話 其の四
俺はジナツヒコの目を逸らさずに続ける。
「俺達は去年から何度も何度もミーティングの時に話し合ったよ。色んな未来をな。まだ俺達が3人だった頃から・・・・。」
レビルさんとルルを見る。二人とも少し微笑む。
「死んでいたはずの命、これは天国なのか、それとも俺達に残された死ぬまでの僅かな夢なのか。そして、シャインとハナが来た。また、死にかけた人たちだった。」
ハナとシャインがお互いの手を握る。
「もし戻っても幸せにはなれない。最悪、確実な死が待っている。でも、それぞれ会いたい人もいる。会いたいけど、戻れば死ぬかもしれない。俺達はずっと考えたよ。」
そう。俺達はずっと考えてきたのだ。この約二年間。寝ようとすると不安に苛まれ、考え出すと寝れなくなる。体を酷使しても頭に廻る不安。そんなのとずっと抱えてきた。
「だから、確かめるために俺達はまず知ろうとしたんだ。この島を。」
無知とは恐怖だ。
知ることで不安と立ち向かえるならば、調べてみようと思った。
あの夜、レビルさんと話した。
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「いや、タケル殿が部屋を出るときから拙者は起きていた。悩みでもあるなら拙者が相談にのりますぞ?」
「悩みっていうより不安かな。」
「不安、そうであるな。拙者も毎日が不安である。だからこそ、新しいことに挑戦して、余計な事を考えないようにしているのかもしれん。」
「ごめん。レビルさん。ちょっと弱音を吐きたくなっただけなんだ。」
「よいのだ。弱気にならぬ者などこの世にはいない。悩み、考え、苦しみ、答えをだす。拙者はそう生きてきた『弱気』は『弱さ』ではない。当たり前の感情故、案ずるな。」
「・・・・ありがと。ごめん、聞いてくれて。」
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あの日から、俺だけではなく、皆で不安にぶつかろうと思った。俺達は生きている。生きているからこそ悩み不安なんだと。
「私は私達が日々調べたデータを演算したわ。色んな可能性を加味して、皆と何度も何度も討論したわ。」
ハナは時間がたっぷりある。作業をしながらも動植物や鉱山、気候等のデータから、色んな仮説を立てていった。それを皆で検証し、討論し、更に検証し・・・・そうやって探索を始めた日以降、ミーティングを重ねた。
「カムイ一家やディディも増えたけど、それでも不安とずっとぶつかってきた。それで俺達は決めたんだ。ビーやジーがここに来る前から決めていたんだよ。」
「見えない壁が壊せなかったら、ココで生きる事を。」
話は終了