僕の気持ち
目の前で母さんと蛇が戦ってる。
この蛇、最近になって東の森からきた余所者。『頭がおかしい蛇だから、近づいたらだめよ』と、母さんが僕達に何度も言っていた。
それなのにあのバカ・・・あ、3番目の弟なんだけど、『なんだかこっちからいい匂いがする』とかいって、フラフラしていたら蛇に会ってしまった。
母さんは僕達に『逃げて隠れなさい!母さんがいいっていうまで出てきちゃだめよ!』と、言った。
見るからに母さんが負けてる。このままじゃ母さんが死んじゃう。
いてもたってもいられなくて、僕と2番目の弟は母さんのもとに駆け寄る。
蛇に体を締め付けられた母さんを、どうにか助けたい!
飛びかかろうとした僕達より先に、大きな何が蛇に飛びかかった。いのしし?くま?
謎の生き物は、何故かすぐに逃げてった。
なんなんだろ。
でも、母さんが蛇に攻撃してる、良かった。
少ししてまたあの生物は戻ってきて、蛇に突っ込んでった。
すごい!コイツ、蛇を倒したぞ!
母さんのもとに行く。
『母さん、大丈夫?』
『ごめんね、母さんダメみたい。』
『そんな事言わないで!母さん!』
『よく聞いて。この生き物にあなたたちの事を頼んだわ。だから、この生き物を群れのボスとして、生き抜くのよ。』
『母さん、死なないで!』
『お兄ちゃんでしょ。大きくなったら、私の後を継いで森の守護者になつてくれるって言ってたじゃない。』
そう、話した後、母さんは二度と話しかけてくれなくなった。
『全員しゅうごーう』隠れている弟達を呼ぶと、すぐに『きたよー』と、返事がきた。
『母さんが死んだ。これからここにいるこの生き物が、俺達のボスだ』弟達に伝える。
3番目弟『え?ニーちゃん、これ何の生き物?強いの?』
2番目弟『強い。母さんが苦戦したあの蛇をたった2回の攻撃で倒したんだから。』
3番目『すげー!』
僕『これからはこの生き物と共に生きていくからな。』
3番目『でもコイツ、喋れないじゃん。オオカミ語、わかんないのかな?』
4番目『ねぇねぇ、もしかしたらこれがおばーちゃんの言ってたゴリラって生き物じゃない?』
僕『そういや、前足を使わなくても前に進める生き物って言ってたね。』
2番目『きっとそうだ!ゴリラって、森の聖者って言われてるって、いってたもん。だから、こんなに強いんだ!』
僕『そうだね。じゃあ、みんなついていこうか。』
こうして僕達の新たな群れのボスが決まった。
このゴリラ、ボスなのに全然偉そうにしないんだ。体を洗ってくれるし、捕った獲物を渡しても、自分は食べないで僕達にくれるんだ。それどころか、ボスの獲物をくれたんだ。
なんて、優しいんだろう。
なに言ってるかはわかんないけど、なんとなくだけどわかるんだ。
あと、ボスは僕達に名前をつけてくれた。
オオカミは一人前になったらボスから名前を授かるんだけど、まだまだ子供の僕達に名をくれるなんて、期待してくれてるんだ。
ねぇ、その期待に応えられるよう、頑張る。
僕がダイヤモンド
2番目の弟がルビー
3番目の弟がサファイア
末の妹がエメラルド
だ。意味はわかんないけど、きっと、立派な狼とか、最強の歯とか、すばらしい意味があるんだろうな。