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孤島奮起  作者: つふら
人間があらわれた
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お玉、生誕



結局今日はなんの成果も出せず、終わろうとしていた。


石斧が終演したあと、笹の処理と薪集めで景色は夕暮れとなっていた。


一応、L字石垣の川を覗いてみたものの、魚はいない。


取り敢えず夕飯を作る。



水にニンジンと玉ねぎと干し肉を入れ、火が通ったらだし入り味噌を入れる。今日の夕飯は味噌汁だ。


魚がいつとれるかわからないし、ある食材も限られている。そんな恐怖もあり、今日から節制を心がけようと思ったのだ。


食後、俺は昨日刈ってきた竹を数本取り出してきた。


夕飯を食するときに思ったのだ。



「お玉が欲しい」と。



むしろ、声に出していた。


チマチマ弁当用のスプーンで、熱い鍋が5cc位ずつ竹のコップに移し、啜るとか、効率が悪すぎる。


お陰で満腹中枢もさほど食してないにも関わらず、敏感に反応してしまい作った味噌汁の半分くらいで満足してしまった。


昼に石斧で失敗したから、今度は想像図をノートに描く。イメージを現実にするには一度描いてみたほうが成功率があがると考えたからだ。


描き終え、イメージは固まる。


普通のお玉のよう丸みがあり、歪曲してるものは作れない。どう作るのかすら、よく分からない。ようは、あれだ、水分をすくえればいいのだ。


そうして決まったのが神社なんかにある手を洗う時に、水をいれる入れ物。あんな感じのを作ろう。


竹を20㎝くらいに切り落とし、竹に切り出すイメージをペンで直接描いていく。


そして、サバイバルツールセットの中にあったノコギリで不要な部分を削り取っていく。


ヤスリなんてものはなかったので、削りカスを燃やすため少し火にかける。そのあと、石で焦げた部分を擦り、完成した。


柄杓っていうほうが近いんだろうが、俺にとっては初めて手作りしたお玉だ。


夕飯は終わったが、試してみたくてウズウズしていた俺は鍋の中にある味噌汁をすくう。




すくえない。鍋の深さが足りない。



お玉のサイドを切り、高さ調整して、ようやく完成した。



うん、お前はお玉だ。DIYとか無縁だった俺が初めて作ったお玉だ。


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