表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤島奮起  作者: つふら
人間があらわれた
8/126

朝御飯は大切


朝日が横穴に射し込み、自然と目が覚める。


いつもの癖で携帯電話に手を伸ばし、時間を確認する。


5:37


夢オチなーんてことないかな


と、期待していたが、柔らかい布団の上ではなく、硬い石が敷き詰められた場所であることが、俺の淡い希望を粉々にしてくれた。


焚き火はすでに消え、外からは水の流れる音に混じり鳥の鳴き声が聞こえる。


日が高くなる前に、探索をしたい。


ノートを取り出し、今日のTO DOリストを書き出す。


1周囲の探索

①漂流物や人工物の確認

②食料になりそうなものの確認

③俺以外の人類の確認

④危険性物の確認


2食事の作成

①朝食の作成

②昼食の弁当

③夕食の作成と、野菜等の仕込み


3水や火の確保

①薪の収集

②煮沸水の確保


こんなところだろうか。


俺はノートとペンをジーパンの後ろポケットにしまい、焚き火の火起こしから始める。昨日に比べ、短時間で着火させることが出来た。


すき焼き鍋に水を汲みに川辺へ行く。ついでに昨日川の中に作ったL字塞き止め結界にも寄る。


冷やす為に入れておいたビールと鶏肉の回収と、願わくばそのL字の石垣の中に魚が迷いこんでくれていないかと思って。


こんな風に漁をしていたんだと、昔、テレビで見た時に思った記憶がうっすらとあり試してみたんだが。いかんせんうろ覚えだし、魚がいればラッキーくらいの気持ちで作ってみた。


川辺につき、石垣を確認する。


よしよし、石垣は壊れていない。ビールも肉ビニールも流されておらず、昨日と同じ場所にある。


そして、これもまたラッキー、魚がいた。体長10㎝ほどの鮎のような魚が4匹ほど。


どうやって捕まえるか。


網・・・はない。もちろん釣具なんてのもサバイバルツールセットの中にはなかった。


あ、ナイフ!


俺はすぐ横穴に戻り、ナイフを手に取る。それを薪用の木に外した靴紐でくくりつける。簡易槍だ。




戦果、一匹


途中、紐がほどけたり、作ったL字石垣に簡易槍が当たって崩れる等あったが、なんとか一匹ゲットすることが出来た。


よかった。


そのまま川辺で魚を捌く。内蔵は腐りやすい為、すぐ取り出し、川へと流す。小魚達よ、それを食べて立派な成魚になってくれ。


背骨のところからナイフをいれ、開く。俺のイメージはアジの開きのように、乾燥させ保存食にしたいからだ。


何度もトライ&エラーをしないと、うまくいくのか結果がわからない。


横穴へ戻り、昨日の豚肉と同じ要領で、塩をもみこんでから糸に吊るす。


因みに、昨日吊るした豚肉は表面が黒ずみいい感じで乾燥している。一応、生のまま干すのは腐る可能性があったので、塩に漬け込んだ肉を一回湯がいてから干している。


問題は吊るしている糸が重さに負けて、バーちゃんのパンツのようにユルユルに垂れてきていることだ。これは、何か手をうたなくては。


豚肉のゆで汁はビニール袋の中に入れて保存している。


さて、朝御飯作りだ。


昨日仕込んだ鶏肉を、作った木串に刺し、焚き火の回りに刺していく。これも合挽き肉つくねと同じ要領だ。


焼き豆腐も、長方形に切ったあと、木串にさして同様に並べる。豆腐も腐りやすいので、早く食べきらなければならない。


すき焼き鍋・・・もう、すき焼き出来ないから今後は鍋と呼ぶか。鍋に米をいれる。一合くらいか?よくわからん。


米は研がない。俺は一人暮らし初めてからずっと無洗米愛用者だ。


水筒に組んでおいた白湯を入れる。人差し指の第一関節くらいまで。この計り方がこの鍋にも適応するかはわからないが、一応その方法に準じて水を入れる。


『はじめチョロチョロ、中ぱっぱ、赤子泣いても蓋取るな』


呪文のようにこの台詞が浮かぶ。


何度もいうが俺はキャンプやBBQが好きではない。が、知識として飯盒炊飯をする際には、この魔法の言葉がまことしやかに囁かれているのは知っている。無論、実践は初めてだが。



焚き火その2に火をつけ、鍋をおく。そして、鍋にセットでついていたガラスの透明な蓋をする。


火の強さの管理なんて出来るわけもない。弱火風になるように薪の量を調整し、あとは様子をみながら薪の調整しよう。



鍋をみつつ、鶏肉をみつつ、薪を集めつつ、只今の時刻7:02


火から鍋を外し、蓋をあける。


あれ?成功じゃね?


ふわっと湯気があがり、あの美味しそうな炭水化物の匂いが横穴中を蹂躙する。


杓文字はないので裏を返すのは、マイ箸セットの中にあるスプーン。フッ素加工なのがよかったのか、焦げもない。やや柔らか目なのが気になるが、これは仕方がない。



5分ほど蓋をして蒸した後、カラの弁当箱にご飯を積めていく。因みに弁当箱は二段式の保温加工ランチジャーだ。


そして、一口、ご飯を口に運ぶ。


うん、炊きたてご飯だ。やはりやや柔らかいが。俺は硬めが好きなのだが贅沢は言ってられない。


そして、鶏肉串も頬張る。


うーん、醤油だけの味付けだが、食べられないわけではない。肉と醤油の味がする。



朝御飯を終え、残ったご飯と鶏肉をランチジャーにうつす。

豚のゆで汁は一度鍋で暖め直したあと、豆腐を賽の目状に切っていれ、塩で味を整えランチジャーのスープ容器の中に。


これで昼御飯の完成だ。


8:02


いつもなら出勤する時間帯だ。こんな場所に来ても、体内リズムは変わらないものなんだな。


リュックの中に食料以外の物品を入れ、探索へ向かうことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