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孤島奮起  作者: つふら
トカゲが現れた
111/126

内覧会 其の一


「拙者、皆にご報告したいことがある。」



夕食時、レビルさんが深刻な顔でそう告げた。


なんだ?痛風か?


「この度、我が城が完成いたしましたぞ。」


城・・・・そう、うちの近所に城が出来た。


高さ6mほどの高台に石垣5m、天守閣約30mの城が。


最初は天守閣だけの城を作るとか言っていたのに、風呂・トイレ・土間・各作業小屋と工房・各種倉庫・各個室・居間・上下水道完備した城。


そこから現在の拠点方向に巨大なスロープも渡し、物流移動も容易に出来るようになっている。


しかし中は俺もちゃんと見たことがない。


「完成してからの御披露目である!」


てな風にレビルさんに強く言われてしまったので、ビーとジー以外は見ていない。


「つきましては、明日、城の内覧会を開きたいのである。」


と、言うことで翌日昼食後、レビル城建設の内覧会ツアーが決定した。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■


翌日昼食後、俺達はスロープ前に全員集合。


「皆さま方、準備はよいであるか?」


レビルさん、ニッコニコ。


まぁ、俺達も楽しみにはしている。


「さっ、出発しますぞ。」


俺達はぞろぞろスロープを登り始める。


木板で作られたスロープは、馬での搬入もバッチリなくらい横幅がある。両端には荷物を乗せたら水車の力で勝手に荷物が搬入出来るようにもなっていた。右側が登り専門、左側が下り専門。


そして、石垣壁に囲まれた門をくぐると、石畳で整備された道が出てくる。


よくもまぁ、こんなに切り出したもんだよ。


すぐに開けた中庭のような場所に出る。その中庭を囲むようにズラリと『コの字』型に建物が並んでいた。一番奥のど真ん中にそびえ立っているのが、30mの天守閣本丸だ。近くで見ると更にデカイ。


「左手前から順に・・・この3階建ての手前の建物が材料庫である。そこから製紙工房と紙保管庫、鍛治工房とその保管庫、ガラス工房とその保管庫、土器竹木クラフト工房とその保管庫、糸工房とその保管庫ですな。」


3階建て広さ20畳ほどの材料庫は、土や鉱石や竹や木材等、工房で必要な材料を入れるための倉庫。


1階の半分は土間のようになっており、地面が石畳で覆われていた。すでに多少なりとも材料が運び込まれていて、1階には色んな木材や土が周囲別に整理されて収納されていた。2階と3階にも同じく種類別に区分された材料が置かれていた。


更に1階には上下水道も完備。


「レビルさん、これ『水道』じゃないですか。」


「そうである。これで毎日水を汲まなくても、水を使えますぞ。」


「え?なに?」


俺とハナとレビルさん以外は『水道』なんて知らない。だから、レビルさんが説明する。


「ここの、金属部分・・・『レバー』をこう下に下げると、水が出てくるのである。」


レビルさんがレバーを下げると水がでる。驚く一同。


「レビルのおっちゃん!止まらないじゃんか!どうするんだよ!」


「シャイン、よく見ておれ。この『レバー』を元の通りに上げるとな、ほら止まるのである。」


「すごーい!これ、僕がよくわかんないけどレビルのおっちゃんに作らされたもんだろ!?」


「そうであるぞ。シャインが嫌々作ったあの金属型である。」


俺の知らないところで色々と作っていたらしい。でも正直、水道は嬉しい。


次に工房シリーズ。


それぞれ2階建てで、1階は石畳の作業場。今までの工房よりも大きく15畳ほど。もちろん水道完備。2階は製品の保管庫になっていた。炉も外への排気整備があり、火の勢いを増すための空送装置(ふいご)も備え付けられていた。


各工房ともに必要な器材は揃えられており、製紙工房なら紙原料水を入れる箱や、干す棚。糸工房なら、麻を潰す装置や蚕の棚など、現在使っている作業の上位互換版ばかりだった。


