話 其の二
ジー・・・いや、ジナツヒコのいい放ったセリフに、皆が一瞬無言になる。
けど、ほんの一瞬だけだった。
「ジナツヒコだがなんだか知らぬが、拙者らはそんな事はどーでもいいのである。」
沈黙を壊したのはレビルさんだった。
「は?」
「もう一度言うぞ?何故、拙者らの何を監視していたのか、そこを聞きたいのだ。」
「レビル、物事には話す順序というものが・・・・」
「だったら、不用意に黙らず続けてくだされ。」
「あ、うん。・・・・じゃあ、続ける。ミー達が監視していたのは『何故、争いが起きないのか』ということを調べる為だ。そして・・・・」
「相わかった。では、次の質問だ。ジーはタケル殿のした最初の質問に答えておらん。『空間の狭間』とはなんであるか?」
「え?・・・あぁ、この世界に出来てしまった次元のラグのようなものだ。そこで・・・・・。」
「よし、では『空間の狭間』はレプトゥリアンとアクトゥリアンが作ったのか?」
「え?いや。勝手にできたものだ。」
間髪入れずにレビルさんが次々と質問する。これは、事前にレビルさんち打ち合わせていた。
『よいか、皆。ビーとジーが語り出したら、以前のように相手側の話を長々聞いてはならない。煙に巻かれてしまうからな。そして無言になってはならない。質問をぶつけ、必要な答えのみを引き出すのである。会話の主導権を握られてはダメである。拙者らが問い詰めている立場をとるのである。』
そう言い出したレビルさんが、今はガンガン攻めている。
「ではその空間の狭間はなんのためにあるのだ。」
「次元間の歪みの調整だと思われる。ここはどの次元とも接しているので『次元の迷子』がここに来る。」
「次元の迷子とは?」
「『神隠し』とも呼ばれることもあるが、目の前で突然消え、また全然違う場所から現れる現象だ。世界全体の行方不明者の0.1%がこれに該当する。」
「我らもその『突然神による誘拐』というものに当たるのか?」
ディディ参戦。
「広義では当たると言えるが、狭義では違う。次元の迷子は意図をせず消えるが、君達は死ぬ運命をねじ曲げてここに来たのだから。ねじ曲げたのはミー達だが。」
「では、天井を壊すとどうなるのだ?拙者はさっさと天井を突き破る作業に戻りたいのであるが。」
「壊してはダメだ!!さっきも伝えたが、ここはどの次元とも繋がっている。その次元の壁を破壊してしまったら、全ての世界が・・・恐らく崩壊するだろう。まさか、異種族の力を合わせることで破壊される可能性が出てくるとは計算外だったが。」
「なら、今まで壊れたことないの?」
ルル参戦。
「この次元はない。・・・ここではなく別の次元だが、次元の壁が一度、破壊されたことがある。核爆発でな。1000ヵ所ほどで同時核爆発を起こした狂った科学者がいてな。その時、その次元と接していた所は全て粉々になった。そして、その近くの次元も致命的なダメージを受け、生物全てが死に絶えた。」
よかった。今まで壊せなくて結果、よかったんだな。レビル腕力>(だいなり)次元の壁だったら、昨年あたりに全滅していたかもな。
「君達が壁を壊し出したから直接監視する計画が早まったというのもあるが。とにかく、壊してはいけない。」
「残念である。」
あ、レビルさんはちょっとがっかりしている。壊したかったんだなー、壁。
おっと、無言になる。
ここで、俺、参戦。
「俺の国では『神隠し』は出てくる場合がある。ってことは、俺達は元の国に戻れるんだな?」
がんばれジナツヒコ