表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/17

第五話 ぶっつけ本番は怖いから、予行演習をたっぷりと

さて、翌日。

二度目のダンジョン行である。


今日はアルミ箔を使ってどうにかこうにか放熱の工夫を凝らして、多少マシになったのが実感できている。

(´・ω・`)銅箔買いたかったけど、お金が……


紙おむつも履いた。


入るたびにドキドキするが、武器を構えたりして、ランタンでしっかり照らせているのを確認して、さあ行くぞ。

少し歩き出した。

そこで、

「あ、あっ」

躓いて、よろけて、そのまま前へ転んで、咄嗟に地面へ手をついた。

グローブの手の平を少しザシャァっと擦った。

防具を着込んでいたり更に武器その他を身に帯びていたので、普通に転ぶよりも手に強い力がかかった。

捻ったりはしていないが、のっけからヘマをしたショックが大きい。

溜め息ついて、立ち上がる。


地面には、転んだ時に放り出した三脚やらランタンやら金剛杖やら、更に工具容れから飛び出した物品なども散らかっている。

見回して、再び溜め息をつくと、全部抱えて入口から押入れへ放り込み、押入れの中へ戻った。


よっこらしょ、と押入れから出て、のろのろと片付けと手入れ。

あんな風に転ぶのなんて、久しぶりだ。

お蔭で普段痛くならないような所があちこち痛い。

二度目で、足許不注意でこのザマかぁ。


初めての事では、無駄な事をしてしまったり、些末なことで躓くことが実に多い。

ダンジョン探索が一向に捗らない。

現実はこんなものである。


----


一夜明けて。

さて、今日も遊ぶぞ。

ダンジョン行も三度目となった。

少しは慣れてきたので、恐怖から来る身体の強張りはやや少ない。とはいえ、まだ萎縮気味である。

入ったところで、今度は軽く準備体操をして、慣れない環境での身体感覚を確かめる。



前回ぶちまけた三脚。

ランタン付き三脚の重さを抱えたことで、自分の重心がその分上昇し、力学的に不安定になってしまった。

それも転んだ一因ではあろう。


今回は三脚を抱えず、その場に立てて置いておき、進む。

こつん、こつん、と杖を地面に押し当てて、前方の罠の有無を簡易的に確かめながら、転倒しないように足元にも気をつけながら、まずは五歩進む。

それから戻って三脚を前進させたら、またそこから罠チェックしつつ五歩前進。

この繰り返し。


いざとなったら三脚とランタンは捨てて全力逃走を図る。

今はまだ出口である押入れからの開口部は後ろに見えてるから、それを目印にまっすぐ出口に突っ込める。

見えなくなるのなら、中継点に照明を置いて進むか?


