砂浜
レプティリアンとアクトゥリアン。
俺は聞いたことなかった。なのに、こんなに種族も世界も違う俺達のどこかにこの2つの種族が関わっているとは。
それぞれが神妙な面持ちをしながら歩いていた。頭と上半身が唾液汚染中のトカゲ以外は。
「B5殿。そんな話を拙者らにしてしまっても、よいのであるか?」
「自分はアクトゥリアンの実験について調べています。その為に貴方の情報は少しでも集めたい。集めるためには自分も持っている情報を出さねば得られないでしょうから。ですから今、自分がお話したことには偽りはありませんよ。」
「クククククククッ、偽りはないということは、広義で捉えるならば我ら皆がレプティリアンとアクトゥリアンの実験の産物ではないのか?」
「・・・そうかもしれません。理由はなんであれ生命体に関与しているのですから。しかし、イタズラに介入しているわけではなく、必ず必要なターニングポイントでのみの介入です。それも何度も会議をし、データを検討し、何段階も承認をとらなくてはなりません。」
「ターニングポイントって?」
「種の進化を促すため、といったところでしょうか。例えば吸血鬼種族。レプティリアンの遺伝子を少し強めにすることで、統率が取れなかった他の種族間に『種族としての意識』を持たせることができます。」
「しかし、我はニンゲンに襲われたぞ?」
「そう。絶対的恐怖に打ち勝つために、ニンゲン達が団結して種族はまとまる。そしてその結果、更なる知識や力を持つようになる。」
「我の種族は当て馬のようなものか。」
「正確にはミスディディのいた次元の吸血鬼は、ってことですね。それ以外の次元にはうまく民衆をまとめ、巨大な帝国を作り上げた吸血鬼もいますよ。逆に恐怖で支配し、皆殺しにした吸血鬼もいます。そうやって種に刺激を与え、様々な種族の進化を促しているようなものです。」
「吸血鬼も思考を進化させ対応せねばならないということか。しかし皆殺しにしてしまっては進化どころではないではないか。」
「はい。その対抗者として他の新たな種族に進化を促します。確か、あの次元ではニンゲンが進化し、『勇者』というような呼ばれ方をしていましたけど。」
途方もない話だ。これが、本当なら・・・・本当なら、ム●に投稿したい。ビックリするだろうなぁ。
「砂浜に着きましたが・・・さて、どの辺りでしょうか。」
もう、砂浜についていた。
「あ、はい。俺はあの辺り。」
「拙者もタケル殿と同じ辺りである。」
「我は・・・どうであった?タケルよ。」
ディディは・・・
「あの辺りだったかな。そういやカムイ達もその辺で佇んでいた。」
みんなが指し示す所は大体同じ場所。そうか、こういう共通点もあったんだ。
「この辺りですか。」
B5は腕にはめた時計のようなものを操作すると、空中にiPadのようなものが浮かび上がる。何て言うんだっけフォログラフィーだっけ。それをB5はタッチしたりスクロールしたりなんか操作を始めた。
すると、上空に同じようなフォログラフィーが浮かぶ。ジルバートだ。
「凄いわ。私の国にもここまで進んだ技術はなかったわ。」
ハナは興味津々だ。
「ジルバートがここに来たポイントもほぼ同じですね。5秒前に戻しますよ。そこからスロー再生しますと・・・」
すると、ジルバートは消える。そして、やはり先程と同じ場所に突然ジルバートが現れる。
「やはりここですね。同じ座標の可能性が高い。」
B5がその場所にその辺にあった流木を立てる。先程のフォログラフィーは消えていた。
「よし、場所は確認しました。それでは皆様にお聞きしたいことがもうひとつ。それぞれのいた国・世界について出来るだけ詳しく教えて下さい。出来ればわかるのであれば年号や大体の時間も。」
「言うのは構わんが、拙者達のそんな話を聞いて、何かがわかるのか?」
「恐らくですが・・・・いえ、かなりの高確率で皆様が何故ここに来たのかということがわかると考えています。先にこの世のカタチから説明した方が良さそうですね。」
B5はまた先程のフォログラフィーを出す。そして、俺達の目の前に大きな球体が現れる。もちろんこれも立体画像だ。
「これは太陽。皆様の国にもあったはずです。これはどの世界にも共通なんですよ。そして・・・」
更にiPad風フォログラフィーを操作すると、太陽の横に赤と緑の2つ小さな球体が現れる。
「これの緑はレプティリアン、赤はアクトゥリアンの本拠地の星です。これもどの世界にもあるのですが、まず見えません。そのようにフィルターをかけていますから。」
「星ごとであるか。なんという技術力であるか・・・・。」
「そして・・・えっと、ミスタータケル、ミスターレビル、ミスハナは見たことがあるかもしれませんね。」
画像の尺が変化し、太陽が小さくなる。すると、太陽の周りにクズゴミのような小さな星々、教科書やTVでよく見る宇宙に浮かぶ太陽系だった。
更に縮小されると、太陽を中心とした銀河渦のフォログラフィーが浮かぶ。
「ええ、見たことあるわ。」
「太陽を中心に、星々は公転しています。あ、公転という意味は理解・・・出来ているようですね。話を続けます。」
そういやぁハナと一年前くらいに公転と自転の話をしたっけなぁ。
「この銀河の中で生物が住んでいる星はどのくらいあると思いますか?あ、レプティリアンとアクトゥリアンを除いてです。」
生物が住んでいる星・・・まず地球だよな。で、ハナは俺のいた時代よりも未来だと思うから、それ以外の種族分は最低でも星があるだろう。と、なると・・・・。
「単純で申し訳ないけど、俺達の種族数を考えて、最低でも5個以上。」
「普通はそう考えますよね。実は・・・・」
銀河渦が拡大され、1つの星がクローズアップされる。
よく知っている星、地球だ。
「これは拙者の生まれ故郷、『タナハス』ではないか。」
「え?『地球』よ。そうよね?タケル。」
「あぁ、『地球』だ。」
「我は我の住んでいるのはただの土地としか認識がない。だからわかならい。」
「『星』であることを知っている民族や種族は少ないのです。そして、この星こそ、唯一生物が住む星です。」
「『タナハス』であるぞ?『地球』とは知らぬ。」
「呼び方が違うのは当然です。そして、ミスタータケルとミスハナが言っている『地球』は同じ名称ですが、違う『地球』ですよ。」
「同じ『地球』ではない?」
「そうです。『次元』が違うのです。」
地球のフォログラフィーが急に平面になる。そして、薄くなった地球が何層も何層も出てきた。
「ざっくり説明すると、こんな感じですね。それぞれの次元が分かれていて、同じ星に住んでいるんですが会うことはまずない。このように太陽を中心に全ての次元が違います。この次元の数は確認されているだけで11149。ですから、先程の質問の答え、『星』の数は1個でもあるし11149個でもあります。」
「俺達は同じ星に住んでいるけど、次元が違う・・・?え、えっと、どういうことだ?」
「TVと同じ要領と考えていいかしら。画面は1つしかないけど、チャンネルを変えたら違う番組になる・・・と。」
そうか。そういうことか。ハナの説明を聞いて納得した。
「そのようなものです。そのチャンネルを作ったのが自分の種族であるレプティリアンとアクトゥリアンと、お考え頂いて結構です。」
なんか、ものすごいことを聞いている気がする。
元の世界に戻れたら、やっぱりム●にリークしようと俺は決意した。
ム●、今読んでも色々面白い