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孤島奮起  作者: つふら
人間があらわれた
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竹槍を作成



6/7 5:22 天気 晴れ


起き抜けに、ワイヤーソーを取り出し、竹を削る。


気が触れた訳ではない。


昨夜、横になりながら考えていたことがあるんだ。魚を捕まえるときに、毎度毎度、靴を脱いで、ナイフをくくりつけってな作業が手間で仕方がない。


そこで、竹槍を作ろうと思ったのだ。


戦争時代の日本兵が使用ていたあの斜めにカットしただけの竹槍ではなく、先をできるだけ細くし、魚がしっかりと刺さるような槍だ。


竹節の部分を考慮しつつ、竹に直接ペンで想像図を書き込む。そうそう、刺さるだけではなく、抜けないような『返し』も作りたい。


ワイヤーソーで大まかに切断した後、ナイフで細かく削っていく。削った表面のイガイガは、焚き火で焼いた後、石で軽く鞣すようにしていく。鞣すっていう使い方が竹にも及ぶのかはわからないが。


そうして20分で完成。川辺へ。


川を覗くと、鮎サイズの魚が10匹ほど。


何でだろ、昨日の夕方といい、今朝といい、神の恵みとしか思えない。


早速作った、竹槍を試す。


結果、9匹もとることが出来た。紐が緩んだり、ナイフの固定がずれることもないため、狙いが定めやすく、かえしを作ったお陰で逃げられることもなかった。殺生し損ねて川に流されていく魚を見るのはいたたまれない気持ちになっていたから。



そのお陰もあり、魚祭りの朝食。


とれたても旨かったが、昨夜干した魚も旨味があり、おいしかった。やはり、昼に干すよりも夜に干したほうが旨いらしい。何でかはわからんけど。


それでも流石に全部食べきることは出来ないので、下処理をして、干しておく。


そして、午前中は竹をゴザのようにツタで結びつけていく。


4辺分結び終えた後、昼食(昨日捕った魚とゆで卵)を食して、拠点へ向かい、作った竹の壁を結びつけていく。壁の高さより少し長めにしたのは、『足りなかったら困る』ってのと、『余ったら地面に垂れ置き、そこに石を積んで水よけにする』という考えからだった。


壁は竹を切らずに丸々結びつけた、天井は重力を考慮し、竹を1/4にして結びつけ、その上にその辺にあった大きな葉を敷くき、端をツタに絡ませて固定する。


コレで当分、雨はよけられるだろう。多分。


拠点内部の地面には、横穴で使用した竹マットを使い、足りない土の部分には小石を敷き詰めた。


コレでようやく、拠点っぽくなった。入り口はオープンなので、防犯対策はガバガバだが、これは後で考えよう。



入り口外付近の地面をできるだけ平面にならす。そして拠点の支軸になっている対になっている木に天井と同じ高さの所から、三つ編みツタを結び、近くの細めの木に結ぶ。対側の木も同様に、同じ作業をする。


拠点の天井のように屋根を作る。ここは、軒先というのか?屋根のある土間というのか、まあ、火を使う場所にしようと思っている。


その下に、焚き火ができるよう石を積み上げる。もちろん鍋に合うサイズを2つ作成。


うん、ひとまず完成。


魚や肉を干す場所、洗濯を干す場所、棚なんかの家具はおいおい考えながら作っていこう。


あとは、屋根よ壁の強度だが、実際に雨が降ってみないと、雨漏り云々はわからない。けど、横穴から全ての食材や荷物を移しよう。


取り敢えず今日からここで生活してみて、不具合があったら、その都度直していこうと思う。





横穴から、高台に荷物を移している途中、茂みの奥から何か物音がした。


全身に緊張が走る。


恐らく生物だろう。しかも、音から察するに、かなり大きいとみた。高台で作業を始めてから、リスとかウサギみたいな小動物は見かけるようになった。しかし、これ以上、大きな動物はみたことがなかった。



俺は動かず、聴覚に神経を集中する。目も開けていたが、なにかに注視するのではなく、焦点を合わさずに全体を感じることによって、今目の前に何が起こるのか理解しようと、勝手に本能が働いたのだ。



10分後、音が遠ざかっていく。多分、危機は去ったのだろう。


熊だったら、俺のライフゲージが一瞬でゼロになり、今日が命日となっていただろう。


気がつくと、掌はびっしょりと汗で濡れ、全身の体温が下がっているのを感じる。


ふぅ。


ようやく、フリーズ解除となり、足早に拠点へ向かう。


やはり、木の中では回りが見えない分、恐怖がわき出てしまう。


恐る恐る、拠点に荷物を置き、辺りを警戒する。



今のところ、特に問題はない。ゆっくり動きつつ、辺りの音に警戒しながら、俺は思った。


もう一種類、竹槍を作ろう。


今度はかえしとかついていない、戦争時代のエッグい竹槍を作ろうと。そして、拠点から離れるときは持ち歩いたほうがいいかもしれない。


あとは、あれだな。家の周りに、バリケードを作ろう。


恐竜が闊歩する某ゲームの世界では、板張りの普通の垣根みたいなもの以外に、刺々しいバリケードがあったはずた。


早めの夕食(魚の干したものと、ニンジンとキャベツのみそ汁) をとり、俺は新しい拠点で、竹の加工作業に勤しんだ。

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