もしもこの先、道が曲がりくねってたら、曲がり角ごとに安い使い捨て照明を置いて進もうか。

その場合には、可燃性ガスが無さそうだから、蝋燭でいいかな。でもあまり沢山蝋燭を立てたら、空気が悪くなるだろうか。

次来る時には、準備しないと。


罠警戒して足許用心してあれやこれや考えもしながらゆっくり少しずつ前進していたら、疲れてしまった。

暑い。


もう今日はやめよう。


それと、三脚ランタン方式はやめよう。

三脚重い。

出入り口から外の光は入ってくるのだ。

念の為に押入れの中にランタンを残して出口の目印として、あとは逃走用の目印に蝋燭を立てて使い捨てて進もう。

入口の辺りは脅かされなくても、奥へ向えば大変な目に遭って、二度と入らないかもしれないし。

かの有名な

「馬鹿め、ウォーランは死んだわ」

のくだりが想い出される。

できるだけ失っても良いもので済ませる。


無駄な荷物を抱えて訓練とか、思えば不必要な努力をしたものである。

もっと早くこうすれば良かった。

光の位置だとか、余計な心配をしすぎたのだ。


----


翌日。



鋤もまた無駄に重いので、押入れに残してきた。


慎重に進みだす。


ところで前回、まだ構えるところまでしかやってないんだよなあ。

そう思ったらなんだかまたまた不安になったので、入口まで戻って、構える練習に続けて、構えたところからの行動を考えて、試してみた。


構えて、攻撃する練習だ。

攻撃手段は、物理と火炎。


構えから、武器などで攻撃する動きへ繋げる。

これは問題ない。

初歩的な攻撃動作ならば。


上体は防具でかなり動きが制限されるから、初歩的な攻撃動作しかできず、今まで修練した精妙な技とかはちょっと厳しい。

下半身も、ブーツ履いてる時点で感覚が掴めないのでやはり制限が大きい。

それと装備の所為で重心とか、動いた時に身体各部にかかる慣性とか、感覚の違いが大きくて戸惑う。

これは初心者に戻った心算で、少し訓練しなおさないといけないな。


火炎を用いる。

これはちょっとやばい……必要なものをまとめて取り出しやすい一箇所に収めなおし、最適な順序で取り出して着火して構える。

実際に着火してしまうと乏しい物資が更に減ってしまうので、一旦押入れに戻り、家の中からテスト用にゴミに近い物を拾ってきてダンジョンに戻り、着火動作だけ別に練習。

それから着火動作省略して全体の流れを繰り返して練習。

動きに慣れるまで続ける。


次は、中和剤が必要と判断した場合に如何に素早く活用できるかの練習。

既にラップで小分けして貼り付ける追加アーマーの小細工はしてるが、色々と細かな工夫を考えたり試したりしてみる。


待てよ、この追加装甲、ラップが破れないと中和されないのでは?

ラップって強酸程度じゃ破れないんじゃ?

うーん。


まあ、とりあえずはこんなところか。

物理、火炎、中和。もう一度、全部おさらいして練習をした。


ここまで、ダンジョンの中で練習していても、おかしな事は一つも起こってなかったので、次第に緊張が解れてきていた。


そこで、不安からパニックを起したりせずに済んでいる今のうちに、全力で逃げる練習もしておくことにする。

最悪、嵩張るものは放り出して、身軽に入口まで戻り、押入れに戻り、扉を閉ざして、何か出てこないかを用心しつつ見張る、なんて場合も考えておかなくてはならない。


暗い中で、危なっかしい地面を、敵に背を向けた心算で全力で逃走する。

恐怖で鳥肌が立つが、遮二無二前へ突進。

出口に盾と武器を放り込み、縁に両手をつき、横倒しになって背中から頭と腰を飛び込ませるや否や、すぐに脚を折り曲げて引き上げ、海老のような姿勢のまま観音開きの扉をさっと閉める。


ブーツを脱ぐ手間が惜しいが、家の中を無闇に汚したくないので、手袋とブーツを脱いでから古新聞の束を取りに行った。

押入れから和室の中へ、更に廊下へと、新聞紙を長く敷き並べる。玄関まで並べれば充分だ。最悪、家から溢れ出る魔物から必死に逃げる、なんてことも想像してみたが、さすがに街中を走って逃げるところまでは練習できない。

でもせめて、貴重品等を纏めた非常持ち出し用の大型リュックサックくらいは予め準備しておかないとな……。


というわけで、本日はそうした色々な想定に備えての雑用が発生したので、ダンジョン試しはここでお開きとなった。



色々興奮してたようで、雑用を終えて一風呂浴びたら意外なほど疲れが出て、さっさと布団に潜り込んで寝た。熟睡。


----


翌日は昨日疲れてできなかった雑用をした。

その後数日間は用事に忙しく、ダンジョン遊びどころではなかった。


----


数日後。


さて、あれこれ溜まっていた用事も片付けたので、やっと再挑戦。

これで人生終了の可能性もあるが。

和室に入りながら昨日のことを思い返して、あ、そうだ、ノートに記録つけよう。

急いで自室に取って返し、余ってるノートを探すために納戸へ方向転換し、見つけ出し、自室で筆記用具を取り出し、いや待て、ダンジョンの中でその場で忘れないようにメモる必要が出るかも、と思ってメモ帳になるものを抽斗から取り出し、でもそれはノートとは別でいいか、じゃあまず昨日のことをノートにつけよう。メモメモ……


意外とこんなことで時間を食ってしまってるうちに、ダンジョン遊びしている閑がもうこの日は失くなってしまった。

残念。


----


その後また数日は用事で忙しく、とてもダンジョン遊びに時間をとってられなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