101 ウエディングドレスのカナエと、制裁をくわえるニノッチと。
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「もし娘がシュウと結婚したいって言ったら、その時は頼むぞ」
「はい!!」
こうしてシュウの頭を撫でてから俺とカナエはミスアーナの家に戻り手を洗いウガイをしてから久しぶりに皆と食事を摂り、色々な話を聞きつつ子供たちの成長と、ニノの頑張りを聞いてこれからはニノッチを頭に乗せて寂しがらせないようにしないと等、再度思ったのは言うまでもない。
久しぶりにミスアーナ自宅で寝て皆と朝ごはんを食べ終えた後はジュノリス大国に向かい王太子の部屋に到着するとランディールとメルディールが待っていた。
「「おはようございますアツシ様、カナエ様」」
「おはよう二人共。実は一つ報告があるんだ」
「「なんでしょう」」
「俺の従魔でスライムなんだが、その子が寂しがり屋で分裂してな。俺の頭の上かカナエの頭の上にいることが多いが、それは許して欲しい」
「分かりました。名は何とおっしゃるんでしょう」
「ニノッチだ」
「「ニノッチ様ですね」」
「ボク ココダヨ!」
そう言って俺の頭の上を跳ねつつ存在をアピールするニノッチに、二人は微笑ましく見つめているが、こ奴はレジェンドモンスター。
その辺のスライムとは違うのだ。
「可愛らしいですね」
「でも、ニノッチの本体もニノッチも、レジェンドモンスターで強いんだ」
「「……レジェンドモンスター!?」」
「相手が悪意を持っていなければ制裁しないから大丈夫だと思う」
そう言って微笑むと「悪意だらけの重鎮や貴族への制裁が楽しみですね!」と目を輝かせるランディールと、「制裁は良いですが殺さないかしら」と心配するメルディール。
うん、俺も殺さないか不安しかない。
「ニノッチ。制裁するとしても生かせよ?」
「シカタナイナー」
そう言って俺の頭に戻ったニノッチにホッと安堵し、俺達は結婚式用の衣装に着替えることになった。
一緒の部屋での着替えだったが、衝立を置いての着替えだったのでこっちからは見えないが、俺はヒンヤリするシルクと言う夏の国ならではの布地に驚きつつ、カナエも数十分後着替えが終わったようで衝立を取って貰いカナエを見ると――余りにも綺麗で言葉を無くした。
無くしたが……。
「綺麗……過ぎるが……ティアラもそれは出来上がった物か?」
「はい、これだけで国宝級です」
「そうか、だが首元や耳元が寂しいからな。これをカナエにつけて上げてくれ」
そう言うと空間収納から取り出した純粋な本真珠のイヤリングとネックレスを取り出すと、侍女たちに手渡し中を確認されて固まった。
結構高い品だったがこれなら絶対似合う!!
