表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

1

1


一夜市は山間に50年に一夜だけ現れる幻の市だ。

僕は各駅停車のローカル線の列車に乗って、一夜市を目指した。

山紫水明。なんて景色だろう?エメラルドに輝く河沿いに線路は続く。

朝出発したのにだんだん夕暮れが近づいてきた。

「えー、ご乗車ありがとうございます。次は終点一生地」

え?

「あー、失礼いたしました。今夜限り一生地の次の駅が終点になります。お客様、その駅はタイミングを逃すと次は50年経ってからしか現れません。ご注意ください」

車掌さんがそう言って車内放送を切った。

ほどなくして、切符の確認にやってくる。

「切符を拝見」

「はい。一夜市までだよ」

「お客様は、朝までにお戻りになられますか?」

「ええ。そのつもりです」

車掌さんが明らかにほっとした表情を浮かべる。

「昔、現実逃避であの場所にとどまって、50年あとに後悔されていた方がいたと聞きます。くれぐれもよくお考えになってお決めください」

「わかりました」

いっしょうちー、いっしょうちー。

一つ前の駅にとまる。

乗客のほとんどがここで降りる。

車内はがらがらだ。

ひとよしー、ひとよしー。

さあ、降りよう。

終点の駅に降り立つと、夜が始まっていた。

「今夜は祭りだよ!」

お面を頭の上に乗せた子どもがそう言いながら、かけていった。

かすかに笛と太鼓の音が聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