それぞれ自分の持ち場の工房に感激し、離れようとしなかったが、レビルさんの羽交い締めにあい、無理やり連行されていく。


俺のクラフト工房も立派だった。しかし、羽交い締めには合いたくないので早々に部屋を出た。


そして各工房と倉庫は廊下で繋がっており、全て天守閣から行き来出来るようになっていた。


ほとんど草履や革靴(動物の皮で作った靴)で生活している俺達は、外から家に上がるときに必ず足を洗う。そうしないと家中が泥だらけになるからだ。


今の拠点だは自室から外に出て、土間に行き、居間に上がる前に必ず桶にくんだ水で足を洗ってから上がっていた。それが廊下で行き来出来るのはチョーありがたいことだった。


「次は反対側の建物ですぞ。」


右手前から順に食品加工小屋、酒造加工小屋、調味料加工小屋、食料倉庫と並ぶ。今までの拠点にある広さとは段違い。それぞれ20畳ほどだろうか。食料倉庫は2階建てだったけど、他は1階建ての平屋だった。


「実はですな、地下室があるのですぞ。」


もう、レビルさんの仕事量を把握できない。この人は一人でどんだけの仕事を毎日していたのだろうか。


それぞれの小屋は廊下で繋がっているのはもちろん。上下水道もあった。地下は広く細長い40畳ほどの空間。


これまたスゴいことに、各地下部屋に氷室を作り、冷凍庫もあるのだ。


ルルとハナは大興奮。カムイも、


「おでの野菜たちの家だ!」


と、飛んで跳ねている。


地下洞窟を掘ったときのノウハウがここにいかされているとは。


確かにあの地下倉庫は遠いし、深いからそりゃ不便だったけど。まさか、こんな近くに作ってしまうとは思わなかった。流石、レビルさん。


そして最後の天守閣本丸。


灯籠が置かれた入り口から入るとそのまま石畳の土間になる。土じゃなくて石畳ってのはありがたい。土間は今の土間と比べてやや広くなった。そして外のように明るい。


調味料置き場が絶妙な位置に新設され、調理器具収納も食器棚も大きいものに新設。火の場も石窯が2つ、炉が3つに増えていた。


キッチンテーブルって言うのか?材料を切ったり皮を向いたりする場所も広くなり、キヌコさんとの共同作業も楽になるし、すぐ近くに水道もあるから格段に作りやすくなるだろう。


「こんれまた、作りがいのある場合になっだなぁ。よかっだなぁ、タケルどん。」


キヌコさんは嬉しそうだ。だよな。俺も嬉しい。


土間から居間に上がる場所にも水道があり、すぐに足を洗えるようになっていた。そして、下足箱も設置されている。ホテルか?城ホテルなのか!?


板が張られた居間に上がると、居間の中央に囲炉裏。今までの囲炉裏より横に長くなっており、囲炉裏の頭上には干し肉や干し魚スペースが更に広く大きく作られていた。


天井も3mくらいの高さはあるだろうか。天井が高いだけですごく広く感じるし、太陽光がどこからでも入ってくるように横壁上方には採光用のガラス窓が張りめぐられている。よく見ると土間の上は全部ガラス張りの天井だった。


この時点でもはや城ではないと思ったけど、まぁ生活するならその方がいいもんな。


もちろん、竹蝋燭をセッティングするための場所も壁の随所に作られていたし、行灯もあちらこちらに置かれていた。


居間の両端にはトイレと風呂がそれぞれ2ヶ所。


トイレが水洗になっていた・・・・・・。そして、これまた知らない間にディディが水に溶けて跡形もなくなる自然に戻る紙というのを開発していた。


あんなに紙の用途を汚物でなんとか~とか言ってたのに。レビルさんはどうやってあの吸血鬼を説得したのだろうか。


風呂もシャワーだけではなく、湯船にお湯を張れるようになっていた。


「源泉を引っ張ってきたのである。」


初耳だらけだよ。どこから、どうやって見つけたのか、どのようにもってきたのか問い詰めたい。・・・いや、あとで聞こう。


そして、各工房や倉庫に繋がる廊下と上の階に行く階段。全部で80畳ほどなのか?広くてわからなすぎる。


「さ、次は上の階に参りますぞ。」


内覧会ツアーはまだまだ続く。

スマホの再設定で苦戦してしまった。

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