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第十二話 思案しつつ補充・修繕

メインの盾を変えた。


とりあえず、これまでメイン盾を収納していた手縫いリュックも布地にカギ裂きができていた事もあるし、そっちの修繕はそれとして、今後はダンジョン戦闘に特化した形で新たに装甲板の保持器、ホルダーを作りなおしておこうと考えた次第。


金属だと丈夫だが、接触を保つと電位差により腐蝕するので、薄く磨耗に強い絶縁体が必要になる。しかし戦闘でガリガリ削られることを考えると、あまり長いスパンで考えるべきではないかもしれない。今は保管期間でなく使用・消耗期間。一般的には強酸に弱いがあまり気にする必要はないのでは。

合成樹脂だと炎熱に弱い。

硬い木だと安く加工性も優れているが、火炎で燃やされる。

ただ、物理的な弱さはそれほど問題にならない。支持する腕や手の方が脆弱だからである。むしろヘルメットと同じで、先に木部が破損することで左手の重傷を免れる可能性が得られる点はメリットとすら言える。


そうした点を考えた結果、チーク材の余りを用いた腕かけと握りを取り付けた。

これらは以前最初にチタン盾を作ろうと試みた頃に作ったものだ。

リュックを保持器にしてからは取り外して収蔵しておいたのが、今再び使用する機会を得た。

(´・ω・`) お金がかからないよ♪

当時使っていた部品が一つ失くなっており、わざわざ買いに行くのもなんだかアレで、やむなく家の中を探し回って見つけ出し、思ったより手間がかかったものの無事に取り付けることができた。

これだと、今までと違い、チタン板が剥き出しになる。

まあ、これはこれで。

ダンジョン専用で、街中へ持ってくわけじゃないから、人目を気にして偽装する必要も無いし。

ただ、敵を脅かす為に、何かペイントしてもいいかもしれない。

でも効果ない敵ばかりかもしれないし、後回し。



クロスボウのボルトを一袋だけ買い足した。

以前より値上がりしてて愕然。

値段が倍って何なんだよぉーっ!?

仕方ないので涕とともにその価格を飲み込んだ。

戦闘用に、鏃の加工をまた一本ごとにちまちましなきゃならないのがめんどい。


以前もこの用途の為に自作・使用した電動グラインダを納戸に無造作に放り込まれてる物品の山の中から掘り起こしてきた。

一つ一つは些末な手間に過ぎないが、一つの作業全体をこなすと結構辛い。

相応に腰が痛むんぢゃよー。

指先もなぁー。

ワシぁもう齢ぢゃけんのお。

うっ、ごほごほ。


最後の咳は芝居ではなく、身体が戦闘の痛手からまだ完全には復調していないのだ。

死ぬ前からしていた半魚人の悪臭、屍骸の更に激烈な、ほとんど瘴気といいたくなる悪臭。

あんなものを吸い込んだから、肺とかに何か悪影響が出ていないといいのだが。

もしも治らなかったら、医者にかからないといけないなあ。


ラノベにほぼ必ず登場するポーションとかいう瓶入りの魔法のお薬が欲しいと切実に思う。

まあ、そんなファンタジーの住人ではない分、現代医学の御世話になれるんだから、有難いこってす。

(´・ω・`) てすてす♪

何よりも家風呂があるしな。

長年シャワーしか浴びてなかったが、雷撃で傷んだ身体を癒すのに、久しぶりに風呂に浸かったら気持ちよくて、毎日入ってしまってる。

最早湯治。

湯治と云えば、うちの父方の実家はかつて有名な文筆家にその文章で称えられたことのある、鄙びた中にも味わいのある湯の旅館だったそうだ。毎年農閑期になると、松・竹・梅の間に御老人が何週間も宿をとって湯治に来ていたという。そういう景色を見てみたかった。しかし、事故があって廃業してしまったらしい。あたら惜しいとは此の事よ。



