111 押しかけてくる古狸と、自力で奴隷解放していた3人と。
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やれる事があって良かったとホッとしたのは言う間でもなく、その後おやつタイムに突入し、シッカリ甘いお菓子を食べてそれぞれ国に帰ったのは言うまでもない。
そんなこんなで結婚式まで数日と言ったある日――俺がミスアーナの家で寛いでいるとチャイムの音が聞こえた。
俺が出ようとするとダグラスが俺を制止し、そのまま出てくれたのだが――。
「一体何時になったらジュノリス王太子殿下は戻ってくるんです!?」
「全く話が進まなくて困っているんです!!」
「そうは言っても、王太子なら本拠地はジュノリス大国だろう」
「「「むぐぐぐ」」」
「それに、アンタ達が【冷凍】と【冷蔵】の考案者が王太子なのにそれは嫌だと言ったのが発端なんじゃないのか?」
どうやらダグラスは話を聞いていたらしい。
まぁ獣人は耳が良いからな。もしかしたらエリーナさん辺りにでも聞いたのかも知れない。
俺は珈琲を飲みつつその会話を聞きつつ今後どうするかを決める予定だ。
「どこでその話を……」
「漏れてる所には漏れてるぞ」
「くっ!!」
「し、しかしジュノリス大国の王太子ならば、考案者としての金銭なんて微々たるものじゃないですか」
「あ? アツシはジュノリス大国から金なんて貰ってねーぞ。自分で働いた金、自分の持っている知識を金にしてるだけだ。アンタらはアツシの知識をタダで貰う腹積もりだろうが、それなら女王陛下も考えがあるんじゃねーのか?」
「「「!!」」」
「漁業が無くなったらこの国の特産がまた減るな? どーすんだか。アンタ達も腹を決めた方が良いぜー? じゃあな」
そう言ってドアを閉める音が聞こえ、俺はクスクス笑いつつダグラスも此方の色に染まったなぁと思った。
とはいえ、この国の重鎮たちが家に来ていることは分かった。
これはノスタルミア女王陛下に伝えておこう。
まぁ、どこの世界にも古狸と言われる奴らはいるものだ。
特にノスタルミア王国は多いだろう。何せ平和な国ゆえに危機感が無いのだから。
「アツシも大変だな」
「全くだな。何だかんだと古狸と呼ばれる重鎮たちは何処の世界でもいる者だと感じたよ」
「へ――。ああいうのがいると国は発展しないだろうになぁ」
「発展はしないし時代に取り残されて後退する事もある。民の幸せが逃げる事も儘ある話だな」
「バルガスがいた時代とかは正にそうだったなぁ」
「そう言えばダグラスとエリーナは奴隷の印は消さなくていいのか?」
「あ? 言ってなかったか? 俺達給料で自分たちで消したぞ」
「聞いてないが?」
「言い忘れてたかもしれん。だが俺もエリーナもここが好きだから残ってるぞ」
「ありがたいな」
「何せガキ共の面倒も見なきゃならねーからな! エリーナも子供たちに勉強を教えるのが楽しいらしい」
「そうか……ありがとう二人共」
「ついでに私も奴隷の印は消してるわよ?」
「ロスターナもか――!」
思わぬところから声が届いてビックリしたが、なんとなくそうなるんじゃないかなと思っていたら事実だった。
「ただ、此処より私の過ごしやすい場所って考え付かないのよね。沢山お料理出来るし、沢山の洗濯も掃除もやり甲斐があるし、なんていうか、適職? しかも住む場所もあるんだから出ていけないわよー。それに私がいなくなったらテリアちゃん一人で苦労するし、そんな薄情な真似は出来ないわ~」
「そうか、ロスターナもありがとな」
「うふふ、私此処がと――っても、気に入っているの!」
そう言ってくれるロスターナに感謝もしつつ、どうやら我が家の奴隷は一人もいなく成っていた。
残っているとしたらラスカール王国にいる三人くらいだが、彼女たちにも月に給料を渡しているので、奴隷を辞めようと思えば辞めれるだろう。
それでも残りたいと思うのならそれでいいと思っている。
「それにしてもアツシも暫くはゆっくりできたか? お前ずっと忙しかったもんな」
「そうだな、ここまでゆっくり出来たのは……どれくらい振りだろうか」
「相当忙しかったんだな」
「走り切った感はあるんだが、今やっと休憩時間って感じだな」
「と言う事はまた走るのか」
「まぁな。ラスカール王国に畜舎を作らないと行けないし、ジュノリス大国の国を挙げての事業もある。さらにあと数日で結婚式だ」
「参加できないのが残念だわ~」
「写真は王族の出す新聞に載るらしいから、そこで買うしかないな」
「楽しみじゃねーか。しかし嫁さんかー…俺も奴隷じゃなくなったし、結婚は少し意識するな」
「へぇ。エリーナか?」
「どうだろうな?」
そう言って照れ笑いするダグラスの春に、俺も少し嬉しくなる。
結婚したらお祝いに家をプレゼントしてやりたい位だ。
「結婚ねぇ……。私現状に満足しているから特に考えてないわねぇ」
「恋くらいはしていいんじゃねーの?」
「こんな見た目と性格と口調よ? 女性が嬉しがると思う?」
「「どんな女性よりも女性らしいと思います」」
「でしょう? はぁ……きっと生まれる性別を間違えたのね」
そう言って洗濯物を洗い始めるロスターナに、恋が訪れればいいなと切実に思った。
出来れば女騎士みたいな女性だと尚望ましい。
難しいだろうが……。
「ロスターナの好みの女性ってどんな人なんだ?」
「そうね、何かに対して覚悟が出来る感じかしら? 支えて上げないと駄目みたいな」
「「あ~~」」
「でも種族は何でもいいのよ? 獣人好きっていう人間の女性がいればそれはそれで」
「なるほど」
ロスターナはウサギの獣人だ。
パッと見はうさ耳の美女にしか見えないのだが、その実は細マッチョだったりする。
その為、ロスターナが銭湯に行くと男湯は騒めくらしい。
無論ダグラス情報だが。
いつかロスターナに良い相手が出来る事を祈りつつ、俺は結婚式までゆっくりと休暇を過ごし、その数日後――ついに結婚式の日がやって来た。
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