プロローグ
生まれ変わったら、猫か犬に
なりたい今日この頃。
「我が一生にいっぺんの悔いなし」と言わんばかりの清々しい気分だ。世のため人のため、尽くしに尽くしてきた人生。我ながら素晴らしい人生だったと思う。もしも、この世に帰って来れるのであれば、わしはもう一度人間になりたい。と思っていた。いや、なるはずだった。あんなミスがなければ…。
まぁ、皆はミスについて聞きたいのだろうが、その前にわしの前世について少し話すとしよう。
わしの名前は佐々木小次郎。名前くらいは知っているという奴らもいるだろう。有名人じゃからな!わしの武勇伝を聞きたいか?じゃが話せば長くなるから、その話はまた今度じゃ。
江戸の街に住んでおったわしは、喧嘩で負けなしと言われるほど腕に覚えがあった。昔はわしに挑んでくる奴らもいたが、今じゃわしに恐れをなして戦いを挑む奴らはいなくなった。自分の力がどれほどのものなのかわしは限界が知りたい。そんな時、ふらりと寄った茶屋で二人の客が興味深い話をしているのを耳にした。
「なぁ、あんた聞いたか?この村に宮本が来るらしいぞ!」
宮本?一体そやつがどうじゃというのだ。わしにかなうものなどこの世にはもう…。
「宮本って、あの宮本武蔵のことか?その話、本当か!?」
そんなに有名な侍なのか。だとしたら、少しはわしを楽しませてくれそうじゃな。まぁ、所詮はいきがっておる小僧に過ぎん。わしが一から叩き込んでやろうではないか。
わしはその客から詳しい話を聞き、その宮本という侍が来るの日を待った。そしてふた月後、その日は来たのじゃ。
[浜辺にて]
海にぼんやりと浮かぶ舟のようなものが見える。
あれに宮本が乗っておるのか。
名の知れた侍を倒せば自分が一番強いのだと噂になる。
これでわしも一躍有名な侍じゃい。
舟が岸につき一人の若い侍が中から出てきた。
わしはその舟に近づき一言
「随分と若い侍なこった、ちやほやされて嬉しいか小僧」
と言ってやった。
「初対面の相手に対してその物言いは無礼と知ってのことか」
宮本は至って冷静に返してきやがった。
「無礼?なら、そのご自慢の刀でわしを黙らせるんだな!!」
侍同士の戦いにおいて一番大事とされるのが少し油断と隙を見逃さない洞察力。油断すれば間合いに入り込まれ、隙をみせては最後、一気に決着までもっていかれる。そして、最も優先されるのは先行を取ることにあるのだ。それに加えわしの刀の長さはその辺の侍よりも長い。つまり初めに動いたわしのが圧倒的に有利。この勝負わしがもらった!!そのはずだった…。
「いいだろう。だが、戦い方がまるでなってないな」
宮本は1度抜いた刀を鞘にしまい身体を小さくかがめ、刀に静かに手を添えた。
勝負はたったの一斬りでついた。
宮本はわしの刀をいとも簡単にかわし、自身の刀を抜いてわしを切った。
「なぜじゃ!なぜわしが…こんな小僧に…」
宮本は一言わしにこう言ったんじゃ、
「俺は主のような無礼者に敗れるほど弱くはない。佐々木小次郎、主なら俺を楽しませられると聞いていたんだがな。とんだ見込み違いだったようだ」
「こ…ろせ、わしを殺せ、小僧!!」
しかし、宮本はわしにトドメを刺さず
そのまま、宮本はわしをおいてどこかに消えてしまった。
わしは自らの甘さに涙した。どうして、もっと冷静に考えなかったんだと。悔しさのはて、わしは命を落とした。
[小さなケースの中]
なんだか旨そうな香りがする。なんだ?肉?いや違う、だがそれと似た何かに違いない。ゆっくり目を開けると小さなケースの中にわしはいた。
「はーい、ご飯ですよー」
振り返ると巨大な女子が小さな丸い何かを自分の目の前に置いた。
これはなんだ?匂いはさっき嗅いだものと同じようだが…にしてもわしより何十倍も大きい人間に会えるとはな。宮本のほかにも強いやつはたくさんいるってわけか、面白い。
そういえば、なぜわしは閉じ込められておるのだ?同じ人間を閉じ込めるなど、どういうめをしておるのじゃ。
しかし、なにかおかしい。声を出しているつもりなのにあの女子には伝わってる気配がない。それに、だいぶ手に毛が生えたみたいだな。そんな毛は生えて…。
そう言いかけ透明のガラスを見たわしは、写った自分の姿に思わず声を失った。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!」
そこに写っていたのは人ではなく、目のくりくりした可愛らしい柴犬であった。
そう、わしは人ではなくどうやら犬に転生してしまったらしい。
この日から、わしの犬としての生活が始まった。
こんちくわ!あげぱんです!
最近、動物に癒されてたりします
猫が気持ち良さそうに寝てるのが
すごく羨ましいです笑
リトライより投稿は遅くなりますが
気長に待っていてくれると嬉しいです!
コメント、評価、お待ちしてます!