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孤島奮起  作者: つふら
トカゲが現れた
124/126

今。其の二

遅くなりました。

ハナが停止した後、皆の顔から笑みが消えた。


いや、それは正確な表現ではないな。


タケル以外の笑みが消えた。・・・つまり、タケルだけは笑みを浮かべていた。


ルルは『この人でなし!!』と、タケルを罵りだし、ちょっとした揉め事が起こった。


あの時の我々は、なんだか不協和音であったな。


ルルに胸ぐらを掴まれたタケルは、またしても笑顔でルルに言いよった。


「ハナは皆が笑って朝起きてくるのを楽しみにしていた。皆と笑って暮らせるのを本当に喜んでた。その俺達が笑顔じゃなく生きてどうするんだよ。生物は死ぬ。必ず死ぬ。それは変わらない。だから、死んでいった人の想いの分まで楽しく笑って生くんだよ。」


それはもう淡々と笑顔で。しかし、目尻から、一筋の涙が流れていた。


あれからだろう。我々は日常に戻った。


シャインが作ったガラスの棺に入ったルルに、皆が朝の挨拶をし、夜床につく前に別れを告げる。


そして、1000年以上経った今も、居間で相変わらず我等を静かに見守っている。




ハナが動きを停止した後、この世界に迷い人が現れた。


無論、種族は様々であった。単体で現れることもあれば3~4人の単位で。


あのトカゲ達の約束通り、タケルは迷い人を保護し、住居を与え、共存していけるよう取り計らっていた。




『城下町を作らねば!』


と、建築オタク魔王が木々の伐採を始めたかと思えば、いつの間にか本当に町が忽然と姿を表した。流石と言うべきか、化け物の言うべきか・・・いや、化け物に関しては我の方が該当するであろう。よく、人間からそう呼ばれていたからな。


それからも徐々に迷い人は増え、ハナ暦7年には54人となっていた。その頃から、この城は公共施設として利用し、カムイ一家を始めタケルやシャイン、ルルも城下町で新たな家を持ち生活することになった。


我だけは本の側を離れがたく、管理人としてこの城を根城にさせてもらった。


更に迷い人は増えたが、タケルがうまく皆をまとめあげていた。





ハナ暦32年12月24日 タケルが息を引き取った。


申し訳ありません。

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