09_ゴブリンの洞穴
初ボス戦開始手前
俺は転送が完了し、視界が開け周りを見回す、ぱっと見はただの洞窟だな。
俺の後ろにはおそらく出入口らしき穴、そして正面には人が三人ほど通れる幅がある道がある、俺は少し洞窟を進むと開けた場所に出た、壁はごつごつした岩で円形の空洞だ、地面は表面にサラサラ砂がかかっている程度でその下には程よい硬さの黒い土になっている、広さはかなりある、高さも十分あり大体10メートルほどだろうか、天井の真ん中には穴が開いているらしくそこから光が差し込んでいる、そのおかげで本来光がない洞窟でも普通どうりの視界を確保できている。
俺の素直な感想は天然の闘技場だと思った。
そして俺の対称になる位置に俺が来た道より幅が広い道が続いている、敵もいないんで俺は道に入るために歩いていると、円形の中心手前まで歩いていたら、奥の道から大量の何かが動く音がし始めた。
俺は歩くのを止め体を身構える、音は徐々に大きくなりそして大量のゴブリンとハイゴブリンが出てきた、俺は襲られるのかを思い身構えたが、一体も襲い掛かってくる様子はなく、壁に沿ってゴブリンの層を形成していく、俺は何もせずただゴブリンの層が完成するのを待つしかできない、そして層が完成し入り口はゴブリンに塞がれ、周りには数百のゴブリンとハイゴブリンが俺の周りを囲っている。
俺は俗に言うピンチになっているようだ。
俺は何時襲い書かれてもいいように身構えていると、層を形成していたゴブリン達が何か規則的に叫び始めた。
「ゴブ!ゴブ!ゴブ!」
さらに足踏みをし始めた、まるで古代の剣士達の鼓舞に似ているな、そしてそれに釣られるように洞窟の奥から何か大きな者が近づいてくる。
何かが近づくにつれゴブリン達の鼓舞は大きくなってく、中には武器で盾を音をたてる者、自らの体を叩き音をたてる者も出てきた、音は大きくなり、洞窟が崩れてしまうのではないかというほどのものになっていた。
そしてついにそれは姿を現した、身長はおおよそ5メートル全身に無駄のない筋肉が付いており、手には人には決して扱うことのできない大きさの分厚い大剣を片手で軽々と持っている。
俺は奥から出てきたデカい奴を見て直観的にここのボスだと直感的に理解した、相手のステータスを確認する。
[種族名:ゴブリンキング
ゴブリンを治める王、群の中で一番強い個体が進化して成る、戦闘能力は配下とはくらべものにはならない、性格は個体によってさまざまだ、また配下は王の性格などを大きく影響を受ける]
有名なゴブリンキングか、こいつはかなり美化されているが、ステータスでゴブリンキングと出ているなら間違いないだろう、俺がそんな事を考えているとゴブリンキングが俺に剣先を向けて一言「ゴブゥ(一騎打ちだ弱きものよ)」と言ってきた、俺は言っている意味は分からないが戦いに誘われているのは理解できた、このゲームに来て初めて戦いに誘われた、俺は嬉しくて思わず「ハァ・・」と声を漏らしてしまった。
ゴブリンキング戦は結構時間がかかると思います。