手伝ってくれて、「読んだことがない本ばかりです」と目を輝かせていた。
「此処にある本は貸出可能にしようと思うんだ。返して貰う事が前提だがな」
「そうね、図書室ってそんな感じよね」
「そうなのですね!!」
「俺とカナエがいた世界の読み物を此方の文字にしているから違和感がある場合もあるだろうが」
「いえ、無類の本好きなので嬉しいです!」
「私もです!!」
「なら図書カード用意したから早速借りていくか?」
「「はい!」」
こうして二人は気になる小説をゴソッと1巻から完結まで借りる辺り、容赦ないよな。
いや、本が好きなら直ぐ読み終わるだろうが。
「一週間で返してくれよ?」
「「無論です」」
こうして本の題名と貸出の判子を押して手渡すと、二人はいそいそと空間収納に入れていた。
俺も偶には本が読みたい。そう、歴史書などが。
だが、元の世界の歴史書はさすがに置かなかった。
そのかわり紙芝居や飛び出す絵本を用意し、本へのハードルが少しでも減ればいいなと思った。
結局学校までで一日が終わってしまい、明日から孤児院と終の棲家作りだ。
南は暑いらしいから空調というか、少しヒンヤリする感じで作った方が良いだろう。
寒すぎると子供にもお年寄りにも悪い。
汗は掻くけど少しヒンヤリくらい、秋の入り口の空気と言えばいいだろうか。
それ位で作らないといけないな。
「陛下、学校までは出来たので告知はお願いします」
「うむ、先生が出来る文官が決まり次第始めよう」
「お願いします」
「全く仕事が早いなお前達は」
「ははは、ノスタルミア王国でストレリチア村を作った時が一番辛かったですからね……これくらいは平気です」
「そ……そうか」
「あの時は私も先生も寝る間を惜しんだわね」
「ああ、本当に気合いでなんとかなるのも若い内だけだなと思ったよ」
「もうアツシさんったら!」
「「ははははは!」」
そう笑いあう俺とカナエを見て何処か遠い目をしていたジュノリス王がいたのは、言うまでもない。
読んで下さり有難う御座います!
連載頑張れ! とか 続きを楽しみにしてます! 等ありましたら
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誤字脱字報告とても助かっております!
とても多くてすみませんm(__)m