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孤島奮起  作者: つふら
トカゲが現れた
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内覧会 其の二

階段を上がると、木板の廊下。昔の日本城では存在しない木のドア。流石に襖ではなかった。


そして廊下外側の壁は一面ガラス張りの廊下。外の景色が一望でき、採光もバッチリだ。一応、ガラス窓は開閉ができる。落ちないように手すりもついている。


ここはやっぱり城ではなく『城風ホテル』か『城風高級旅館』と言っていいだろう。


2階の部屋は2つ。手前に小さい部屋、そして真ん中に大きい部屋が1つ。そして両端には上への階段。


「レビル・・・・・これは、約束の・・・・アレか!」


ディディがプルプルしている。


「ディディ殿。そうですぞ。では中をご覧に・・・あっ!」


レビルさんが話してるのに、ディディが今まで見た中で一番の素早い動きで、大きな部屋のドアを開けた。


「おぉ!!素晴らしい!!」


中から感嘆の声が聞こえる。


・・・こりゃすごい。


図書室だった。


壁には全て空の本棚が並ぶ。しかもスライド式。そして、中2階にもズラリと空の本棚が並んでいた。


1階中央には読書スペースの為の机があり、10脚ほどの椅子が並んでいた。


レビルさん、これをトイレットペーパーの取引に使ったんだな。


そして、隣の部屋は10畳ほどのディディの自室。家具自体は机と本棚、ベッドとタンスだけのシンプルな部屋だが、ロフトがあり、空いている天井空間も有効活用している。それに廊下と図書室ともドア1枚で行き来出来るようになっていた。


窓はガラス張り。上下に開閉するタイプのものが取り付けられていた。


「たまらん!我がいた屋敷と同じくらい・・・いやそれ以上の素晴らしさだ!」


ディディの喜んだ顔は、初めて紙を作ったとき以来だ。


「クククククククッ、我はこの部屋を堪能するので、皆は先に行け!」


まぁ、ダメですよね。レビルさんに担がれたディディはジタバタしているが、問答無用で3階に上がった。


3階の廊下も2階と同様の造りだったが、部屋数は2部屋。それぞれ30畳程で、内装はまだちゃんと決まっておらず、これから要求に応じて作っていくとのこと。広いロフトが2つもあった。


レビルさん曰く、ファミリー物件だそうだ。今はどこか1つをカムイ一家で使ってもらい、クジタやホープ、双子たちが大きくなったらどうするかは考えるとのこと。


クジタが思春期に入る前には元の世界に戻りたいんだが・・・・。


で、4階は個室が6部屋。15畳程の部屋で家具はディディの部屋と同じ。そしてもちろんロフト付き。ここに俺、レビルさん、ルル、ハナ、シャインの自室になるようだ。


5階も6部屋だが、やや狭めの10畳ほど。家具もロフトも同じ。もし、住人が増えるようならここを使っていくとのこと。


30mもあるから、15階とかあるのかと思っていたけど、それぞれの階の天井が採光の為にガラスが入れられているので、高く設計されていた。それにロフトもついてることを考えれば、一部屋が2階分に相当する。


そして、最上階。


廊下は板張り。外の壁はガラス張り。でも入り口は木のドアではなく襖仕様だ。その襖にはビーとジーが書いた虎と竜の絵。そして、竹や梅、桜などブースごとに四季を感じさせるような草木花々が描かれていた。


俺、絵は素人だけど、その力強いタッチや色使いに不覚にも感動してしまった。


「これは・・・・すごいな。」


「であろう?」


ここだけ見たら、間違いなく日本の城だ。


レビルさんが襖を開ける。


すると、時代劇でよくみる殿様が座っている少し高くなった上座が目に入る。そして、その奥には床の間や天袋なども見える。その壁は金色に塗られており、色鮮やかな松と鶴が描かれていた。


天袋の下には遠い棚が組まれ、何故か俺が作った出来損ないの壺がおかれており、床の間には墨汁画の掛軸と、やはり失敗作の俺の作った徳利。それに花が生けられていた。


これは天守閣最上階というよりは、謁見の間・・・・いや、武士の家か?


流石に畳はなかったけど。


広さも20畳ほど。


「拙者の想いを込めた場所である。」


うん、それはわかる。ここだけ不自然なほど和風だ。


「皆様、此方へ。」


レビルさんの案内についていくと、廊下は更に上へと昇る階段へと続いていた。


今までで一番傾斜のキツい階段を上がると、木製のドアが出てきた。そこを抜けると、屋上についた。


外からみる限りでは日本の城のように瓦の屋根が斜めに組まれているだけだと思ったいたけど、その中央にぽっかりと空間があり、外からは見えないようになっていた。


「どうであるか?よい眺めですぞ。」


そりゃそうだ。30mの高さだ。眺めが悪いはずがない。


そして気になるこのスペース。何かの置場所のように不自然に空間が空いている。


「ここは?」


「それはまだ秘密である。・・・・で、これで城の内覧会は終わりであるが、引っ越しはどうしますか?」


あ、やっぱりこっちに住むんだよね。


確かにこっちの方が便利だし、明るいし。


「我は!今日から引っ越す!」


「私もいいわよ。」


「僕も!僕も!」


「わかった!わかった!なら、今日から引っ越しを始めよう。まずは、共同部分の荷物からスタート。そんで自分達の荷物な。1日じゃあ、終わらないから、今週中には全ての荷物の搬入するぞ。」


「んだども、おでの家には家具がなこった。すぐには生活できねー。」


「案ずるなカムイ。材料は揃っているし30分もあればすぐに作れる。内装の話し合いをしようではないか。」



・・・・こうして、内覧会だけのはずが、怒濤の引っ越しへと変わっていった。


引っ越しって重労働

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