さて、やはり突き刺すのは致命傷を与えやすい強烈な攻撃だ。

実戦でも格上の敵を、罠併用だが、それで倒した。

だが、武器として、一刀の下に敵を斬り捨てられる鋭利な刃の刀剣類が欲しくなった。

突き刺すと、複数同時に相手取ると、なかなか同じ一本の武器で突いて抜いてを繰り返すのが難しい。

今回は格上が少数だったから良かったが、もしもあれがゴブリンみたいに弱敵が多数だったら。

やはり手にしている武器を失わずに切り払えるのが好ましい。

トドメを刺す刺突武器のストックを多数携行するのは、それはそれで良いのだが。


折角日本に暮しているんだから、本当は日本刀が欲しいが、

(`・ω・´) 買えるわけないよー!

父方の実家にはあったらしい。

が、敗戦時に進駐軍に差し出してしまったっきりだそうである。

所謂赤羽刀だ。

当時の日本人は素直で正直だったから、上に命令されると逆らわずに応じて、そうして先祖代々の宝物をどんどん喪失していってしまったんだよな……残念。

もっとも我が家の刀は、戦国期に上杉謙信と争った兄弟側の武将の配下が守る城が陥ちて、その時に落ち延びて謂わば落人部落を拓いたご先祖様が遺したもので、元々実戦で使われたのが更に数百年間研ぎに研がれて痩せ細ってしまい、戦前に既に実用には耐えなくなって居たと言われている。

未だ残っていたとしても俺が貰えるものでもなく、貰えたとしても扱いに困っただろう。


そんなわけで、現状では鋭利なナイフが一本あるきりだが、前のよりはマシな長柄に取り付けてやりたい。

今は未着手。

その作業はこれからの話。

次回のダンジョン探査までの道のりはまだ遠い。


一本だけでなく、予備が欲しい。

つか、ナイフじゃ刃渡りが短い。14cmしかない。

薙刀が理想的だが、職人に敬意を表して作って貰うには全くカネが足りない。

金が無ければ自作するしかない。しかし……ブレード材料買うのだってお金かかるのよ。


薙刀と云えば、園部秀雄。

語りだすと長くなるので、それはまた別の機会に。


戦利品の槍が二本あるから、試みに一本を自作グラインダーで刃を付けるように研磨してみようか。

重たいけれど、肩に乗せておいて、そこから叩きつけるように斬れば、使えるんじゃないかなあ。

でも、一発で仕留めないといけないぜ?

そして、斬りつけたらすぐにまた肩に乗っけて、次に襲い掛かってくる敵に備えないといけないぜ?

できんの?

まあ、鍛えて、重さと扱いに慣れるしか……

やるってんだったら、やるしかないか!


でも、そんなにブン回すには、これ結構な大きさがあるよ?

今はいいけど、もしももっと狭い処で戦うことになったら?

頭上で岩壁・岩天井にガツッと食い込んで振り回せなくなったりしないか?


その場合には槍として使うだけだな。

或はもっと軽い手槍で対処する、特にあの鋭利な奴が良い。

それこそサブウェポンの出番ってやつだ。

だから別に良いだろ、今から心配しなくて。


でも単一金属ならまだしも、もしも異種積層だと、グラインダーで削ったりしたら台無しになってしまう惧れがある。


だから試みに一本削ってみんだヨ、よかったな二本あって。

一本駄目にしてしまっても一本残ってれば問題ないからな。


ええと、戦利品は鮫のような半魚人の物だったから、とりあえず『鮫槍』とでも呼ぶか。

鮫槍に刃付けるから、『鮫剣』でいいか。

うまく刃を付けられれば、鮫剣がメインウェポンになって、長柄の鋭利なナイフがサブウェポン、この二本が基本の大小になるわけか。

一刀の下に斬り捨てる為の。

突くんじゃ駄目なんだ、この間のように、抜く間もなく手放すハメにになる。


長柄の鋭利なナイフ。そろそろ名前つけようか。

鮫野郎を突き刺して抉った……まあ、『鮫きり』でいいや。

また鮫野郎が出てきたら、突き刺せたのと同様にサクッと本当に切れるといいんだけどな。


それじゃあ、武器を作るか。

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