それは前世での
初めての西洋チックなお話です。
ところどころおかしいかもしれないですが、お手柔らかにお願いします。
─────あれ、意識が遠のく……
先程まで感じていたコルセットの締め付けも、首周りを飾る宝石の重さも、あれだけ窮屈に感じていた感覚すべてが今は遠くにある。
なぜか視界も左半分が赤く、赤以外見えない。
右目はしっかり開いているはずなのに、周りがぼんやりとしか見えない。まるで寝起きの薄ぼんやりとした視界によく似ていて、あれ?私は今寝ぼけているのかしら?と思うほどである。
─────なにも、聞こえない……
大広間の隣にある階段ホールに居たはずだ。人がたくさん集まっていて、音に溢れていた筈なのに、今自分の耳は何も拾わない。
体が重い。動こうとしても体に力が入らない。
感覚の鈍った体、ぼんやりとした視界、音を拾わなくなった耳。
ふと、自分は死への旅路へ向かおうとしていることを認識した。
ゆっくりと浅い呼吸が少しずつ間隔を広げていくのが分かる。ぼんやりとした視界が黒に侵食されていく。
────テオ………
一緒に来た幼馴染のことが気になる。
同い年なのに、本当の兄みたいに私を溺愛して、私を子供扱いして意地悪だってしてくるけど、本当はとっても優しいことを知っていて。
涙を堪えて庭で蹲っている時、そっとそばに近寄ってきて隣に居てくれて。
言葉は無かったけど、隣にある温もりが嬉しくて。
ちょっと意地悪だけど優しくて大切な幼馴染、テオドール。
隠したがってるけど、涙脆いテオドール。
寂しがり屋なテオドール。
───大切な大切な私の幼馴染。幸せになってね…
ふと、頬に冷たい感触があった。遠退いたはずの感覚だけれど、何故かその時だけ鮮明に感じた。
その感触にふと笑みが溢れた瞬間、意識は闇に飲まれた。
────マリー、マリアンヌ。君がいない世界なんて…
久しぶりに小説を書ききりました。
今までは書いても起承転結の転の部分だけとか、部分的な作品ばかりでした。最初を生み出す難しさ、この感覚は久しぶりです。
10年以上前に感じた小説への情熱は、まだ胸に燻っているのかもしれません。
ふと思い立ったら書き起こすので、時間は空くと思いますが、ゆっくり彼らの物語を綴っていけたらと思います。
よろしくお願いします。