第十四話 メインウェポンの製作
さて── 後回しにしてしまった一番の懸案である、『鮫槍』からの刃の削り出し。
つまり、『鮫剣』の製作。
単なる金属塊だったので、やろうと思えば出来ない事もない、でも、一旦諦めた。
折角の謎金属材。
グラインダーで無駄に大量に削り捨てるなんて、とても勿体無い。
本当は熱してトンカントンカン打つのをやりたかった。
でも、鍛える場所も道具も、委ねられる伝手もないのだから、加工する手段が一つあるだけで御の字。
(´・ω・`) 業者に依頼したかったよ、お金があればね……
グラインダーで削るのだって音に気をつけなきゃならないのに、叩いて音を立てるとかご近所的に無理。
上手く行くならば大量の金属粉が出る予定なので、その対処が問題だった。
家人の手前もあるので、全て自室で。
只でさえ日頃から片付いてる自室を更に整理して場所を空け、作業場所を可能な限り広くとり、周囲に粉塵が飛散しないように気密室みたいな感じで高く覆った。
エアロックめいた塵落しの間まで準備した。
家にガレージが欲しかったなあ。
使い捨ての不織布ツナギを着込み、使ってない防護シューズを履き、化学防護装備から面体型防毒マスク一式を装着し、防刃手袋をつけ、できるだけ音を抑えて、その分長時間作業を覚悟して、入室。
最初は柄頭を低速回転のグラインダでギーン…と削ってみた。
それなりに硬く、かなり時間がかかった。
5mm以上削っても層構造が全く見られなかったので、次に尖端から30cmの所を試しに削って、そこも同様だったので、思い切って尖端も削ってみて、そこも同じだった。
この段階まで試みて、単なる均一一様な金属塊と判断して、改めて考えた。
鮫槍は言って見れば、握る辺りの太さが4cm強~5cm弱、長さ約2mの金属の杭。
これを平たい刀剣状にするには、たとえ頑丈さ優先で切れ味を落とし、蛤刃気味にして済ませる場合でも、最低でも、刃の最も厚いところで3cmほどになるまでは削りたい。
それだけでも物凄く大量に金属粉が出る。
つまりそれだけの謎金属資源を、俺が無駄にしてしまう。
グラインダーの砥石だって、そんな使い方は想定してないんだから、何度も交換せねばならなくなる。
作業的にも色々無理があるんだよってなわけで、やめた。
長柄出刃が当座のメインウェポンで、鮫きりをサブウェポン。
そうしよう。
残されたでっかくて重ったい鮫槍、どうしよっかなあ……。
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迷いが残り、部屋に設置した作業空間もそのまま残した。
邪魔だったが、どうにも踏ん切りがつかなかった。
新しくサブウェポンとするつもりが、いきなり主兵装となった長柄出刃。
鮫きりとともに数日間、毎日たっぷり素振りしてみたのだが……。
うーん。
どっちも、劣化斧って感じがすんだよねえ。
槍と違って、これで『斬り捨てる』っていう触れ込みだけどさあ……
剣というには刃渡りが短くて、斧よりかは重さが足りないから、どうしても腕で体重をかける必要があるんだよねえ。
薙刀と違って、大した間合いもとれないのに。
長柄なしの純粋な出刃だのナイフだのよりゃ、そらマシではあるけどさ。
でも、短い刀身を標的に当てに行かないといけない。
死闘を振り返ると、そんなことがあんな状況でできるのか、甚だ疑問を感じる。
咄嗟に大雑把にザッと切り払えないようじゃあ、『斬る』に拘る意味がないよなあ……
やっぱサブだなあ、これ。
これじゃあ、思った通りの戦ができねえんだよ。
無駄を勿体無がってる場合じゃあねえんだよ。
粉塵たんまり出ても、散らばらないようにしたんだから、少しくらい無駄になっても、集塵して貯蔵しておけるだろ。
もしも何がしかの価値があるなら、その時それを使えばいいだろ。
よし、やっぱり作ろう!
無理を承知で!
そう決意した俺は、作る鮫剣の長さを再考した。
今は2mほど。
やっぱりちょっとデカすぎる。重すぎる。
少し切り落とそう。
尖端を? 柄の元を?
あまり細い尖端は切り落としても良いだろ。それほど長く切り落とさないけど。
やはり大きく変化つけるなら石突き側で切り落とすべきだな。
両方でも良い。
尖端は少し削ってあるし、そこで切り落とせばよさげ。
全体の長さは……柄はかなり長めにとるべきかと思う。
要するに、鮫剣で目指してるのって、長巻だな!
そうか、と腑に落ちて、それなら柄と刃それぞれ三尺ずつの大物で良いと決めた。
で、それなら多少刃が長くてもいいので、結局切り落とさなくても良いとした。
重い分は、それだけ削ればよい。
大は小を兼ねる。
長すぎると思えばまた切り落とす。
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ひたすら削る。
削るだけで、電動工具があるが、作業時間が大変なことになるのはわかってるし、砥石も買い足さないといけない。
下手するとモーターが焼ける。 そこはクーラー効かせて室温下げまくるしかない。
粉塵も小まめに掃除しないといけない。
とにかく目的達成するまでゆっくりでもいいから作業が途絶してしまわないように、急がずに一定のペースで削り続ける。
削りあげるだけで二ヶ月かかった……
そして長い蛤刃を研ぎあげるのに、更に一週間かけた。




