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孤島奮起  作者: つふら
人間があらわれた
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いざ穴ぼこ


流石に砂浜を歩き続けるのはしんどくなった俺は、砂浜から少し陸よりに寄った砂と小石と土が混在している道を歩いていた。


両腕からそれぞれエコバッグを持ち、リュックを背負う。


左手には水筒。中には昨夜の飲みかけの麦茶が入っている。魔法瓶仕様のためまだ冷たい。


そして、右手には折り畳み傘をさしている。


太陽光線をなめてはいけない。あれは当たるだけでじわじわと体力を奪う。



よく、町中で日傘さしてる女性を見かけたが、心のなかでは


(シミなろうがならなかろうが、貴女方のレベルはかわらない。むしろ、太陽光を浴びてるその傘に同情する)


と、密かに思っていた。


道ですれ違うときに邪魔だし、これまた残念な顔立ちしてる人ほど、避けるという行動をとらず、イライラしたものだ。


今、日傘女性諸君に心から謝罪したい。


日傘って大事。


こいつのお陰で俺の水分消費量と体温上場率はかなり押さえられている。


しかも、黒色ってのがよかった。


ゲリラ豪雨にでくわし、急遽入ったコンビニで『UVカット★両用傘』しかなかったから仕方なく購入したんだが。今はあのゲリラ豪雨とコンビニに感謝している。


そうして歩くこと12分、ようやく川を見つけた。


幅は5mほどだろうか。深さも30㎝くらいで、真水のように透き通っている。


だが、海からの距離はそんなに離れていない。30mくらいだろうか。海水が混ざっている可能性があるため、俺は海とは逆の方向へ、川の上流に向かい歩きだした。



夜勤明けでほとんど睡眠をとっていない。そして、俺の本能が語りかけてくる。


(気を抜いたら、寝るぞ)と。


腕時計をみる。


10:47


昼前か。


あまり海から離れないほうがいい。なんだかんだ海は生物が多いし、食料や流木もある。もしかしたら人類のいる痕跡の何かが流れ着くかもしれない。


まあ、道中そんなものは草履ひとつの落ちてはいなかったが。


上流に向かい5分ほど歩くと辺りの景色は徐々に木が多くなってきている。今、俺が歩いているところは小石が敷き詰められているが、平野だ。


川を渡った反対側は崖のように切り立った場所が見える。恐らく大雨で水量が増し、長年かけて削りとられたのであろう。


その崖伝いにぽっこりと穴が空いている。縦横5mくらいの穴だ。奥行きはよく見えないが3mくらいだろうか。


平野で前後左右に怯えながら一夜を明けるのは怖すぎる。よし、そこへ移動しよう。


川に近づき、靴と靴下を脱ぐ。靴は靴ひもとリュックを結び、靴下はズボンのポケットへしまいこむ。ジーパンの裾をまくり、川へと足を入れる。


川の中に危険な生物がいないかどうか不安だったが、澄みきった川には鮎のような魚を目視確認する程度だった。


深さは思ったよりなく、15㎝ほどだろうか。慎重に足運びをし、ようやく反対側へたどり着いた。


そして、さっき見つけた崖の下の穴ぼこへ向かう。


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