個人戦抽選
個人戦が始まる日、リナ達はチーム戦の抽選が行われた場所にやってきていた。
そこには以前戦ったチームの顔もちらほらと見えていた。
しばらく待っていると、そこに主催者が現れて壇上に上がった。
「お待たせしました。ただ今から個人戦の抽選を行いたいと思います。内容はチーム戦と同じになります。あともう一つ皆様にご報告があります。本日抽選後、個人戦が開始される予定でしたが明日から開始に変更になりましたのでご了承ください」
個人戦の開始が変更との事だったが
「では続いて『淡紅の氷姫』の皆様、くじを引いてください」
「私から引いていい?」
「いいですよ」
まずはティアがくじを引くと、最後のDブロックを引いた。
「んー私の所は知ってる人はいないかな」
「私シェスティアと同じブロックだった」
「え?そうなの」
「ハイネいつの間に引いてたんですか・・・」
「ティアのすぐ後に引いた」
戻ってきたティアがリナに報告しているといつの間にかくじを引き終わっていたハイネが会話に加わってきた。
ハイネは先日と打って変わってつまらなさそうにため息をついていたのでこの後の予定がハイネとの食べ歩きにならないようにリナとティアはあまり刺激しないようにしていた。
「では最後にリナ選手お願いします」
呼ばれたリナは緊張しながらくじを引くとそこには1と数字が書かれていた。
「・・・1番」
「リナ選手1番、1番です」
肩を落としながらティア達の元に戻るとティアが嬉しそうにリナを迎えた。
「リナちゃん一番最初の試合なの?」
「さすがお姉ちゃん」
「ううっ目立つのは嫌なのに・・・」
リナが意気消沈して項垂れいると、すぐに場内がざわめいた。
「ラウラ選手2番、2番です」
「え?」
リナは驚きのあまり視線を壇上に上げるとまっすぐリナを見つめるラウラの姿があった。
「おいおい一回戦目からラウラとリナの試合かよ」
「どっちの試合も見たけど、あの二人の実力は本物だったぞ」
「魔法使いと剣士、本来なら一対一じゃ剣士に分があるけど、リナのあの魔法はな・・・」
二人の視線が重なる中、周りの人間がざわめく。しばらくすると、ラウラが不敵に笑って視線を切った。
ラウラがそのまま壇上から降りる姿をリナはじっと見つめていた。
「ラウラさんが最初の相手ですか・・・」
個人戦の抽選が終わった帰り道、宿に戻る道中リナがそう呟いた。
「そうなっちゃったねー。本当は私がラウラちゃんと戦いたかったけど、リナちゃんには負けてほしくないし・・・うん。リナちゃん頑張ってラウラちゃんに負けないでね」
「お姉ちゃん頑張って」
「は、はい」
リナのつぶやきを聞いていた二人はリナを元気づけるようにそう言うと、
(ラウラさんとは再戦になりますけど、どうしましょうか。昔の戦い方を今の状態で使えるのでしょうか・・・いえ、考えるより試してみないとわからないですね。二人も応援してくれていますし出来るだけやってみましょう)
リナはそう心に決めて明日の試合を向かえる事にした。
「リナちゃん。試合は明日だけど何か手伝えることあるかな?」
リナの決心を察したのかラウラがそう訊くとリナは頷いた。
「はい。ちょっと魔法の練習をしたいのですが付き合ってもらってもいいですか?」
「もちろんいいよ」
「私も手伝う」
そうと決まればと、3人は大会参加者が利用可能になっている訓練施設に向かっていった。
「はぁはぁはぁ、二人ともありがとうございました。今日はここまでにしましょう」
「そ、そうだね・・・」
「む、お姉ちゃん寒い」
日も暮はじめた頃、ずっと練習をしていたリナ達は明日の事も考えてここで打ち切る事にした。
リナが魔法を連発した結果訓練施設はいたる所に氷が張り付いて、中の温度がかなり低くなっていた。
「す、すみません。気づきませんでした」
リナが慌てて自身の魔力を抑えると、次第に周りの氷が溶け始めた。
それを見てホッと一息ついたティアがリナに訊く。
「やっぱり氷の魔法を使う人は寒さに強くなるのかな?」
「どうでしょうか?今日は気づきませんでしたけど、いつもはここまで放置することはなかったので寒さに強いのかはわからないですね」
「私は種族的に寒さには強いけど、ここは寒い」
ハイネはそう言いながらリナにすり寄ると、ティアがそれを見て対抗する様にリナを抱きしめる。
「シェスティア邪魔」
「そんなこと言わないでよー。ほらハイネちゃんもぎゅー」
抱き着くティアを嫌がるように押し返すハイネ。
リナはそんな光景を見ながらここまで練習に付き合ってくれた二人の為にも、明日はいい試合にしたいなと、心に決めていた。
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