共通点
敬称論争が一段落したところで、本来の話に戻す。
「B5は『死を覚悟する』以外にも共通点があると考えているんだな?」
「はい。そうでないと説明がつきません。それを調べたいのですが・・・・あの、あそこで木にくくりつけられ獣に睨まれているG52を解放してもらうことは出来ますか?」
どうする?人質として捕まえておいた方がいいのか。
「タケル殿、解放しましょうぞ。解放したところで害は無さそうですぞ。心配なら、サファイアに狙わせてればいいのですから。」
そうだな。学力と知性と配慮と常識と想像力にかけているトカゲを離したところで、害は無いだろう。
「レビルさん、解いていいですよ。」
レビルさんが麻紐を切ると、G52の手足が自由になる。
「さっ、これでそなたも自由に・・・・」
「へへーん!ばーか!ミーを解放した事を後悔するんだな!ミーの逃げ足を見てみ・・・・ウギュゥ!!!!」
流石、サファイアの噛みつき。素晴らしい速さでの攻撃でした。
サファイアに頭から上半身を食いつかれ、口からバタバタと足を動かしているG52。学力と知性と配慮と常識と想像力に欠けているのがよくわかった。
「ミスタータケル、申し訳ありません。このG52は学力と知性と配慮と常識と想像力と状況判断力と品性と理解力と思考力に欠けていますので、本当に申し訳ありません。お恥ずかしい限りです。」
増えてる増えてる、悪口が増えてますよ。
「やっぱり私の思った通りの行動をしてしまいました。この最悪の状況であれば少しは思考力が芽生えるかもと思いましたが、全くの無駄でした。お手数をおかけしました。あ、もうそのままで結構です。」
「・・・・部下の指導ってこんな時にもやらなくてはいけないんですね。」
「一応、教育も仕事ですから。その為に、G52はシルバートに乗せてきたのですが、まぁG52の話はもうどうでもいいでしょう。口のなかで少しは反省させましょう。」
サクッと切り捨てた。
「ミスタータケル、貴方達が最初にここに訪れた場所は覚えていますか?」
「浜辺だ。」
「他の皆様も?」
「浜辺ですな。」「浜辺ね。」「我も浜辺だ。」
そうだ。なんとなく新しい住人は浜辺から来るみたいな感じだったから、不思議に思わなかったけど・・・何故か浜辺だ。
「そちらに案内していただけませんか。」
「わかった。」
そして俺達は浜辺へ歩き出した。
もう空は明るくなってきていた。
一度、拠点に戻って他のメンバーと顔合わせしようと思ったけど、まぁ後ででいいだろう。また余計な話になりかねない。
浜辺へ向かうまでの間、俺は透明の壁とこの場所の緯度について簡潔に説明をする。
「確実にバリアが張られていますね。物理的なものか時空間的なものかは実際に見ないとわかりませんが。」
このレプティリアンという種族の事も説明してもらった。
・・・・・・・・・・・。
とんでもなかった。レプティリアンという種族。
俺のいた地球より、ハナのいた地球より、もっともっともっと進んだ種族だった。
「我々の種族、レプティリアンは恐らくですが、貴方達のいたすべての国の元でしょう。それはアクトゥリアンも同じですが。貴方方の国に伝説とか伝記、物語みたいなものでも結構ですが、『竜』と呼ばれるようなものは存在しませんでしたか?」
あった。必ず出てくる竜。時には悪役、時には神として。あの有名なドラゴン●エストなんて、まんま竜。アジア圏では竜は神の化身とされていた。
そのモデルになったというのがレプティリアンと、B5は言うのだ。
「ミスタータケルは『地球』という星に生まれたと仰っていましたね。では、生命の起源とはどのように習いましたか?」
「海のなかから、生物が生まれて、色々進化して、猿になって、猿が進化したらニンゲンになったって、習ったけど。」
「ハハハハッ、猿からニンゲンに?本当にそうお思いですか?」
「口を挟むようで悪いけど、私の作られた『地球』でも、その様に教えられていたわ。」
ハナも、少しムッとしたように意見を言う。
「そんなわけありませんよ。遺伝子操作をしたのです。猿の卵子に。それは我々レプティリアンとアクトゥリアンの共同研究でしたけど。」
は?共同研究?遺伝子操作?
「確か文献にありました。数万年前の両種族がそのような研究を『地球』と現在呼ばれている地域で、行ったことがあると。」
?何をいってるんだ?
「そして、それぞれの遺伝子を組み込んだにも関わらず、レプティリアンよりの民族とアクトゥリアンよりの民族が出来たということ。たしか・・・・・舟、舟に乗せて一掃した神話とかありませんでしたか?」
俺は無宗教。強いて言えば先祖崇拝。けど、この話は知っている。
「ノアの方舟のことか。」
「確かに、そんな名前立ったと思います。あれ、伝説じゃないですよ。あの地域ではレプティリアンとアクトゥリアンの間に『地球』を巡る争いが起きて、その結果洪水が起こされたと記憶しています。」
・・・・・・何の話だこれ。
「ミスターレビル、貴方は『魔神族』とおっしゃいましたね。」
「そうであるが。」
「貴方の国に、『嘘つき猿と泣き虫竜』という古い物語、ありませんでしたか?」
「な、なぜそれを?」
「貴方が魔神族と聞いて思い出したのです。数十万年前、貴方の国を整えたレプティリアンと、やはり競うように来たアクトゥリアンの話ですよ。」
「そして、ミスディディ。貴方はレプティリアンの血を色濃く継いでいる。先祖は血を吸い、日に弱く、水に弱い耐性ではありませんでしたか?」
「その通りだ。」
「当時・・・・といっても数万年前ですけど、紫外線に耐性のなかったレプティリアンは、すぐに皮膚癌になり、火傷のような症状。その状態で水に触れるとすぐに感染症になり、また固形物も消化できなかったので血を飲むしか生きる手段がなかったのです。」
黙り混む俺達。視界にはいるサファイアの口から出た足など最早気にならないくらいに、B5の話に聞き入っている。
「つまりレプティリアンとアクトゥリアンは互いに共同研究者であり、敵対するライバルであり、この次元空間を生きる仲間なんですよ。」
スケールが次元空間へ