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孤島奮起  作者: つふら
子犬達があらわれた
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養い子犬が出来ました


子犬達が親犬をクンクンと匂いを嗅ぎなが、血泥のついた親犬の顔をなめている。


この子達を守ってくれる親はもういない。


人一人分の食事でさえ、考えながらやりくりしているのに、更に子犬とはいえ2匹分の食事を捻出できるだろうか。


いや、やらなくては。きっと、少し世話をしたら子犬達も勝手に巣だって行くだろう。それまで、俺が親代わりになってやる。


「お前達、俺について来るか?」


そう、問いかける。どうせ子犬は意味がわからないんだろうけど、なんとなく話しかけちゃうよな。


子犬達はしっぽをブンブンふっている。


「クォーン!」と、1匹が吠える。遠吠えのように


すると、もう1匹も同じように吠える。


そうか、今、親犬に別れを告げているんだな。


すると、俺の後方からも、同じような声が聞こえた。


へ?後ろ?


後ろを振り返る。



2匹、子犬がいた。


顔の向きを前に戻す。


先程の子犬が2匹。



そうか、4匹か。


無理だ。


すまない。キャパオーバーだよ、育てられない。


俺は拠点へと、足を進めた。


・・・やはりついてきている。


ブンブンしっぽを振って、短い足でチョコマカと。


可愛い。


可愛い。


しかし、俺にはお前らを食わせて一人前にするだけの経済力(しょくりょう)が、ないんだ。



拠点につく。


俺の足元で、キャンキャン鳴きながらまとわりつく子犬達。



うぅぅ、可愛い。



・・・仕方がない、なるように、なるさ。





5:32 起こされてからさほど時間はたっていない。


それなら、先に済ませてしまおう。



拠点近くに積んでおいた加工前の竹とツタを2本持ち、親犬遺体のある場所へ戻る。


竹に親犬の両前足、そして両後ろ足を結びつける。


親犬が結びつけられた竹を持ち、最初の拠点だった横穴へ行く。


横穴の外には竹を加工する際に出た、大量の竹枝が山盛り積んであった。


川辺近くに竹枝を適当に置き、その上に親犬を乗せる。


蛇遺骸も同様に、突き刺した竹槍を引っこ抜いて、親犬の横に並べて置く。2つの遺骸ご見えなくなるくらい、上から更に竹笹をこんもり乗せる。



着火。


少しずつ火が竹笹に燃え移っていく。



子犬達は訳がわからないのだろう。河原でおいかけっこや小石を転がして遊んでいる。



俺は川に入り、体についた土汚れや血液を洗い流す。着ていたジーパンやシャツも洗う。血液は怖いのだ。目に見えない感染症があるかもしれない。



それに、生物の死後は免疫機能が停止するため、すぐに細菌が繁殖する。出来るだけ遺骸に、触れないように運んだが、念には念を入れ、流水洗浄をする。


救急セットの中に消毒液やアルコール消毒綿が入っていたが、あれは外傷用にとっておきたい。


「オーイ、子犬達、こっちにこーい!」



子犬達も洗っておいたほうがいいだろう。



俺の呼び掛けに真っ先に反応してやって来たのがこの灰色の子犬。最初はみんな茶色だと思っていたが、洗ってやると本来の毛並みの色が出てきた。



次に薄茶色の子犬。水が気持ちいいのか、洗い終わったあとも浅瀬の水辺に座り込んでいる。


この子は灰色と茶色のブチ。俺が呼んでも一人遊びして見向きもせず、抱き抱えて入れようとすると、バタバタ暴れ逃げ出す。最初は狂犬病か?とも思ったが、灰色の子犬にマウントとられたあとは、従順だった。


最後の焦げ茶色の子犬は、灰色茶色ブチとじゃれて遊んでいたが、遊び相手が灰色の子犬にマウントとられたのを見ていたのだろう。全く抵抗せず、洗わせてくれた。


親犬と蛇を燃している所で、服を乾かしながら暖をとる。


さて、食料をどうするか。


犬は雑食だよな。当面は魚をとって与えるか。生がいいのか、火を通した方がいいのか・・・。実家で飼ってた犬はドッグフードとビーフジャーキーしか食べてなかった。野生の犬はどうなんだろうなー。




・・・それにしてもよく追いかけっこ続くなぁ。先程から4匹でずっと走り回ってる。


ボーッとしてても仕方がない。まずは何が食べられるのか、色々試してみるか。


拠点へ戻る。服は乾燥中のため、パンツ一丁にスニーカーという格好。誰かに見られる訳じゃないから、いいか。


魚猟用竹槍と籠、いつものリュック、魚の干物4つ、簡易バケツの竹筒セットを持ち、L字石垣へ行く。


拠点に戻る前に覗いたときは4匹いたが、今は3匹だ。


食料が欲しいときに限ってあまり魚がいないのは何でだろ。まぁ予備の干物を持って来たけど。


そして戦果は2匹。1匹逃げられてしまった。


うーん、焦るとなかなかうまくいかないものだ。


横穴近くの川辺へもどる。


最初に作った焚き火の場所に火をおこし、魚の干物を焼いていく。今朝捕った魚は1匹は開いて火を通すが、もう1匹は内蔵処理をしてそのままにしている。子犬達の好みがわからないから、どちらも提供してみようと思ったのだ。



子犬ほまだ走ってる。


元気だなぁホントに。



・・・そろそろ、食うか。


「おーい、ご飯だぞー」


灰色のこの子が、俺の方を向く。が、また走り出す。


いいや、先に食べてしまおう。



焼いた干物をかじっていると、子犬達が戻ってきた。



・・・灰色の子犬が口に何か咥えている。



ウサギだ。


まだピクピクしている。



子犬は俺の目の前にウサギを置くと、ブンブンしっぽをふっている。・・・あー、あれか?『獲物を捕ってきたから褒めて』なのか?


わかった。褒めてやる。


灰色の子犬の頭をガシガシと撫でる。



で、このウサギ、どうすりゃいいんだろ。



灰色子犬のしっぽは、まだブンブンさてる。その口からは!ヨダレが出ている。



食べたいのかな?


「食べていいぞ」


身ぶり手振りで食べてよいと伝える。


子犬は理解したのか、ウサギを咥えて少し離れた場所に行き、食べ始めた。


え、エグい。


でも、あいつ、頭良いな。よくこちらの意図が伝わったな。



他3匹も灰色子犬のところにかけより、肉の奪い合いをしている。


しばらくして、灰色子犬が俺のところに来た。そうか、捕ったウサギを他の子犬に奪われたようだ。とても悲しげな顔をしている。


そこで、さっき捕った生魚と焼いた魚を灰色子犬の前に並べる。


「ほら、食べていいよ」


クンクンと匂いを嗅いだあと、両方咥えてまた少し離れた所で食べている。


魚も食せることがわかっただけでもありがたい。


問題は量だな。


効率的に量が定期的に捕れる方法を考えなければ。


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