そう思っていると――。
「この様な純度も丸さも整っていて美しい真珠を見たのは初めてです」
「これだけでも国宝級かと」
「ははは。カナエの為に奮発したからな!」
「「アツシ様はカナエ様を心底愛していらっしゃるんですね!」」
「それは当たり前だろう? 俺の大事なたった一人の妻だからな」
そう言うと震える手で真珠のネックレスを付け、イヤリングを付けて貰ったカナエを見ると、やはり真珠で正解だったと思った。
「どうかしら?」
「ああ、とてもよく似合ってる」
「ふふ」
「結婚式は半月後だったな」
「ええ、そう聞いているわ」
「ウエディングドレスは貰えるんだろうか?」
「歴代のウエディングドレスを飾る部屋がありますよ」
「そうなのか。ならそこでウエディングドレスは保管して貰って、ネックレスとイヤリングはどうする?」
「これは他の時にも使えそうだから持っておくわ」
「そうか、それはもうカナエのモノだから好きにするといい」
「ありがとうアツシさん」
そう笑顔で伝えるとメイドたちは「「はぁ……なんて相思相愛なんでしょう」」とウットリしており、ランディールとメルディールは誇らしげにしていた。
「この後は着替えを済ませてジュノリス王との会議があったな」
「はい、カカオに関する研究を始めたいとの事で、そちらの本等ありましたら助かりますし、重鎮たちに食べさせて理解させるのもアリかと思います」
「なるほど、チョコやココアを使ったお菓子や飲み物を用意すればいいんだな」
「そうなりますね」
「見た目もお洒落なチョコレートお菓子と、チョコチップ入りのクッキーとかチョコブラウニーになるかしら?」
「その辺が妥当だろうな。飲み物だとチョコドリンクと普通にココアで良いだろうし」
そう言うと着替えを済ませた俺達はソファーに座り「重鎮たちはどれ位の人数来る?」と聞くと50人もいるらしい。
そんなに多くはいらないだろうと思ったが、各種3つずつくらい用意し、飲み物は一人一つ用意してメルディールに「お菓子は皿に並べて食べて貰えるようにしてくれ。飲み物はチョコドリンクとココアを用意しているので一人一つずつ渡して欲しい」と伝えると「指示がありましたら直ぐに」と言ってくれた。
チョコがジュノリス大国で作れる様になれば、他国にも行きわたりやすい。
貴族なら挙って買うだろう。
甘味と言うのはソレだけで需要があるからな。ついでに標高の高い所にコーヒーが見つかればいいんだが…
それに冷蔵冷凍魔石での輸出も出来るように成れば四つの国全部が纏まりやすくなる。
一度ジュノリス大国の料理を食べたが、テリアやロスターナが作るような味付けで美味しかった。
塩や胡椒等は沢山あると聞いていたので、その分の輸出も増える事だろう。
こっちにもボルドーナ商会のような大きな商会があるらしく、その他小さな商会も幾つもあり早く輸入輸出をしたいようだ。
今は馬車を多く作っている最中で、ミスアーナの魔道具店から多くの冷凍と冷蔵魔石を購入予定らしい。
多くの人に使って欲しいと言うノスタルミア女王の元、値段は安く抑えられている為、殆どの国が挙って買う事になる。
その為ミスアーナの魔道具師たちは必死に冷蔵と冷凍の魔石を作っている最中なのだとか。
「一応各国に魔道具師はいるのですが、ミスアーナの魔道具師たちには負けますね」
「技術が凄いんですよね、ミスアーナの魔道具師たちは」
「そうなのか?」
「大体の魔道具はミスアーナで作られていると言って過言ではないんです」
「ただ、他の大陸だと自分たちの国に合わせた魔道具を作っていると言うのが現状でして。冷風機なんかは近しい物がありましたが、今回のミスアーナの冷風機には負けますね」
「なるほど」
「我が国でもいい物が作れたらいいんですが」
そう会話をしつつジュノリス王の元へと向かっていると、国の重鎮の一人であるワイズ侯爵と出会った。
ワイズ侯爵は俺達を見て眉を寄せたが、一波乱ありそうだなと溜息が出そうになる。
「これは王太子殿下」
「お久し振りですねワイズ侯爵」
「今回は面白い商品を考え付いたとかで、流石商売で成り上がった異世界人は違いますな」
棘のある言葉。
だがその時――。
「アクイ タンチ!」
とニノッチが俺の上から触手を伸ばしワイズ侯爵の顔を鞭のようにして叩き飛ばした。
嗚呼、ほら見ろ。波乱の予感がするって思ったんだよ!!
「なっ! 何を」
「アクイ ハ セイサイ!!」
「ヒイ!!」
「ニノッチ、程ほどにしろよ」
そう言って頭を隠して尻を突き出したワイズ侯爵の尻をバチバチと叩くニノッチに、俺達は一瞬だけ遠い目をしたのは言うまでもないのだが――。
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