表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤島奮起  作者: つふら
トカゲが現れた
115/126

あの日のミーティング詳細

ビーとジーが現れ、俺達全員で会議したあの日に遡る。




■■■■■■■■■■■■■■■■■


「で、今後、あの2人についてどうするか、皆と決めたいんだ。」


「・・・・その前によろしいか。」


レビルさんが、スッと手をあげる。


「拙者の国の詐欺師の手口と似ているのである。」


「詐欺師?」


「そうである。下手に出て、ターゲットの警戒心を薄めたところに、知らない知識を披露し、不安を煽った後に、ターゲット自身に選択を迫る。な、詐欺師であろう。」


あー、布団売ったりオレオレ言ったりするのも確かにそうだわ。通販番組なんかもそういうのが多いもんな。


「なら、仲間にせず追放するの?」


「クククククククッ、ルル、それは悪手である。ならばより味方に引き入れ動向は知っておかねばならない。」


「そうよね。それに全てが嘘だと決まったわけでもないわ。さっきの話ぶりからみても、嘘をついているというよりも、大切な事を話していないって感じだったもの。」


「俺もあの2人の話を聞いて、全て嘘だとは思えない。でも、どれが本当かはわからない。一応、信用してるフリをして、簡単な俺達の経過を話してみた。それでようやくさっき伝えた情報が聞き出せた。」


人から話を聞くときは大体2割の真実を話すと相手の口が割れやすい。これは先輩から習ったわけではなく、俺が今までの色んな人付き合いから学んだことだ。


「そこでなのだが、皆で演じてみませぬか?」


「え?さっきのディディとレビルみたいなあの胡散臭い演劇を?」


ハナ、正直過ぎる。


「あ・・・嘘臭かったであるか・・・・。拙者、よく出来たと自負したおったのですが。」


「我も上出来だと思っていた。泣くな、レビル。」


あれがか。そして本当に涙ぐむなレビルさん。


「まぁ、演技は別として、皆で情報収集する必要があると思う。」


「けど、そう簡単に話してくれないでしょ。」


「・・・・もしだよ?この場所の事をもっとなにか知っているけど言えない理由がある。でも、話さざる終えなくなるときって、どんな時かな?」


「あの2人が故郷に帰りたいとき?」


「それなら、俺達に話さず、さっさと帰ると思うんだ。なのに余計な話をして不安を煽る理由・・・それは、俺達を監視するためじゃないかと思うんだ。」


「なんのために?」


「それはわかんない。けど、監視するってことは、脱走されたくないんじゃないかなって思うんだよ。」


「クククククククッ、確かに。あの技術があれば我々に頼らずとも帰還する手段はあるであろう。」


「つまり、今までと目的は変わらないということでありますな?」


「そう。天井に穴を開ける。それをやればきっと動き始めると思うんだ。」


「しかし、そもそもあのような硬い見えない壁・・・傷一つつけられないのでありますぞ?天井も同じ固さであれば、動きどころか何も得られませぬぞ。」


「そこでなんだけど、俺達は今までとおんなじ生活を続けながら、2人の会話を聞き逃さないようにしよう。何気ない会話からも、時折真実って言うのが出てくるもんだ。」


「えー、覚えられるかなぁ。僕、鉄鋼しか出来ないよ?」


「わかった!僕、子供だから監視しやすいと思う。だから、出来るだけそばにいるようにするよ!」


クジタ、本当に君は子供かい?発言がシャインよりも大人びてるぞ。。


「そして、彼らの知らないウソの情報をそれとなく話していこうか。」


「ウソの情報?」


「例えば、エルフは精霊の力を自由自在に使えるとか、吸血鬼の血は万物を硬化する血からがあるとか。」


「はぁ?なんなのその設定。」


「出来るだけ、あの2人に『ヤバい、こいつら本当に天井に穴を開ける』と思わせる事が大事なんだ。だから、それぞれの本当の力や能力は極力隠して、生活してみよう。」


「けんど、見張りながら、仕事さできねーど。」


「彼らのにも色々と出来そうな仕事を見つけて、そこに集中してもらうように持ってこう。その間にこちらも色んな設定と状況別のパターンを考えようか。それに合わせて『天井を壊される』と思えるような方法も考えようか。」


「そうであるな。そして、それぞれ密に連絡をとらねばなるまい。」


「皆が集まる時にこの話はできないから、『連絡網』を作ろう。でもその前に、彼らがなんの仕事が出きるのか確認してからだな。」


「ねぇ、一応キーワードを、決めておかない?あの2人の前で『例の件』とか『あの話』とか、怪しい言葉は使えないでしょ?」


「んだな。おでも、自信ねぇ。」


「なんら、『城』でいいんでねぇーか?そんなら、わだしやクジタが話しても、胡散臭くなんねーし。」


「・・・・確かに。『城の進み具合はどう?』が『計画の進み具合』とは思わないもんな。もし、トラブルがあっても『城の材料が足りないから』で、お互いを工房にスムーズに招き入れることも可能だよ。いいね、キヌコさんの作戦。」


「うむ。それで進めてみましょうぞ。」


「じゃあ、皆、それでいい?」


一同、頷く。


「じゃあ、あの2人の所に行ってくる。その間に皆は自分の能力設定を考えといて。」


そうして俺はレプティリアンという2人の元へ向かった。


俺がいない間に決まった設定。


レビルさんは城職人で人よりちょっと力持ち。


ルルは聖霊の恩恵を受けた知識学者。危険な爆薬の作り方を熟知。


ハナはウソがつけないアンドロイド。ウソをつくと緊急停止する。


シャインは武器マニア。危険な殺傷度の高い武器を作るのが趣味。


カムイは最強の傭兵。その角は強心剤で、力を何千倍にも引き上げ、1人でここらの山を吹き飛ばした設定。


ディディは残酷な吸血鬼。特に爬虫類の血を好み、その血は劇薬として毒にも爆薬にもなる核物質が溶けている。


キヌコさんは情報収集エキスパート。噂レベルからキヌコさんが知らない噂はなく、聞きたい場合は対価を支払わなければならない。


クジタは動物のお世話が好きだけと、ほんとは兄弟達を煙たく思っているダメなお兄ちゃん。ハナに恋をしている。


俺は、料理しかできない人でトイレへのこだわりが強い変人。



・・・・・俺の知らないところで決められた俺の能力。なんだろうな、俺だけこんな設定かよとシュンとした。絶対悪口だ。


こんな面白設定、俺達は・・・いや、俺はいいんだけど皆が演じきれるのだろうか。


仕事に行く前に連続投稿

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